そこにはたまたま“福祉”があった。社会と福祉を繋げる挑戦者が見つめる世界|坂野拓海さん

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

本日は、東京都千代田区にある珈琲×就労継続支援B型「ソーシャルグッドロースターズ千代田」さんにお邪魔し、施設を運営する一般社団法人ビーンズ代表の坂野拓海さんが考える福祉の可能性今後に思い描くことについてお話を伺いました。

東京を拠点に就労継続支援B型や放課後等デイサービス、共同生活援助施設などの福祉施設を複数経営する坂野さんの魅力に迫ります。

坂野拓海さん

◆ 坂野拓海(さかの・たくみ)さん
1980 年・徳島県出⾝。⼈事として障がい者採⽤に関わった事がきっかけで当事者の悩みや孤独を知り、ボランティアでの活動を経て2016 年に障がい者施設を運営する⼀般社団法⼈ビーンズを設⽴。現在は都内で保育や就労⽀援を⾏う6 施設7 サービスを運営している。2018 年に千代⽥区との協同で設⽴した障がいのあるコーヒーバリスタを育成する福祉施設ソーシャルグッドロースターズはユニークさから内閣府のモデル事業として取材され、2020 年にグッドデザイン賞、2022年にはIAUD国際デザイン賞・金賞を受賞するなど注⽬を集めている。

福祉との出会い

かわむー
かわむー

もともと経営コンサルタントとして勤務されていた坂野さんが、福祉業界に転職されたきっかけはなんだったのでしょうか。


坂野さん
坂野さん

私は、企業の経営コンサルとして数年間働いた後、同じ会社で障がい者を雇用をする人事の仕事をしました。


それを機に、障がい者の方に興味を持つようになった私は、ボランティア活動を始めます。ボランティアは、障がいのある子ども達とさまざまな場所に遊びに行くというものでした。

ボランティアをしているうちに、彼らの深い悩み課題を聞くようになりました。そこで、課題解決のために法人をつくり、まずは移動支援事業をはじめることになります。


かわむー
かわむー

スタートは、移動支援事業だったのですね。

就労支援に転換されたのも、当事者の方々の声がきっかっけだったのでしょうか。


坂野さん
坂野さん

そうですね。ボランティアを通して関わるご家族から、子どもの働く先がないということを多く耳にしました。ハローワークに行っても掃除や箱詰めの仕事ばかりだそうで、やりたい仕事がないのが課題であると感じます。

子どもたちがやりたい!と思える仕事の数を増やしたい。私は子どもたちを集めて、やりたいことをとにかく聞きまくりました。すると、圧倒的に「ものづくり」をやりたいという子が多くいたのです。そこで、2016年9月 渋谷に家具などのものづくりを主体とした就労継続支援B型「TENTONE」を開設しました。

その後、当然、選択肢はたくさんあった方が良いということで、2018年コーヒーの焙煎と販売を主体とした就労継続支援B型「ソーシャルグッドロースターズ 千代田」を開設。また、別法人では花屋の就労支援もしています。

現在も少しずつ環境を増やそうと動いており、2022年にはクラフトビール作りを主体とした施設を東京に開設予定です。

毎回、地域の人や子どもたちとじっくりと話をしながらすすめています。私は、みんなで作り上げることが大切だと考えています。

ソーシャルグッドロースターズ千代田

ありたい自分を諦めない

かわむー
かわむー

坂野さんが福祉を通して目指す世界観とは、どういったものなのでしょうか。


坂野さん<br><br><br>
坂野さん


福祉とは、ありたい自分を追求することだと考えます。

私は、福祉施設の運営を通して、ありたい自分でいることを諦めなくてもいい社会=「Leave No One Behind誰一人取り残さない」社会の実現を目指しています。

人は一人では生きていくことが出来ないため、ありたい自分でいるには、誰かの力を借りなければなりません。誰かに力を借りるためには誰かの役に立つ必要がありますが、それはすなわち社会への貢献そのものです。

ありたい自分を追求していくこと(=福祉)は、巡り巡って、社会への貢献に繋がるのです。

「誰一人取り残さない」と掲げる以上、障がい者だけではなく全ての人の想いを支援する必要があります。世の中には、福祉だからこそできることはたくさんあります。

福祉には社会を良くする力があることを、私は確信しています。

かわむー
かわむー

福祉施設(就労継続支援B型)を運営するなかで、坂野さんが大切にしていることは何ですか?


坂野さん
坂野さん

利用者さんの多くは、最初はただ「働きたい」とか「この作業してみたい」などといった理由から通い始められますが、だんだんと職場になれてくると、「この役職につきたい」とか「給料でお母さんに何か買ってあげたい」など、働く理由がより明確になっていきます。

私は、関わる全ての方が自分の成長を感じられる職場にしたいと考えています。そういう職場だったら、職員も利用者さんも、みんなハッピーだと思うのです。

福祉施設で働いている人からは、しばしば自身の成長を感じないという声を耳にします。でも、職場って、成長を感じた方が楽しいしやりがいがあると思うんです。

私の施設で働く全て方には、自分のキャリアにとって「良かった」と心から思える体験をしてもらいたいです。そのため、私はありたい自分を一緒に考えることを大切にしています。


そこにはたまたま”福祉”があった

かわむー
かわむー

さまざまな福祉施設を運営する中で、やりがいを感じるのはどんな時ですか?


