小児のリハビリ界に “パラダイムシフト” を起こしたい!|理学療法士・小柳翔太郎さん

みなさんこんにちは、リハノワ.comのかわむーです!

本日は、広島県広島市中区にある「訪問看護ステーション あすか」で理学療法士として働く小柳翔太郎さんを取材してきたので、皆さんにご紹介したいと思います!


普段 、小児のリハビリ分野でお仕事をされる中で感じることや、理学療法士として大切にされている熱い想いなど、その魅力にとことん迫っていきたいと思います!


かわむー
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・訪問看護ステーション あすかさんの紹介はこちら

実際に小柳さんが担当する利用者さん(親子)の声はこちら。
 ・前編:「病気のお話」や「食事・食育」「リハビリ」について
 ・後編:  お母さんの熱い想いや皆さんへのメッセージ

・小柳さんのTwitterこちら

ぜひ合わせてご覧ください。


理学療法士・小柳翔太郎さん

かわむー
かわむー

小柳さんが普段、理学療法士として関わられている方や専門分野を教えてください!


小柳さん
僕は普段、訪問リハビリという形態で、早産児や脳性麻痺をもつ子ども達などのリハビリを担当しています。

以前は成人もみていましたが、今の職場に来てからは「小児のリハビリ」をメインで担当させていただき、たくさんのお子さんや親御さんと関わらせてもらっています。

かわむー
かわむー

小児の訪問リハビリ」を専門にされているとは、かなり希少な存在ですね!

小児のリハビリはいつからされているのですか?


小柳さん
理学療法士になってはじめの頃から、小児のリハビリには関わっています。

はじめの3年間は、京都の急性期病院で働いていました。
そこには、僕の恩師でもある当時リハビリ科の科長さんがいたのですが、その方が非常に熱い想いを持っている素敵な方でした。学生の時から「理学療法士になったら、この人の元で勉強したい!」と強く思っており、就職先はこの恩師のいる病院を選びました。


その病院に就職してからは、成人の入院リハビリも担当しながら、子どもの入院・外来リハビリも経験させていただきました。NICUから外来までみている病院だったので、恩師は患者さんのと付き合いが十数年にもなっていました。


当時 “小児リハの世界で自分がトップになる!” と意気込んでいた自分に対し、恩師は “自分がトップになるという自己的なものでなく、将来の子ども達のために新しい治療法を考えてやる!といった利他的なものになってほしい” と言ってくださいました。今でもこの言葉を大切に日々仕事をしています。

かわむー
かわむー

学生の頃から “小児のリハビリに携わりたい” という熱い思いがあり、広島から京都まで行かれたんですね!すごいパワーです!

1年目の頃から尊敬する師匠の背中を見て学ぶことができ、小児のリハビリに携わることだできたのは非常に良い経験だったのではないでしょうか。

“自己的ではなく利他的であれ” という師匠のお言葉、非常に素敵ですね。




セラピストになったきっかけ

かわむー
かわむー

小柳さんが、“理学療法士になりたい” “子どものリハビリに携わりたい” と思ったきっかけはなんだったのですか?


小柳さん
僕はもともと小児喘息があって、子どもの頃は病院通いの日々でした。そこで小児科の先生を見て、医療の世界に憧れを持ったのが最初です。“僕もいつか子どもを元気にすることができる大人になりたい” と思いました。

それからは、サッカーを通してスポーツドクターにもふれたりして、より子どもと関わる仕事って素敵だなと思うようになります。

一時は、保育士もいいかな〜なんて思ったりもしていました。

かわむー
かわむー

子どもの頃に診てもらっていた先生がきっかけで、小児に関わる仕事をしたい、と思うようになられたんですね!

保育士さんという選択肢もあった中で、どうして “理学療法士” になろうと思ったのですか?


姉から「理学療法士っていう仕事があるよ!」と教えてもらいました。

姉はドラマ『オレンジデイズ』を観て僕にそういったようです。今思えば、オレンジデイズは作業療法士さんが主役だったかと思いますが(笑)、僕はそれから理学療法士という仕事について調べるようになりました。

子どもと関われて成長を支援できる「小児の理学療法」というものがあることを知り、とても魅力を感じました。この時は、おそらく病児保育的なイメージを持っていたと思います。

しかし、学生時代に広島県にある療育センターで実習をさせてもらったり、色々な方の話を聞いたりする中で、次第にそのイメージ変わっていきました。





大変だった経験

かわむー
かわむー

普段ほとんど小児に関わらない私からしたら、小児の分野って特殊でなんだか難しいイメージがあるのですが、小柳さんが小児の理学療法分野で働かれる中で、“苦労したこと” や “大変だった経験” はありますか?


