それぞれの「良い」が実現できる世界を目指して。常に学び、成長し続ける理学療法士|米元佑太さん

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

今回は、大阪府門真市にある重症患者を在宅で積極的に看る「える訪問看護ステーション」で働く理学療法士の米元佑太さんを取材しました。実際に訪問リハビリにも同行し、現場を見学させてもらいました。

本記事では、米元さんのこれまでの歩みや理学療法士として大切にする思い、日々の勉強方法や今後チャンレンジしたいことについて紹介します。

理学療法士・米元佑太さん

◆ 米元 佑太(よねもと・ゆうた)さん
1989年大阪府出身。2011年畿央大学卒業後、東大阪山路病院へ入職。2016年より吉備国際大学大学院保健科学研究修士過程へ進学し、理学療法の理論や尺度開発に関する研究などに力を入れる。その後、病院ではリハビリ部門長として管理業務を経験。2023年6月より株式会社えるに参画し、現在は訪問看護事業本部長として管理業務およびリハビリ業務に従事する。認定理学療法士(管理・運営、臨床教育、脳卒中)、日本理学療法士協会代議員、大阪府理学療法士連盟青年局長。


かわむー
かわむー

米元さんが理学療法士の道を目指したきっかけを教えてください。


米元さん
米元さん

父親が柔道整復師で整骨院を営んでいたので、患者さんとやり取りしたり往診に行ったりする姿を見て育ちました。また、高校のクラブ活動では理学療法士やアスレティックトレーナーに教わりながら学生コーチとしてチームをサポートしていたので、リハビリに関わる仕事にはずっと親近感を持っていました。

一方で、実は、高校2年生までは理科か社会の教師になりたいと思い、教育学部への進学を考えていました。しかし、進路選択の時期にちょうど教師によるパワハラ問題が世間を賑わせており、教師の道は断念。その時に自然と考えるようになったのが、リハビリの仕事でした。

家族から「整骨院と似たような仕事で、理学療法士というのがあるよ」と教えてもらい、早速、職業ガイドを読むなどして仕事内容を調べてみました。

リハビリの仕事にもいろんな職種があることを知りましたが、自分には理学療法士があっているのではないかと考え、奈良県にある畿央大学理学療法学科を受験し、進学しました。


かわむー
かわむー

米元さんの訪問リハビリに同行させてもらいましたが、利用者さんや私にも一つひとつ丁寧に分かりやすく説明して下さっていたので、教員を目指していたと聞いてとても納得しました。(本当に、教え上手…! )

大学へ進学後は、どのように過ごされましたか? 印象に残っていることなどあれば教えてください。


米元さん
米元さん

僕は昔から、興味があることは理解するまでとことん突き詰めるタイプだったので、好きなことばかり勉強していましたね。教科でいうと、生理学が好きでした。

また、大学2年生頃からは認知神経科学にも興味を持つようになりました。認知神経科学とは、認識の生物学的メカニズムを科学的に研究する学術分野です。神経系の学会にも参加し、学生ながら積極的に質問していたのを覚えています。

実習では、「患者さんが良くならないのは勉強が足りないからだ」と思い、さらに勉強するようになりました。「患者さんに迷惑をかけてはいけない」と必死でしたね。

卒業後は脳血管疾患後のリハビリに携わりたいと考え、就職活動をすすめました。そして、最終的には、実習先でもあった医療法人孟仁会に就職。系列病院の東大阪山路病院に配属され、以降、そこで10年以上働くこととなります。



枯渇することのない探究心

かわむー
かわむー

とにかく勉強熱心なイメージのある米元さんですが、やはり学生時代からずっと向上心をもって学んでこられていたのですね。

実際に理学療法士として臨床で働くようになってから、力を入れたことや壁にぶつかったことなどはありましたか?


米元さん
米元さん

就職してからも、僕はひたすら勉強しました。学生時代から変わらず、臨床での結果は勉強量でカバーできると考えていたからです。

しかし、働きだして数年後、僕は大きな壁にぶち当たります。

病棟看護師さんや患者さんとやり取りする中で、理屈では正しいはずなのに、なぜか「うまくいかない」「おかしい」と感じることが増えていったのです。そこから僕は、コミュニケーションについて勉強するようになりました。

色々と調べる中で、吉備国際大学大学院の京極先生が考案した「信念対立解明アプローチ」に出会います。

「この人なら僕の抱えている課題を解決してくれるかもしれない」という希望を持ち、岡山で開催された書籍の出版記念イベントに参加しました。そして、講演後に悩みを相談させてもらったのです。

後日、先生にいただいたアドバイスを職場で試してみたところ、確かに良い反応が返ってくるのを実感しました。信念対立アプローチに関する論文を先生と一緒に発表し、その後、大学院(京極先生の研究室)に進学しました。

大学院で学んだことで、相手の立場を考えた上で目的の提示をすることができるようになり、臨床でのコミュニケーションが上手くいくようになりました。

また、「どんなに勉強してもうまくいかないことがある」というのを自分自身が受け入れられるようになったも、大きな変化でした。


信念対立とは、その人にとって疑いの余地のない確信が矛盾する事態に直面した時に生じる確執のこと。信念対立解明アプローチ(dissolution approach for belief conflict : DAB)は、信念対立の克服の条件に「相対可能性」と「連携可能性」という2つの条件を挙げる。相対可能性とは異なった状況や関心によって、人々に異なる信念が成立していると意識化できるようになること。連携可能性とは、状況、関心、信念を共有し、人々が多様性を認め合った上で設定できる共通目標を探り、それを達成するために協働していくこと。信念対立解明アプローチでは、この2条件から、解明態度、解明交流法、解明評価、解明術という技術を整備し、アプローチする。