坂野さん
坂野さん

就労支援の作業所に行くたびに、利用者さんやスタッフがどんどんとパワーアップしているのを感じた時です。現場は本当に活力にあふれていて、その成長スピードにはいつも驚かされます。

福祉をやっていると、想像を超える成長をとても感じます。それがとっても嬉しいです。

みんなの成長が早すぎるので、私も選択肢を増やすために必死になって動いています。色んなことに挑戦できる現場や環境をつくれるよう、スタッフが夢を持ち続けられるよう、私も一生懸命頑張るしかないです。


かわむー
かわむー

坂野さんをみていると、福祉現場に関わってみたいなとワクワクしてきます。

福祉に興味はありつつも、その関わり方が分からないという、動きたくても動けていない方は多くいそうですよね。


坂野さん
坂野さん

そうなんです。最近、福祉に価値があると興味を持ってくださる方が増えたなと感じます。

でもみなさん「参加したい」「関わってみたい」と思っていても、関わり方やはじめ方が分からないんですよね。

私は福祉施設を経営する者として、福祉がどんどん社会に進出するためには、こちら側から両手を広げて待っている必要があると思っています。福祉って楽しいものだから、それを分かち合える仲間と一緒に社会を盛り上げていきたいです。

福祉だからって気張ることなく、働きたいところにたまたま福祉があった、みたいな形を目指しています。だから、気軽にお声がけいただけたらと思います。


かわむー
かわむー

私自身、ソーシャルグッドロスターズを知ったのは、イベントに出店されていたことがきっかけです。そのコーヒーの味に惚れ込みお店を詳しく調べたところ、福祉施設が作られているとのことで驚きました。

普通のコーヒー店とは一味違う、コーヒーから伝わってくる色んな方のストーリーや想いが特別な温かみを生み出しています。そんな自然と心が豊かになるような感覚に、とても価値を感じました。

「いいなと感じたところに、たまたま福祉があった」。坂野さんが描かれている世界観が、まさにコーヒーに表現されています。

福祉を通して描く未来

かわむー
かわむー

最後に、今後挑戦したいこと未来に思い描くことを教えて下さい。


坂野さん
坂野さん

先程もちらっとお話しましたが、今後はビール作りを主体とした施設を開設予定です。また、食を主体とした新たな展開も、現在すすめているところです。

その他、障がい者の家族の支援や精神障がいの方が住む家の提供、児童養護施設(親のいない子どもの家)の運営をしようと考えています。

本当にやりたいことがたくさんあって大変ですが、日々とても楽しいです。


かわむー
かわむー

坂野さんが、福祉の魅力を最大限に活かしつつも心から楽しみながら動かれていることがよく分かります。素敵なお仕事ですね。


坂野さん
坂野さん

先日、辞書で「人間」という言葉をひいたところ、ものすごく良いことが書かれていました。

人間とは、他の人間とともに何らかの関わり合いをもちながら、社会を構成し、何事かに寄与すること

お互いに何らかの関わり合いをもって始めて人間なんだということに、とても納得しました。本質的ですよね。

関わり合いをもつことによって活かされ、ありたい自分になれる。そこには貢献とか寄与が必要となる。これって、まさしく福祉だと思いました。

私はこれからも、福祉にこだわって職場や商品をつくっていきたいと考えています。ビジネスを優先しなくてもいいところが、福祉の最大の武器です。その環境だからこそ、コーヒーの売上で社会が循環するような仕組みづくりに挑戦しようと思えます。世の中のすべての人に、「これが福祉だ」といっていきたい。

誰一人として取り残さない、全ての人がより良く生きるために必要なモノやコトを、私は社会に生み出し続けます。


会社概要

一般社団法人ビーンズについて

設立
2016年6月1日

■ ビジョン
Leave No One Behind(誰一人取り残さない)

ミッション
「常に取り残される少数の側に立って、今の時代に必要とされる生きるための選択肢をつくること」

■ 支援バリュー

本人主体の自立支援の原則のもと、本人の「自己決定」「自己受容」「自立的な人間関係の構築」を支援する

■ 運営バリュー
健全な財務会計と法令遵守の徹底で支援を未来に継続する

■ 育成バリュー
それぞれが自分の役割に誠実でありながら、違いを認め対等な関係の輪を拡げること。

■ 社会バリュー

「違いを認め生きていくことの価値」を正しく社会に発信していくこと

■運営施設
就労継続支援B型ソーシャルグッドロースターズ千代田
放課後等デイサービス豆庭
就労継続支援B型TENTONE
・共同生活援助施設Mamesso
・共同生活援助施設Mamesso千代田
・共同生活援助施設Mamesso府中


かわむー
かわむー

福祉とは「よりよく生きる」ことである。だからこそ、福祉を追求し続ける必要があるということを、坂野さんの言葉や強い眼差しから感じました。

これからも、坂野さんのさらなるご活躍を心より応援しております!

ソーシャルグッドロースターズ千代田の皆様、取材に丁寧に応じてくださった坂野さん、本日はありがとうございました。



かわむー
かわむー

ソーシャルグッドロースターズ千代田のリハノワ記事はこちら

写真提供:ひろし(カメラマン/理学療法士)


ぜひ合わせてご覧ください。



以上、本日は東京を拠点に複数の福祉施設を展開する「坂野拓海さん」を紹介させていただきました。


一人でも多くの方に、坂野さんの素敵な想いがお届けできれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。



この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました