みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
本日は、広島県尾道市にある「ゆずっこホームみなり」さんをご紹介します。
ゆずっこホームみなりは、尾道を拠点に介護福祉事業を展開する株式会社ゆずさんが運営する小規模多機能型居宅介護事業所です。
「介護施設をもっと社会に開けた居心地の良い場所にしたい」という想いで様々なことに挑戦されるゆずさんの取り組みは、今、介護業界で大きな注目を集めています。2022年4月にオープンした本事業所では、「コミュニティデザイン」や「感情環境デザイン」を融合した建物や空間づくりに力を入れられています。
本記事では、実際に空間づくりに携わられた感情環境デザイナーで作業療法士の杉本さんに施設内をご案内いただいたので、実際の写真とともに施設のこだわりポイントや込められた想いについてご紹介します。
ゆずっこホームみなり
株式会社ゆずさんが運営する「ゆずっこホームみなり」は、広島県尾道市の三成地区にある小規模多機能型居宅介護事業所です。
小規模多機能型居宅介護では、中重度の介護が必要になっても住み慣れた地域で継続して生活ができるように、本人の様態や希望に応じてデイサービスなどの「通い」や「訪問」や「泊まり」のサービスを組み合わせて利用することが出来ます。
2022年4月にオープンしたゆずっこホームみなりでは、尾道市にお住まいの要支援もしくは要介護1~5の認定を受けた方を対象に、「通い」は1日18名、「泊まり」は9名まで受け入れています。
「今までの暮らしをあきらめさせることなく、こだわり抜いた質の高いケアを」を理念に、ソフト面にもハード面にも力を入れた質の高いケアを提供されています。
3つの特長
ハードへのこだわり
ゆずっこホームみなりの「気持ちと身体が自然と動くような魅力的な空間づくり」には、コミュニティデザイナーの内海慎一さんと感情環境デザイナーの杉本聡恵さんが関わっています。
これから施設を利用するたくさんの方々の気持ちや行動をあらゆる角度から想像しながら作られた豊かな空間は、まさに圧巻です。
施設内や周辺に隠されたたくさんの魅力的な仕掛けについては、後ほどご紹介します。
ホテルが隣接
敷地内にある路地を挟んで向かい側には、ゆずさんが運営する「尾道のおばあちゃんとわたくしホテル」というユニバーサルデザインの宿泊施設があります。
利用者さんやそのご家族、闘病生活の長い方、車椅子の旅を楽しみたい方など、どんな方でも利用することができる「ケア環境が整ったホテル」です。こういった拠点があれば、人生の選択肢も広がるのではないか、という想いから同敷地内に作られたそうです。
「わたしがわたくしになる、0.25倍速のスロー・ラグジュアリー」をコンセプトに作られた小さいけれど充実した空間は、とても魅力的です。
「諦めない」ケアの心
ゆずっこホームみなりでは、「どんな方にも、人生最期の瞬間まで幸せでいてほしい」という想いから、病気や障害・年齢を理由に諦めることなく、利用者さん一人ひとりの今までの暮らしを可能な限り継続していけるようにサポートしています。
利用者さん一人ひとりの今までの暮らしや習慣、こだわり、好きなこと苦手なこと等、ケアに大切なたくさんの情報を日々の関わりの中から収集します。
丁寧な関係づくりが良質なケアや本人・スタッフの心の豊かさに繋がることを実感しました。
空間づくりのポイント
感情環境デザイナーの杉本さんに施設をご案内いただきました。空間づくりにおけるこだわりポイントを教えていただいたので、その一部を順にご紹介します。
建築や空間の紹介に使用させていただく写真は、以下の方々にご協力いただきました。ありがとうございました。
撮影:足袋井竜也氏(足袋井写真事務所) 提供:株式会社ゆず
玄関周囲
◆ 外観
最初に抱く印象がケアの信頼関係につながることから、玄関前では「豊かさ」をデサインしています。利用に対し、心の折り合いがつかない方の不安を和らげるシーンが生まれるようにも仕掛けています。
◆ カウンター
近所の子どもと施設を利用するおじいちゃんおばあちゃんがカウンター越しにやり取りできるように、カウンターが設置されています。
◆ 玄関前の椅子
