みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
本日は、大阪府高槻市にある「デイサービスセンター晴耕雨読舎」さんをご紹介します。
NPO法人たかつきが運営するデイサービスセンター晴耕雨読舎は、園芸療法士である石神洋一さんが代表をつとめる「畑のある」デイサービスです。
本記事では、大自然に囲まれたデイサービスセンター晴耕雨読舎の魅力や実際に利用者さんが園芸療法に取り組む様子、また、代表・石神さんのコメントをご紹介します。
(同市内にあるデイサービス「Roles晴耕雨読舎南平台」紹介記事)
デイサービスセンター晴耕雨読舎
2007年に開所したデイサービスセンター晴耕雨読舎は、大阪府高槻市原にある「畑のある」デイサービスです。
通所介護施設として質の高い介護サービスを提供するとともに、農園芸や大工仕事、室内での創作活動など「生きがい」に焦点を当てたサービスを提供し、利用者さんの「豊かな人生」をサポートしています。
約300坪の畑スペースでは、主にレイズドベッド(足腰に負担がかからない立ち上がり式畑)を使用した園芸療法を実践しています。レイズドベッドを「自分の区画」として、自分で決めた作物を植えつけることができます。
施設の周辺には木が生い茂り、畑の先には綺麗な川が流れています。土や花の香り、自然の中を吹き抜ける風、虫の声、季節の野菜を使った食事など、自然の豊かさを全身で感じることができます。
デイサービスでは珍しい、利用者の約6割を男性が占めているのも特徴です。
園芸療法とは
日本園芸療法学会HPより一部抜粋
「花と緑で人を癒す」療法のことで、草花や野菜などの園芸植物や、身の回りにある自然とのかかわりを通して、心の健康、体の健康、社会生活における健康の回復を図ります。医療や福祉分野をはじめ、多様な領域で支援を必要とする人たち(療法的かかわりを要する人々)の幸福を、園芸を通して支援する活動です。
実際の園芸療法
デイサービスセンター晴耕雨読舎では、以下のような流れで1日を過ごすことができます。
9:30 送迎車到着
10:00~11:00 健康チェック・本日の予定づくり・体操
11:00~12:00 活動(園芸療法)/入浴(希望者のみ)
12:00~14:00 昼食・休憩・午後の体操
14:00~15:15 活動(園芸療法)/入浴(希望者のみ)
15:30~16:45 おやつ・バイタルチェック・振り返り
16:45 送迎車出発
取材時の午前中に行われていた活動(園芸療法)の様子をご紹介します。
PICK UP!7つの魅力
石神さんに施設内や畑を案内いただきながら、デイサービスセンター晴耕雨読舎には「人が動きたくなる仕掛け」がとにかくたくさん散りばめられていることに気が付きました。
スタッフの方々の素敵な配慮なども含めて、そのポイントの一部をいくつか紹介します。
① 室内は土足可能
外への出やすさ(靴を履き替えることが億劫とならないこと)を重視し、デイサービスセンター晴耕雨読舎では外用靴を履いたまま移動することができます。
② 認知症の方に配慮した道具の配置
庭や工房の道具は、認知しやすいように全てオープンに並べられています。実際に、活動時間となり最初は何をしようかと迷っていた方も、道具が目に入ったことでご自分で好きな作業をみつけ、活動を開始していました。
③ 開放的な環境
安全には十分配慮しつつ門や扉は常に開放されており、閉鎖的に感じないような配慮がなされていました。
④ 隠れられる(一人でゆっくりできる)場所がある
常に誰かに見られている、と思うと人は自然と疲れてしまうものです。デイサービスセンター晴耕雨読舎には、例えば木陰やハウスなど、一人で過ごせる場所があります。(スタッフの方々は、そのお気持ちを配慮しながら見守りをされています)
⑤ 五感をフルに刺激!「生」や「豊かさ」を感じられる
彩り豊かな緑や花、川のせせらぎ、鳥やカエル・虫の声、土や花の香り、季節の野菜を使った料理、庭を吹き抜ける風など、視・聴・嗅・味・触の5つの感覚をフルに刺激してくれる完璧な環境がここにはあります。
⑥ スタッフの体制・コミュニケーションの配慮
安全配慮のため、デイサービスセンター晴耕雨読舎では通常の同規模のデイサービスより多い常時7〜8名のスタッフで運営しています。また、職員間のコミュニケーションは、1人に1つずつ支給されたインカムでおこないます。利用者さんに自然の中で豊かに過ごしていただくため、職員間のやり取りにも配慮されているそうです。
⑦ 環境面からも転倒予防に配慮
例えば、庭の簀の子の端に目立つように色がつけられていたり、高い段差の近くには鉢植えがおいてあり飛び越えないように工夫されていたり、危険な場所がないかスタッフの方が丁寧に見回りされたりしていました。
この他にも、施設内にはたくさんの「動きたくなる仕掛け」が隠されていました。