小柳さん:
僕の場合は「子どもの発達」というところで、最初はけっこう苦労しました。学生時代の授業では「反射」のことしか習わなくて、発達に関してはそこまでだったんです。

治療といえば、なにかテクニック(神業的なもの)を使うのが主流だと思っていましたが、 “それだけじゃない!” ということを京都の時の科長さんが教えてくれたので、ひたすら発達の知識を入れるために勉強しました。それがとても大変でしたね。


理学療法(テクニック)だけを学ぶのではダメで、“子どもの発達” というものを学ばないといけない。そして、いつまでも学び続かないといけない というのは小児の分野で特に感じる大変さかな、と思います。

逆にそこが面白いところだとも感じています。

かわむー
かわむー

なるほど、確かに私も学生時代の小児の授業では、反射について一生懸命勉強していた記憶があります。

個人的に言語でのスムーズな疎通が図れない小児分野では、コミュニケーションはどうしてるのかな?と気になります。



小柳さん:
コミュニケーションを取るのが難しいと思われるかもしれませんが、それ自体はある程度慣れもあるのかな、と感じています。

言語でのやり取りが難しい子どもとのコミュニケーションのコツは、子どもの発信するサインをしっかりと受け止めて、子どもの目線で考え、そのサインに応えるという双方向のやり取りを大切にする事だと思っています。
また、そようなやり取りを、長い付き合いの中で積み重ねていくものなのかな、と思います。


赤ちゃんとのコミュニケーションは、赤ちゃんから好かれるように “リズムを合わせる” だとか、色々とあります。

あと面白いのは、赤ちゃんに「正義」がわかるのか?という研究もあったりします。赤ちゃんにも、ある程度「正義」はわかるみたいです。


それらは、「赤ちゃん学会」という工学・物理を専門とする人から保育士さん、医療者、心理学を専門とする人など幅広い人が集まる学会で言われていたことです。赤ちゃんに関しても、最近では基礎から臨床まで幅広く研究・議論されてきています。

 

かわむー
かわむー

コミュニケーションは、まずはしっかり真摯に関わり、経験する事が大事になるのですね。

また、赤ちゃんに関して研究・議論されている「赤ちゃん学会」というものがあるとは知りませんでした。本当に他分野の方が関わられていて面白いですね!

学会の中で小柳さんが特に面白かったと言われていた「構成論的発達科学」という分野も、非常に興味深いものでした。





やりがいを感じる瞬間

かわむー
かわむー

小柳さんがお仕事をする中で、“やりがいを感じる瞬間” などがあれば教えてください。


小柳さん
子どもの成長をお母さんと共有できた時” はとっても嬉しいし、やりがいを感じます。

お母さんと一緒に決めた目標をクリアできた時など、一緒になって成長を喜びます。

僕の関わる小児のリハビリでは、よくも悪くもゆっくりなので、成長を感じられた時はとにかく嬉しいです。


かわむー
かわむー

きっと、お母さんにとっても、我が子の成長を一緒になって喜んでくれるとてもかけがえのない存在なのでしょうね。

小柳さんの子どもを思う熱い気持ちが、お母さんにもきっと伝わっていると思います。




僕が描く未来と決意

かわむー
かわむー

最後に、小柳さんがセラピストとして “大事にしていること” や “モットー” さらに “今後の小児のリハビリ” について考えてられている事があれば教えてください。


小柳さん:
僕が子どもと関わるで大事にしているのは、“一人称は常に子ども” ということです。


僕が何かをする(治す)のではなくて、子どもが何かをする時に、自分はその環境要因の一つでありたい と、常に思っています。その視点は教育や保育に近いかもしれません。

ただ一緒に遊んでいるのではなく、ちゃんと治療として考えながら行っていはいますが、やはり大事にしているのは、“主役は子どもで、自分はそれを支える人” ということです。



医療は日々進歩していますが、実は「小児のリハビリ」に関しては、ここ数十年ほとんど変わっていないと感じています。 

先ほどお話したようなことを大事にしながら、僕は、小児のリハビリ界に “パラダイムシフト” を起こしたい!と思っています。

僕はまだ何も成し遂げられてはいませんが、何かを成し遂げるため、その努力は続けてこうと思います。



“ 子どもたちが主役の人生を、より楽しく生きていけるように ”


僕はそれを影から支え、これからも小児のリハビリの世界で闘志を燃やし続けます。


かわむー
かわむー

小柳さん、力強いメッセージありがとうございました!非常に熱い想いに胸があつくなりました。

最初に言われていた “自己的ではなく利他的であれ” という師匠の言葉が、そのまま今現在の小柳さんのモットーになっているのですね。“あくまでも自分は環境因子の一つであり、主役は子どもである” という言葉からは、私自身とても大切なことに気づかされました。

小柳さんが小児のリハビリ界に “パラダイムシフトを起こす!” こと、本当に楽しみにしています。


小柳さん、本日はありがとうございました!







以上、本日は広島県の広島市中区にある「訪問看護ステーション あすか」で理学療法士として働く小柳翔太郎さんを紹介させていただきました。


一人でも多くの方に、小柳さんの素敵な想いがお届けできれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワ.comをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。




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