心地よい風が通り見晴らしの良い玄関前に椅子を設置しており、町の様子をみたり通いと泊まりの人同士の交流ができるようにデザインされています。
◆ 絵画
尾道の風景を懐かしく思ったり、会話を広げてくれるような素敵な絵画は、尾道市立美術館から借りているもの。300以上ある作品の中から選ばれたそうです。
◆ 玄関とダイニングの間にある空間
玄関からダイニングに向かう途中に、ほっと一息つけるような空間が設計されていました。いきなり大勢が集まる場に行く前に心が整えられるように、ここには季節や思い出が感じられるような様々な置物、テレビが設置されています。
施設内
◆ 手すり
ゆずっこホームみなりには、手すりがありません。代わりに、棚やカウンターやソファが設置され、伝い歩きのヒントを得られるようデザインされていました。
◆ 施設とホテルの相互作用
◆ カウンターテーブル
外が見えやすいように窓際に設計されていました。また形がコブ状になっており、その日の気分で好きな方向を向いて座れるのが特徴です。苦手な人との距離や人の視線を調整できるのもポイントです。
ダイニング
◆ 空間
みんなで過ごせる広いスペースと、少人数で過ごすスペースがありました。
◆ カウンター
玄関と同様、リビングにも路地を通る人と交流できるカウンターが設置されていました。食べられる植物の鉢を置いて育てたり、素敵な花器を置いたり、家のように暮らしを豊かにするために窓際も見逃しません。
路地
◆ 問いかけるコトバ
四季のお花や樹木のわきに「問いかけるコトバ」が点在しています。おじいちゃんおばあちゃんたちの記憶の中からいろんな思い出を呼び覚ます仕掛けになっているそうです。また、対話が苦手な介護スタッフも、楽しみに繋がるようにという想いが込められています。本当に知って欲しい自分をお互いが知ることで、より深い繋がりが生まれるように。
◆ 植物
四季を感じる懐かしいものや、五感が刺激されるような香りのあるものが植えられています。
実際には、ここでお伝えしきれないほどの仕掛けがまだまだたくさん隠されていました。
将来ここを利用する方の「想い」や状況により変動する様々な「感情」に丁寧に寄り添いながら作り込まれた空間に、涙がでるほど感動しました。自分の家族には、こんな素敵な場所で豊かな時間を過ごしてほしいです。
「ケアに大事なのは心だ」という話はよく耳にしますが、今回ゆずっこホームみなりを取材させていただき、「新しいハードの在り方」とともに「空間づくりがケアにもたらす可能性」を改めて感じることができました。
「人の心の豊かさに繋がる空間デザイン」や「地域とともにある建築」に触れられる素敵な機会を下さった代表の川原さん、感情環境デザイナー杉本さん、スタッフの皆さま、本日はありがとうございました。
これからも、ゆずっこホームみなりの益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
施設概要
■ 運営
株式会社ゆず
代表 川原奨二さん
■ 開設
2022年4月
■ 経営理念
いつまでも、どこまでも、FREE STYLE
■ 所在地
〒722-0215
広島県尾道市美ノ郷町三成1114-1
■ 定員
登録定員29名、通い18名/日、宿泊9名/日
■ 営業日
年中無休
■ 営業時間
通い8:00~19:59 宿泊20:00~7:59
■ 問い合わせ
TEL:0848-48-3877
■ 関連情報・SNS
・ゆずHP
・尾道のおばあちゃんとわたくしホテルHP
<関連記事情報>
・代表・川原さん
・感情環境デザイナー・杉本さん
・尾道のおばあちゃんとわたくしホテル
・看多機ホームみなりっこ
・ケアのデザインストアnenlin
ぜひ合わせてご覧ください。
写真提供:ひろし(カメラマン/理学療法士)
以上、本日は広島県尾道市にある「ゆずっこホームみなり」さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、ゆずっこホームみなりの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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