みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
今回は、東京都府中市で医療・福祉事業とコミュニティ事業を展開する株式会社シンクハピネスさんを訪ね、訪問リハビリテーションを受けていたご両親を持つひとみさんにお話を伺いました。
この記事では、ひとみさんのご両親がリハビリテーションを通じてどのように変わったのか、そしてひとみさんとシンクハピネスさんの現在の関係性、介護を振り返ってのメッセージを紹介します。
※ シンクハピネスさんの紹介記事はこちら
ひとみさんのご両親
ひとみさん。2015年から約5年間、シンクハピネスが運営する「LIC訪問看護リハビリステーション」にて、ご両親が訪問リハビリテーションを週2〜3回で利用。ご両親の他界後は、シンクハピネスが運営するコミュニティカフェでお茶をしたり、イベントを開催したり、総合事業・通所型サービスC(※)をサポートしたりと、さまざまな形でつながりが続いている。
※総合事業・通所型サービスC:市町村の保健師等が公民館等で生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラムを3~6か月の短期間で行うサービス
2015年から約5年間、株式会社シンクハピネスさんが運営する「LIC訪問看護リハビリステーション」を利用されていたひとみさんですが、利用することになったきっかけを教えてください。
LIC訪問看護リハビリステーションとの出会いは、知人からの紹介がきっかけでした。
2015年に母が脳出血を発症し、回復期病院でリハビリをしていましたが、母自身が「早く家に帰りたい」と希望したため、相談のうえ早めに自宅に帰ることに決めました。
しかし、母は身体に麻痺はないものの、半側空間無視(片方の空間にある物を見落としてしまう症状)という高次機能障害がありました。そのため、退院後もリハビリを続ける必要がありました。どこか良い施設はないか知人に相談したところ、「すごくいい人を知ってるよ!」とLICさんを紹介してもらったのです。病院で母が歩く動画を担当の理学療法士である糟谷さん(シンクハピネス代表)に見てもらい、「大丈夫」と言ってもらったので信頼してお願いすることにしました。
糟谷さんと初めてお会いしたのは、母の初回のリハビリでした。自宅に来た糟谷さんは思ったよりも若かったので、第一印象としては「大丈夫かしら」と少し不安に思いましたが、その心配はすぐに消えました。糟谷さんの優しく丁寧な対応に、とても支えられました。
父は、もともと肺の病気のため在宅酸素を使用しており、酸素が必要になってからはあまり動いていなかったのですが、母の訪問リハビリが始まってからは隣で一緒に運動をするようになりました。
母が楽しそうにリハビリをする姿を見て、父も「リハビリをやりたい!」と言い、母の開始から約1年後の2017年から在宅での呼吸リハビリテーションを開始しました。
実際のリハビリの様子
ご両親は、実際にどのようなリハビリを受けておられたのですか?
