難病の方にも「mediVRカグラ」を届けたい。当事者の視点を併せ持つセラピスト・杉山晴香さん

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

今回は、東京都の東日本橋にある「mediVRリハビリテーションセンター東京」のスタッフで、難病・重症筋無力症当事者でもある杉山晴香さんをご紹介します。

杉山さんは、実際にmediVRカグラを使ったリハビリを実践しながら、スタッフとしても働かれています。

本記事では、当事者の視点を併せ持つスタッフの杉山さんに、これまでの歩みやmediVRカグラを使用して感じたこと、VRリハビリの今後に思い描くことについてお話を伺います。

杉山晴香さん

栃木県出身。2016年国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科卒業。栃木県の佐野厚生総合病院にて主に急性期リハビリテーションに従事。2018年に指定難病である「重症筋無力症」の診断をうけ退職し、その後慶應義塾大学病院に入職。医事課に所属し、主に救急外来事務として従事。2022年5月mediVR入社。

<重症筋無力症とは>
末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患。 全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、 複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴。厚生労働省が指定する難病(特定疾患)の一つで、日本では約15000人の患者さんがいるとされている。

参考:難病医学研究財団/難病情報センター

難病・重症筋無力症とともに

かわむー
かわむー

杉山さんは、もともと理学療法士として病院で働かれていたのですね。

現在も難病・重症筋無力症と付き合いながら勤務をされているとのことですが、これまでの歩みについて教えていただいても宜しいでしょうか。


杉山さん
杉山さん

理学療法士という仕事は、中学の時に腰のヘルニアで自身がリハビリを受けたことから知りました。もともとは獣医になりたいという夢もあったのですが、大学受験の直前に進路変更し、理学療法の道に進みました。

大学卒業後は総合病院に就職し、理学療法士として入院患者さんのリハビリを担当しました。リハビリの仕事は本当に大好きで、毎日がとても楽しかったです。

しかし、就職して3年目の頃から次第に体調を崩すようになりました。はじめに異変に気づいたのは料理の時でした。包丁を持つ手が震えて、調理をすることが難しくなったのです。仕事中も、リハビリの計画書を説明する時に手が震えました。

その後、次第に疲れやすくなり、転んでしまうこともありました。


体調の異変が目に見えて患者さんにも伝わってしまうので、どうにかしなければならないと思い、神経内科を受診しました。

神経内科では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーが疑われ検査が進められました。ちらっと見えるカルテの病名が理解できるのも辛いものですね。

その後、「重症筋無力症」という診断がつきました。仕事は週5日から4日にするなどしてできる限り続けましたが、急性期病院で患者さんの介助をすることは難しく、迷惑もかけてしまうと思い、病院を退職することになりました。



かわむー
かわむー

就職して3年目というと、仕事もちょうど楽しくなってきた頃だったのではないでしょうか。相当辛い決断だったと思います。

その後、病状はいかがでしたか?


杉山さん
杉山さん

リハビリ現場を離れたのち医療事務として大学病院で勤務したのですが、病状の安定にともない、「もう一度、リハビリの現場で働きたい!」と思うようになりました。

しかし、病院勤務や訪問リハビリは体力的に難しい。なにか、私にできるリハビリの仕事はないかと色々と探していました。

その時に出会ったのが「mediVR」です。

たまたま製品について知る機会があり「面白そう…!」と思った私は、すぐさまHPから問い合わせてオンライン面談を取り付けました。

面談当日、私はスタッフの方からmediVRに関する説明がうけられるのだろうと思っていたのですが、画面の向こうには代表である原先生がいました。

mediVRカグラやリハビリテーションセンター、私の状況などをお話したのち、「うちでリハビリをしながら働いてみてはどうか」と提案をいただきました。

mediVRではオンラインでリハビリサポートをする仕事もあり、いざという時は在宅でもできるため、体調の変動しやすい私には働きやすい環境だと感じました。

問い合わせをした翌月から、株式会社mediVRで働くこととなりました。


mediVRカグラでのリハビリ

かわむー
かわむー

mediVRでリハビリをしながら仕事もできるのはとても良さそうですね。初めて面談をしてから翌月には働き始めることとなるとは、そのスピード感にも驚きです…!

現在は、どういった働き方をされているのでしょうか。杉山さんのmediVRを使ったリハビリについても気になります。


杉山さん
杉山さん

現在、mediVRリハビリテーションセンター東京でリハビリのサポート業務にあたっています。そのため、基本的には体調にあわせて東日本橋まで通勤しています。

対面で患者様のリハビリのサポートをすることもあれば、オンラインでサポートすることもあります。

私自身のリハビリは、現在は週に2回、mediVRカグラを用いて実施しています。スタッフのセラピストに手伝ってもらって、フィードバックを受けながら進めます。

自分の身体の状況を的確にフィードバックしてもらえるのでとても助かっています。第3者のプロの視点が入り、自分の今の身体の状況を知れるのはとても良いですね。


かわむー
かわむー

体調に左右されることもあるかもしれませんが、開始して半年が経過して、身体の変化はありましたか?