職員さんも利用者さんも、ここにいる全ての方がイキイキと楽しまれているのがとても魅力的でした。
デイサービスセンター晴耕雨読舎は、現在、利用したい方が「順番待ち」の状態となっているそうです。まさに行列のできるデイサービス…! 実際に取材させていただき、人気の理由がよく分かりました。私の両親も畑をしているので、いつか介護が必要になったらこんな場所に通ってほしいなと感じました。
15年以上通われている利用者のAさん(80代) は、「通い始めた当時の方が動けなかった。この環境がすごく元気にさせてくれたんです。今はとうもろこしを育てるのを楽しみに通っています」とコメントをくださいました。
15年前と比較し今の方が元気だと自信をもって言えるなんて、本当に素晴らしいことですよね。
代表・石神洋一さんの声
■ 石神洋一さん
NPO法人たかつき代表理事 /日本園芸福祉普及協会理事 / 日本園芸療法学会園芸療法士
日本の大学を卒業後、アメリカオハイオ州オハイオ大学大学院で環境学修士課程を修了。その後、造園資材メーカー「東邦レオ株式会社」に就職し、都市における緑と人の関係を学ぶ。在職中に園芸療法と出会い、2001年「NPO法人たかつき」を立ち上げ高齢者の介護予防のための通所施設「街かどデイハウス晴耕雨読舎」で園芸療法を開始。現在は、高齢者の「Meaningful lifeの探求」を使命とした高齢者福祉事業や、親子を対象として自然体験活動、大学や専門学校、園芸福祉の講師業を通して園芸療法・園芸福祉の普及に力を入れる。
デイサービスセンター晴耕雨読舎では、「心が動いて身体が動く」ということに重点を置いています。
お身体がどういう状態であったとしても、ご自身がやりたいことや面白い!と思うことがあることで身体が動き、その結果、心も身体も元気になっていくと思うのです。
それが、介護予防・機能回復につながると考えます。
私たちは、活動を「全員で一緒にする」ことや「無理やりする」ことはありません。
やりたいことは、人それぞれです。
おひとりおひとりの「心が動く」活動を一緒に考え、できるようにお手伝いをするのが、私たちの仕事です。
私も臨床時代には「どうやったらリハビリを継続してもらえるのだろうか」と、とても悩みました。
行動経済学でもいわれているように、医療介護福祉においては「心」や「感情」に訴えかけるような仕掛けが有効だと考えられます。私もさまざまな活動を実践したり見たりしてきましたが、正直、ここまで多くの仕掛けが自然につくられ、実際に人の心と身体を動かしているところはなかなかありません。とても、驚きました。
リハビリテーションは「人生がより豊かになること」を軸に、様々な手段を駆使し総合的にアプローチされるものです。ぜひ、リハビリに関わる多くの人に、晴耕雨読舎さんの取り組みを知って頂きたいと思いました。
人も自然も同じ「命」の通った生き物。だからこそ「花と緑で人を癒す」園芸療法が、人に心地よい温かさで寄り添い包み込んでくれるのだと感じました。
心を豊かにしてくれる園芸療法が、さらに可能性を広げながら、日本全国に広がっていきますように。
これからも、デイサービスセンター晴耕雨読舎さんのさらなるご活躍を心から応援しております。
取材に丁寧に対応いただいた代表の石神洋一さん、裕美子さん、スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。
施設概要
■ 運営
NPO法人たかつき
代表理事 石神洋一さん
■ 開設
2007年
■ 経営理念
全従業員の物心両面の幸福を実現する
人と自然が生きる力を応援し、人・心・生命を大切にする
■ 所在地
〒569-1051
大阪府高槻市原2235番地
■ 開所日
月曜日~土曜日(祝日開所)※年末年始休みあり
■ サービス提供時間
午前9時30分~午後4時45分
■ 利用対象者
高槻市内在住、要支援1~2または要介護1~5の認定を受けている方
■ 定員
22名
■ 送迎
無料(送迎地域については要相談)
■ 問い合わせ
TEL:072-689-9112
Mail:information@npo-takatsuki.org
お問い合わせフォーム
■ 関連情報・SNS
・HP
・YouTube
photo
写真提供:くらしフォトグラファー・しんたろう
以上、本日は大阪府高槻市にある「デイサービスセンター晴耕雨読舎」さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、デイサービスセンター晴耕雨読舎さんと代表・石神さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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