みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
本日は、東京都千代田区にある「ソーシャルグッドロースターズ 千代田」さんをご紹介します。
ソーシャルグッドロースターズは、障がいのあるバリスタや焙煎士が活躍する福祉施設(就労継続支援B型)です。2021年11月に開催されたケアリングマーケット(@下北沢BONUS TRACK)に出店されていたのがきっかけで、今回取材をさせていただくことになりました。
本記事では、実際の写真も多く交えながら施設や商品の魅力についてお伝えしていきたいと思います。
ソーシャルグッドロースターズ 千代田
一般社団法人ビーンズが運営するソーシャルグッドロースターズは、千代田区との協同で設立された障がいのあるバリスタや焙煎士が活躍する福祉施設(就労継続支援B型)です。
「Leave No One Behind ( 誰一人、取り残さない ) 」というビジョンのもと、障がいのある方がコーヒーの仕事を通じて自立することを支援しています。施設にはロースタリーカフェが併設され、一杯のコーヒーを通じて人と人がお互いに違いを認め合い対等に生きていくことの価値を伝えています。
障がい者「でも」できる作業ではなく、コーヒーを通じてひとりひとりが「やりたい」と思う仕事で、自信と誇りをもって働き成長できる機会を提供しています。
実際の仕事の様子
実際に、店舗内や作業風景を見学させていただいたのでご紹介してきたいと思います!
仕事内容は大きく分けて、「ハンドソーティング(豆の選別)」「焙煎」「抽出」「接客・伝える(時に取材を受けていただいたりもします)」の4つです。さらに細かい仕事として「商品のパッキング」や「清掃」などもありました。
利用者は、一連の業務を理解し、経験した上で、ご本人の将来の希望や一人ひとりの能力、特性に合わせて業務を担当していきます。
ソーシャルグッドロースターズは、働く環境やサポート体制も他とは一味違います。
ここでしっかりと経験をつめば、コーヒーのキャリアを本気で目指していけるように、学ぶ環境が十分に整えてあります。それは、マシーンなどのハード面から、レベルの高いスタッフやパフォーマンス評価制度などのソフト面まで様々です。
例えば、スタッフにはバリスタや焙煎士などコーヒーの専門技術を持った指導員と、さまざまな福祉サービスに従事してきた経験豊富な支援員が在籍し、それぞれの視点から一人ひとりの成長をサポートしています。
また、パフォーマンス評価は健常のスタッフと就労のスタッフは同じ基準でおこないます。役職に応じた能力を身につけると、非常勤から正社員へとステップアップしていくことが可能。利用者の中には、社員を目指されている方もいらっしゃるそうです。
利用者さんの「どう在りたいか」を大切にし、キャリアについて本人としっかりと話し合いをする姿に安心感と温かさを感じました。
こだわりの仕掛け
店内にあるマシーンや商品について、代表の坂野 拓海さんから直接ご紹介をいただきました。
■ 焙煎機
メインで使用しているオランダ製の焙煎機は、世界大会のオフィシャルマシンと同じ仕様です。これは、開所当初、日本にはまだ2台しかないマシンでした。
マシンにこだわったのは、スタッフや利用者さんに世界大会を目指せるような環境を提供したかったからです。うちで本気で焙煎士を目指せば、世界大会でも活躍できるスキルを習得出来るかもしれない。その夢に一歩でも近づけるよう、舞台を整えたのです。
福祉は、なりたい自分になるための支援をすることが目的です。だから私は、利用者さんが「これになりたい!」「これをやりたい!」と思った時に叶えられる環境を準備しておく必要があると考えています。
健常者や障がい者ということに関係なく、もしうちからバリスタの世界大会にでるような人がでたならば、それはとても喜ばしいことですよね。本人がやりたいということに、いつも全力で伴走します。
■ こだわりのブレンドコーヒー
ソーシャルグッドロースターズのコーヒーは、全てブレンドコーヒーです。例えば、季節限定のブレンドには7種類の豆を使っています。
その背景としては、焙煎を一人ではなく全員が出来るようにしているということがあります。焙煎は火力や湿度など、その日その人の感覚で微妙なずれが生じてくるのですが、それをここでは複数名で話し合いながら調整しています。
クオリティのコントロールに、福祉施設であることを強みにしていこうとした結果、こうなったという感覚です。
■ パッケージデザイン
パッケージデザインも、利用者さんがアイデアを出しあって決めています。
デザインには、私達のあり方を表現しているものから、発達障害の方から見た景色を表現しているものなど様々です。
例えば、冬ブレンドのデザイン(写真下)は、自閉症の方から見た景色が描かれています。自閉症の方の中には、自分がいる空間を少し遠くから見るような事があるそうで、それが表現されています。