米元佑太・京極真.信念対立解明アプローチによって治療関係が改善し 身体活動量が向上した慢性閉塞性肺疾患症例. 理学療法学. 2015,30(3),p.483–487 より引用、一部改編


かわむー
かわむー

臨床での問題解決のみならず、ご自身にとっても大きな変化が見られたのですね。学びに対する姿勢や探究心が素晴らしいと感じました。

常に学び続けることをやめない米元さんですが、普段の勉強や情報収集はどういった方法でされているのでしょうか?


米元さん
米元さん

基本的には教科書や雑誌で勉強します。本屋さんに並んでいるものやネットでおすすめされるものを、片っ端から手にとって読んでいます。

また、入職当時からTwitterを活用して、主に医師や人文学者、教育学者の方をフォローして情報収集をしていました。学会にも積極的に参加し、最新の知見をアップデートしましたね。

その他、身近にロールモデルとなるような素晴らしい先生がいたので、環境にも恵まれていたと思います。

僕が病院に就職した当時、畿央大学の現准教授の先生がリハビリ部門長として働かれていました。患者に真摯に向き合い、昨晩公開された論文を翌朝には教えてくれるような、とても勉強熱心な先生でした。頭の回転が早く、何でも知っていてかっこいい、まさにロールモデルとなる存在でした。


新たなステージ

かわむー
かわむー

2018年からはリハビリ部門長としてマネジメントにも力を入れてこられた米元さんですが、2023年6月から、える訪問看護ステーションに舞台を変えてご活躍されています。

現在の働き方や仕事内容について教えてください。


米元さん
米元さん

現在、僕はえる訪問看護ステーションの訪問看護事業の本部長として働いています。

理学療法士として訪問リハビリの現場に行ったり、会計や採用などバックオフィスの構築に力を入れています。仕組みづくりや調整業務は好きなので、得意を活かしながら仕事をさせてもらっています。

代表(河添有希さん)とは違う視点から、事業がうまくいくようにお膳立てをしていくのが僕の役割です。


かわむー
かわむー

米元さんが入職されるとお聞きし、とてもびっくりました。える訪問看護ステーションが、さらに強く、面白い組織になるのだとワクワクします。

入職して数週間がたった今、率直に、どんなことを感じていますか?


米元さん
米元さん

今、とても楽しいです!

正直、ここの会社にはいつか来るだろうなって思っていました。

彼(河添さん)のビジョンに共感するし、だからこそ一緒に働きたいと思うし、僕のこれまでの経験やスキルが今のこの会社に活かせると思っていました。その時がついにきた、って感じですね。

僕自身は、間違っていると思ったら「違う」というし、かなり扱いにくい人間だと思います。それでも、そこをかってくれてのびのびと働かせてくれているので、代表やメンバーには感謝の思いでいっぱいです。

創業したばかりの会社なので一時的なリスクも伴いながら進んでいくことの大変さはありますが、組織をさらに大きくしていくために、これからも頑張りたいと思います。


代表のえるさんこと河添有希さん(左)と米元さん


よい理学療法とは?

かわむー
かわむー

最後に、米元さんが理学療法士として働く上で大切にしていることを教えてください。


米元さん
米元さん

「よい理学療法とは何か」という問いがあった時、みなさんはどう答えるでしょうか?

僕は、「対象の選択可能性を確保し、目的の達成に貢献できた理学療法が、よい理学療法である 」と考えています。

なので、これを実現できる理学療法士であるかどうか、常に自分に問いかけながら仕事をしています。


それぞれの「良い」を実現する

対象者を中心とした円の周りで、自分の専門性やその他のあらゆるリソースを活かしながら、「相手の良い」と「自分の良い」を丁寧にすり合わせていくことを大切にしています。

在宅医療に関わるようになり感じることは、地域の中で働くうえでは本当に様々なステークホルダーとの連携が必要だということです。それぞれの「良い」をすり合わせながら、バランス感とスピード感をもって、これからも理学療法を実践していきたいと思います。


かわむー
かわむー

「選択可能性の確保」という表現、とても良いですね。人の生活機能をみるスペシャリストとして、覚えておきたい素敵な言葉をいただきました。

一人ひとり違う「良い」を尊重しながらも、自分の専門性を活かしてその実現にこだわり抜くことが大切なのですね。

現場と経営そして地域のあらゆるステークホルダーとのバランスをとりながらサポートする米元さん、非常にかっこいいなと思いながらお話を伺っておりました。

病院から在宅領域に活動の拠点を移した米元さんの、これからのさらなるご活躍を心から応援しております。

丁寧に取材に応じてくださった米元さん、代表の河添さん、スタッフの皆さま、ご利用者さま、ありがとうございました。



かわむー
かわむー

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以上、今回は大阪府門真市にあるえる訪問看護ステーションで働く理学療法士の米元佑太さんを紹介させていただきました。

一人でも多くの方に、米元さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。


この取材は、御本人から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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