杉山さん
杉山さん

5月に入職したときは、体幹が弱い状態でした。

しかし、mediVRカグラでリハビリを継続していたら、体幹が徐々に強化されていきました。最近では、歩行時のふらつきも減ってきています。

これまで、階段の上り下りは手すりに捕まりながらゆっくりと行っていましたが、最近ではスムーズに動けるようになりました。

股関節など身体をガチガチに固めて動いていたのですが、mediVRカグラでのリハビリを続けたことで身体の緊張が緩み、動く時の柔らかさが出てきたようなイメージです。

最近では、長く歩いていると膝周りに頼りなさを感じるようになりました。これは、これまでとは違う動き方ができている証拠だと思います。少しずつ良くなっているのを実感できて嬉しいです。


患者と医療者の視点を持って

かわむー
かわむー

杉山さんがリハビリをしながら仕事復帰もできて、本当に良かったです。

働くなかで、嬉しかったエピソードややりがいを感じた瞬間などがあれば教えて下さい。


杉山さん
杉山さん

まずは、4年ぶりに現場で働くことができたことがとっても嬉しかったです。

患者さんと話すのも楽しいですし、患者さんが喜ぶ姿を見るのはとてもやりがいに繋がっています。

脳卒中による片麻痺の方だと、mediVRカグラで重心移動の練習をしたあとに、歩行速度が上がる方が多くいらっしゃいます。

歩行のテストであるTUG(Timed Up and Goテスト)が劇的に改善したり、麻痺側に体重がかけられるようになることでスムーズに歩けるようになったりしました。1回で効果がでるので、とても喜んでくれます。



かわむー
かわむー

病院でのリハビリと違って、苦労したことなどはありますか?


杉山さん
杉山さん

VR空間でのリハビリということもあり、これまで病院で提供していた対面でのリハビリとは全く別物なので難しさは感じます。

病院では、例えば、THA(人工股関節置換術)やTKA(人工膝関節置換術)のようにある程度プロトコルが決められたリハビリメニューもありますが、mediVRカグラを使用したVRリハビリはかなり複雑です。

現実世界と仮想空間での患者さんの様子を同時に観察しながら、さらには身体面から精神面まであらゆるものを包括的にサポート・評価しなければなりません。

難しくはありますが、患者さんをみる目は確実に養われます。

これまで病院で働いていた時には、認知面に対するリハビリを積極的に行うことは少なかったのですが、今はmediVRカグラを使って認知面にもアプローチできるので楽しいです。



難病の方に選択肢を

かわむー
かわむー

最後に、杉山さんが今後チャレンジしたいことがあれば教えて下さい。


杉山さん
杉山さん

私と同じように難病で苦しむ方に、mediVRという選択肢を示していけたら良いなと考えています。

重症筋無力症の患者会では、当事者の方と情報交換など様々なやり取りをしているのですが、リハビリに困っている方は多くいらっしゃいます。

これまでできていたことができなくなる、ということも多々あり、今の生活や体力を「維持すること」が日々の目標になります。

しかし、病気の特徴として夕方に症状が悪化する「日内変動」もありますし、どんなリハビリをしたら効果があるのか、そもそも方法も分からないような状況です。

mediVRカグラであれば、座ったままでリハビリが可能ですし、担当のセラピストが自分にあったリハビリを提供してくれるため、身体にも負担が少なく効果的なリハビリが行える可能性があります。

私は今、患者兼社員としてmediVRカグラでのリハビリを実践していますが、その効果が私の身体でも証明できたら、周りの難病で苦しむ方々にどんどん教えてあげたいです。


かわむー
かわむー

実際にご自身でもリハビリを実践しながら、難病で苦しむ方々の選択肢を広げようとご活動されている杉山さんの姿に心を打たれました。

重症筋無力症への効果が実証され、リハビリの選択肢の一つとして広がっていくといいですね。

当事者と医療視点を併せ持つ杉山さんのこれからのご活躍を、リハノワも応援しております。

杉山さん、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。



かわむー
かわむー

<mediVR関連記事>

mediVRリハビリテーションセンター東京
mediVRカグラ_製品紹介
リハビリ当事者の声

ぜひ合わせてご覧ください。




写真提供:ひろし(カメラマン/理学療法士)


以上、本記事では東京都中央区にある「mediVRリハビリテーションセンター東京」のスタッフ・杉山晴香さんを紹介させていただきました。

一人でも多くの方に、杉山さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!

かわむーでした。

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