秋ブレンドでは、地面に落ちた葉っぱと足元が描かれていいました。落ち葉を踏むという自分の身体の一部の接触から季節を感じているそうです。
このように、私には普段見えていない美しさや表現があると感じ、それをデザインに落とし込んでもらっています。
■ 作業用エプロン
ユニフォームでもある作業用エプロンは、アパレル専門のデザイナーさんと一緒に制作しました。
デザインは、自分たちでアイデアを出したユニバーサルデザインで、生地にはSDGsも意識してリサイクルデニムを使用しました。一番の特徴は、どんな方でも直感的に着れるようこだわった留め具です。
決して安くはないアイテムですが、働いている人にきちんとしたものを身に付けてもらいたい、気持ち良く仕事をしてもらいたいという私の想いも込められています。自分たち専用のものがあったら、統一感や気分もあがりますよね。
■ 誘導灯
感染症拡大に伴ないテラスへの誘導灯が必要になったのですが、「付けておいて〜」とスタッフに頼んだところ、こんな素敵なライトがついていました。みんなで考えて作ってくれたんです。
たまにBARと間違われて、お店に入ってこられる方もいらっしゃいます(笑)
■ 家具
店内にあるベンチや机は、同法人が運営している別の就労継続支援B型の作業所で作られたものです。
渋谷にあるものづくり中心の作業場ですが、そこでは職人並みに本気でものづくりをしています。
“ソーシャルグッドモデル” とは
ソーシャルグッドロースターズでは、「ソーシャルグッドモデル」という、これまでの福祉施設にはない、社会に循環するようなモデルを目指されていました。
その仕組がとても素敵だったので、ご紹介したいと思います。
■ ソーシャルグッドモデルとは?
ソーシャルグッドロースターズでは、美味しいコーヒーを提供するだけでなく、購入して頂くことで生まれる利益が社会に循環するモデルをつくることを目指しています。
コーヒーを通じて生まれる、人や社会を豊かにする価値を関わる全ての人に提供しています。
売上がただ給料となるだけでなく、他の福祉施設や生産者に寄付して持続的な取引をするという社会への循環を意識されています。
働かれている方々からは自信と誇りが感じられ、一般的な福祉施設の「支援される」というイメージが覆されました。
なんていい仕事をされているんだろうと、とても胸を打たれました…!
ちなみに、2022年1月末に発表のあった「IAUD国際デザイン賞2021」にて、見事、金賞を受賞されたそうです!
IAUD国際デザイン賞とは、ユニバーサルデザイン社会の実現や提案を行っている企業を表彰するアワードです。今回は、ソーシャルグッドモデルを含む就労支援、社会貢献への取り組みが評価されたようです。素晴らしいですね!
ソーシャルグッドロースターズ千代田の皆様、本当におめでとうございます!
施設概要
■ 運営
一般社団法人ビーンズ
代表理事 坂野拓海(さかの・たくみ)
■ 開設
2018年7月
■ 事業内容
就労継続支援B型
■ 開所時間
平日10:00-16:00(日曜定休)
■ 利用対象
障害福祉サービスの支給決定を受けた方
■定員
合計36名
■ 職員
店舗従業員:8名
バックオフィス:4名
■ 所在地
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町1丁目14-13
LANDPOOL KANDA TERRACE 2F
TEL 03-6811-0895
FAX 03-6811-0896
■ アクセス
•都営新宿線/三田線/東京メトロ半蔵門線「神保町駅」徒歩6分
•都営新宿線「小川町駅」徒歩2分
•東京メトロ 丸ノ内線「淡路町駅」徒歩2分
•東京メトロ 千代田線「新御茶ノ水駅」徒歩2分
•JR /つくばエクスプレス/東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」徒歩12分
■ SNS・関連情報
・HP
ソーシャルグッドロースターズさんの取り組みや実際に現場で働かれる方々を通して、本当の福祉とは何なのか、また、障がいって何だろう、と改めて考えさせられる貴重な時間となりました。
ソーシャルグッドロースターズ千代田の皆様、取材に丁寧に応じてくださった坂野さん、広報の平井さん、本日はありがとうございました。
これからも、皆様のご活躍を心より応援しております!
以上、本日は東京都千代田区にある「ソーシャルグッドロースターズ千代田」を紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、ソーシャルグッドロースターズさんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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