障害福祉にイノベーションを!新しい仕事を生み出す拠点・グッドジョブ!センター香芝 |奈良県香芝市

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

本日は、奈良県香芝市にある「Good Job! Center KASHIBA (グッドジョブ!センター香芝)」さんをご紹介します。

社会福祉法人わたぼうしの会が運営する「Good Job!センター香芝」は、社会に新しい仕事をつくりだすことに力を入れている福祉施設です。

以前、リハノワで取材した福祉建築家の八木稔文さんから教えていただき、今回の取材が実現しました。建築界でも大変注目を浴びています。

本記事では、Good Job!センター香芝の施設内や実際の活動の様子をご紹介します。

(同法人が運営する「たんぽぽの家」「福祉ホーム」紹介記事)

Good Job!センター香芝

奈良県香芝市に2016年9月にオープンした「Good Job!センター香芝」は、誰もがはたらく喜びを実感でき、主体性をもって暮らせる社会へという理念のもと、社会に新しい仕事をつくりだすことを目標に活動しています。

就労継続支援A型およびB型、生活介護のサービスを提供しており、1日に30名程度の利用者さんが通われています。

デジタル工作機を活用した製品づくりや商品を社会に送り出す流通、珈琲や食事を提供するカフェ(Good Job Coffee)や作品をつくるアトリエ活動など、様々な仕事が行われています。

Good Job!センター香芝では、①アート×デザインによる新しい仕事の創出 ②異分野をつなぐプラットフォームの構築 ③所得の再分配から可能性の再分配を目指して、だれもが能力を発揮できる社会の実現に向けて地域や企業、全国の福祉施設と連携しながらさまざまな事業を展開しています。

仕事の内容

かわむー
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Good Job!センター香芝で実際に行われている仕事を紹介します。


製品づくり

3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機も活用しながら、製品づくりを行います。

奈良の企業である「中川政七商店」と共同開発した「鹿コロコロ」や、Good Job Coffeeのオリジナルマスコット「Goog Dog 張り子 」は、3Dプリンターと張り子の技術で製作しています。

「Goog Dog 張り子」(右手前)と「鹿コロコロ」(中右)
障害のある人のアート作品をデザインとして使用した商品もある(靴下メーカーTabio × Able Art Company)
Goog Dog 張り子製作中

流通

Good Job!センター香芝の2階には、ストックルームと呼ばれる全国の障害者施設の商品や企業とのコラボ商品を販売するための倉庫兼ストアがあります。

この場所は、倉庫をもって流通拠点を担うことで全国の福祉施設の力になれるのではないかという思いから作られました。全国には、製品や作品を世に出すところまで手がかけられない福祉施設がたくさんあるからです。

実際にストアに置かれている商品のほとんどが全国の施設から仕入れたものだそうです。現在、約150の福祉施設・企業とやり取りをしながら商品のセレクトや在庫管理を行っています。

また、2017年にオープンしたオンラインショップも利用者さんとスタッフさんで運営しています。

作業の様子

カフェ

地域の人も利用できるカフェスペース「Good Job Coffee」では、珈琲や食事・お菓子を提供しています。珈琲を淹れたり食事やお菓子を作るのも利用者さんの仕事です。

カフェの看板メニューであるホットドッグ「Goog Dog」に使うパンは、近隣の福祉施設で作られているものを仕入れています。

看板メニュー「Goog Dog」(写真=施設より提供)
(写真=施設より提供)

アトリエ活動

毎週月・火・金の3日間、北館のアトリエで表現活動を行います。絵を描くなど作品づくりをしたり、ダンスや音楽などのパフォーマンス、創作ワークショップなど学びや体験を主体としたプログラムを実施したりしています。

アトリエ


かわむー
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Good Job!センター香芝では、紹介したような「ある程度決まった仕事」もある中で、個人の得意とする事を活かしながら仕事の幅を広げていくということを実践されていました。

例えば、もともと「絵を描くこと」を目的に通われて来た方がいました。活動をする中で家でお菓子作りをすることを聞いたスタッフが「ここでも作ってみたらどうか」と提案したところ、現在ではカフェで提供するケーキ作りが仕事になったそうです。

さらに、もともとカメラが趣味だった人にはオンラインショップに掲載する商品の物撮りを担当してもらっています。当初は難しいと言われていたけれど、徐々に腕を上げ、今では「私の仕事です」と自信を持って話せるほどになったそうです。

その他、家でよく電話をとる方には、コンシェルジュとして仕事をしてもらっているのだそうです。

普段やっていることや得意を見つけ出して、それを「自分だけの仕事」にする。この環境を丁寧に紡いでこられたスタッフの方には脱帽です。

スタッフの方々も、自分の強みが活かせるように配置されているとのことでした。Good Job!センター香芝で働く全ての人が、生き生きと笑顔で仕事をしているのがとても印象的です。


お菓子作り
商品の物撮り
コンシェルジュ


こだわりの建築

かわむー
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福祉建築家の八木さんも絶賛されていた建築についてもお話をうかがいました。


Good Job!センター香芝の建築テーマは「街並みをつくるアートの森」です。東京に事務所をおく建築ユニット「o+h」の方々とともに2年以上の歳月をかけ、丁寧なやり取りを重ねながら進めてきました。

建築がイメージする「森」には、日が当たり過ごしやすい場所もあれば、木の陰のように落ち着いた居心地の良い場所もあります。その違いを、Good Job!センターの空間でも表現しています。

みんなでワイワイしながら仕事をしたい人もいれば、一人で黙々と仕事をしたい人もいるでしょう。ここで働く人だけではなく、訪れる全ての人が自分の好きな場所を見つけ出してそこで活動したり過ごしたりしてほしいというのがコンセプトです。

また、建物を見にきた建築科の学生が、福祉に興味をもって帰っていくということもあります。様々なプロフェッショナルが関わることでできた新しい繋がりがたくさん生まれています。

日当たりが良くみんなで作業できる空間(写真=HPから引用)
隠れられるような影があり、落ち着いて作業できる空間(写真=施設より提供)


かわむー
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運営母体である「たんぽぽの家」は奈良市を拠点に活動してきたため、当初、香芝市には強い繋がりはなかったそうです。

香芝に施設を作ることが決まり、まずは香芝周辺の地域で製造業を行う企業の方たちに話をきいたり、県内の特別支援学校や行政にニーズをきいたりしながらどんな場所にするか考えました。

当初は、放課後等デイサービスにするのも検討していましたが、色々と話をする中で、障害のある人の「働く選択肢の少なさ」や「給料の安さ」への課題意識が一致し、働く場所を作ることになったのだそうです。

建築の力(ハード面)を感じるとともに、地元の方と丁寧なコミュニケーションをとりながら進めていくという動き方(ソフト面)も、大変勉強になりました。


実際の施設内を見学!

かわむー
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実際に、スタッフの三輪さんに北館と南館からなるセンター内を案内いただいたので、写真とともにご紹介したいと思います。


センターは南館(1F/2F)と北館からなる(写真:公式HPより引用)

南館1F

南館の1階には、ものづくりを行う工房、地域に開かれたカフェがありました。

(写真:公式HPより引用)


工房(CRAFT WORK)
ここでは、利用者さんがものづくりに励まれていました。3Dプリンターやレーザーカッターなどの機械も揃えられており、様々な作業をすることが可能です。自主製品や企業・団体の製品をひとつひとつ丁寧につくられていました。

3Dプリンターにて、カフェのオリジナルマスコットである「Good Dog」のパターン制作中
「Good Dog 張り子」の制作過程
レーザーカッター
商品である「鹿の張り子」制作段階
完成品。どの作品も素敵です!


カフェ(Good Job Coffee)
地域の人も利用できるカフェスペースが、交流や憩いの場としていろんな方に活用されています。実際に珈琲とケーキを注文させていただきましたが、どれもとても美味しかったです!

Good Job Coffee
天井からは、奈良に拠点をおくlistudeさんの「12面体スピーカー」が吊り下げられていました。心地よく広がる音が素敵でした。

南館2F

南館2階はショップとストックルームになっていました。

(写真:公式HPより引用)
2階へあがる階段。写真左上にある照明のシェードの白い布は、たんぽぽの家アートセンターHANAのメンバーやスタッフで織られたそうです。

ショップ
障害のあるアーティストさんが手がけられた商品や、他の福祉施設でつくられたユニークな商品、Good Job!センターで開発されたグッズなどが販売されていました。どの商品もとても魅力的で、私も素敵なアート作品のクリアファイルなどを購入させていただきました…!現在、愛用してます。


ストックルーム
質の高い製品や作品を届ける流通拠点として、商品のセレクトや在庫管理をおこないます。

北館

北館には、ホールとアトリエがありました。

(写真:公式HPより引用)
北館外観


ホール
入り口を入って右手に進むと、アトリエの手前がホールになっていました。ホールは、ダンスや音楽などのパフォーマンス、創作ワークショップなど、さまざまな用途で使うことができます。

うたのワークショップ(写真=施設より提供)
ダンスのワークショップ(写真=施設より提供)


アトリエ
集中して作業したい方用の区切られた空間と、話しながら作業のできる見通しの良い空間がありました。

アーティスト(利用者)さんが集い、作品づくりに励まれます。


かわむー
かわむー

どちらの建物も、施設全体に光が差し込むことで視界の開けた気持ちよさがある一方で、物陰に隠れられるような場所もあり安心感を感じました。

主体性をもってイキイキと活動する方々や、表現することの喜びを全身で感じたことで、地域や社会にとって「必要な仕事ってなんだろう」「障害ってなんだろう」と、改めて考えさせられました。

100人いたら、100人に違う働き方を提案したい」と話されるスタッフ三輪さんの熱い想いにも、大変胸を打たれました。

Good Job!センターが掲げる「誰もがはたらく喜びを実感でき、主体性をもって暮らせる社会」を実現しようというムーブメントが、日本そして世界中に広がっていくことを心から願います。

これからも、Good Job!センター香芝のさらなるご活躍を応援しております。

お忙しいなか、丁寧に取材に対応いただいたセンター長の森下さん、案内して下さった三輪さん、利用者のみなさま、本日はありがとうございました。


施設概要

 運営 
社会福祉法人わたぼうしの会

 開設
2016年9月

■ サービス内容
就労継続支援A型
就労継続支援B型
生活介護

■ 開館時間
10:00 -17:00(日曜・祝日休館)

■ 事業概要
・仕事づくり・商品開発事業
・啓発・教育事業
・福祉事業

■ 所在地
〒639-0231 
奈良県香芝市下田西2-8-1
Tel:0745-44-8229 
Fax:0745-44-8230
Mail:goodjob@popo.or.jp

■ SNS・関連サイト
公式HP
Instagram
Facebook


かわむー
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同法人が運営する福祉施設も取材させていただきました。

たんぽぽの家アートセンターHANA(就労継続支援事業所)
コットンハウス / 有縁のすみか(福祉ホーム)


ぜひ合わせて御覧ください。




以上、本日は奈良県香芝市にある「Good Job!センター香芝」さんを紹介させていただきました。


一人でも多くの方に、Good Job!センター香芝さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。




この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。


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