母は、「コンビニに行くこと」をリハビリの目標に、半側空間無視のため見落としてしまう部分をフォローしてもらいながら、外出の練習をしたり、半側空間無視に対する練習をしたりしていました。リハビリは本当に好きだったようで、毎回とても楽しみにしていました。
父は体力向上のリハビリに取り組んでいました。リハビリを始めてから徐々に体調が良くなり、自転車のカゴに酸素ボンベを入れてひとりで買い物に行ったり、犬の散歩に行ったりするようになりました。
酸素を必要とする人でもできるリハビリがあること、そしてそれがこんなに効果的であることに本当に驚きました。リハビリのおかげで父の暮らしがみるみる変わり、リハビリの素晴らしさを実感しました。
その後も順調にリハビリを続けて元気に過ごしていたのですが、突然の体調不調やインフルエンザ肺炎をきっかけに、2018年に母が、2020年に父が他界しました。
介護を終えて
ご両親の介護を振り返り、いま思うことがあれば教えてください。
両親の介護が終わり4年が経ちましたが、私は今でもとても後悔しています。もし1週間でも当時に戻れるのであれば、「好きなものを食べさせてあげたい」「いいねってたくさん褒めてあげたい」そんなことを思っています。「親が認知症」という事実をなかなか受け入れられず、厳しいこともたくさん言ったと思います。
介護中は良いことばかりではなくて、ストレスがたまることもありました。「この状態がいつまで続くのだろうか」と辛くなった時期もありますが、そんなもやもやした気持ちは、担当理学療法士の糟谷さんが丁寧に引き受けてくれました。糟谷さんには、本当に感謝しています。
今後は、私の介護経験がもし誰かの役に立つのであれば、困っている人に届けていきたいと思っています。
ゆるやかにつながり続ける
サービス利用が終わった現在も、シンクハピネスさんとはつながりが続いているようですが、どのようなことをされているのかお聞きしてもよろしいでしょうか。
両親が他界してからは、訪問リハビリでの関わりはなくなりましたが、今でも時折、シンクハピネスさんが運営しているコミュニティカフェに遊びにいってお茶をしたり、カフェのキッチンを借りて唐揚げ弁当を作ってふるまったり、サービスC(※)のお手伝いをさせてもらったりしています。
もともと栄養士として働いていたことや、人とお話するのが好きなこともあり、楽しみながら関わらせてもらっています。
※総合事業・通所型サービスC:市町村の保健師等が公民館等で生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラムを3~6か月の短期間で行うサービス
現在もさまざまな形で関係性が続いているのは素晴らしいですね!ひとみさんがサービスCのスタッフとして活動されているのも、とても素敵です。明るく前向きなひとみさんだからこそ、多くの方の元気の源や支えになっているのだろうと感じました。
シンクハピネスさんの作り出している、ゆるやかにつながり続けられる「余白」や「関わりしろ」は本当に心地よく、その魅力を強く感じました。
介護する方へメッセージ
ご両親の介護を振り返り、いま介護中の方やこれから介護が始まる方へ向けて、お伝えしたいメッセージがあればお願いします。
2015年に母の介護が始まったとき、私は仕事を休職したのですが、今は「仕事をしながら介護した方がいい」ということを伝えたいです。介護は終わりも見えないですし、一度仕事を辞めると、介護が終わって再就職を考えてもなかなか思うようにいかないのが現実です。私自身、休職した6年間は無収入だったので、金銭面的にも厳しくなりました。
また、「やらない介護」や「やりすぎない介護」を心がけることも大切です。家族だからこそ「やってあげたい」という思いはどうしてもあるかと思いますが、やらなくていいことはやらないのが重要です。本人にできることは、しっかりやってもらうことがリハビリにもつながります。
その他、訪問看護ステーションやデイサービスは場所によって特色が違うので、見学をしたりお話を聞いたりしながら、自分たちにあったサービスをしっかりと「選んだ方がいい」ということも伝えたいです。
私自身は、両親の介護に後悔も残っているので、これから介護を迎える方には後悔してほしくないと思っています。私ができることであれば、みなさんのお力になれると嬉しいです。
ひとみさん、貴重なお話を聞かせてくださり本当にありがとうございました。
経験者であるひとみさんの言葉だからこそ届くことはたくさんあると思います。経験者の話を聞く機会はなかなかないので、ぜひ、いま介護中の方やこれから介護が始まる方にひとみさんの声が届いてほしいです。
まさにリンクワーカー(人のしあわせのために、人や地域・社会資源へのつながりをつくる人)として素晴らしい活動をしているひとみさんの今後のご活躍を応援しております。
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・シンクハピネス紹介記事
・シンクハピネス代表・糟谷明範さん取材記事
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撮影:ひろし、山崎陽平
以上、今回は東京都府中市で医療・福祉事業とコミュニティ事業を展開する株式会社シンクハピネスさんのご利用者さんのご家族、ひとみさんにお話を伺いました。
ひとりでも多くの方に、ひとみさんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
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