医療者の視点から家づくりを提案!株式会社HAPROT |作業療法士・ヨシローさん

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

今回は、株式会社HAPROT(ハプロット)の代表で作業療法士のヨシローさん(本名:満元貴治さん)をご紹介します。

ヨシローさんは、住宅業界で活躍する作業療法士です。2022年に株式会社HAPROTを創業し、現在は、医療者の視点からケガを予防し健康に暮らすための家づくりの提案を行っています。

本記事では、会社の創業ストーリーや、HAPROTの提唱する住宅の基準「安全持続性能」、代表・ヨシローさんのこれまでの歩みについて紹介します。

「HAPROT」について


作業療法士が提案する家づくり

株式会社HAPROTは、作業療法士のヨシローさん(本名:満元貴治さん)が代表を務める「安心・安全な住宅内環境」の提案を行う会社です。2021年に事業を開始して以降、住宅業界を相手に、安心で安全で長く住み続けることのできる間取り設計の提案を行っています。

作業療法士の視点をもって独自に開発した基準を「安全持続性能」と名付け、2021年4月に公表。以後、住宅業界で徐々に注目を浴びるようになり、現在、顧問・協業先は17道県22社にのぼっています。(2023年4月現在)

創業ストーリー

◆ 満元 貴治(みつもと・たかはる)さん|活動名:ヨシロー

1987年広島県出身。2010年に作業療法士免許を取得後、回復期病院で勤務。その後、2014年より手の外科を専門とする病院に勤務。2019年から病院の新規事業立ち上げに従事する傍ら、住宅に関する情報発信を開始。2020年にYouTubeチャンネル「ヨシローの家」を開設。2021年3月に独立、同4月に省エネ性能・耐震性能に次ぐ第3の性能「安全持続性能」を公表。2022年4月に株式会社HAPROTを設立し、代表取締役に就任。現在は、住宅会社の顧問や地方自治体の講師として全国各地を飛び回っている。


かわむー
かわむー

11年間にわたり、病院の作業療法士として活躍してこられたヨシローさんが、住宅業界での起業を決意した背景についてお聞きしてよいでしょうか。


ヨシローさん
ヨシローさん

作業療法士として病院で働く中で、自宅で転倒し入院となった患者さんが、家屋環境の問題で自宅に退院できないケースを多く見てきました。

「家ってなんて使いにくいんだろう」「そんなに危険な環境ならば、そこをどうにかしないと転倒は予防できない」と、作業療法士2年目くらいから強い課題感を抱くようになります。

また、今から6年前に自分自身の家づくりを経験したことも大きなキッカケとなりました。

住宅は、一世一代の大きな買い物です。建てた後から、こうしておけばよかった、失敗した、と思うことがいくつか重なり、私は「マイホームブルー」に陥りました。その後、セルフ作業療法のような形で、住宅に関するプログを書き始めます。

2017年当時は、住宅に関する情報はほとんど発信されていませんでした。そのような背景もあってか、私のブログは思いのほか反響があり、ブログサイトの注文住宅カテゴリで1位になったこともありました。

そして、2020年にはYouTubeチャンネル『ヨシローの家』も開設、動画での情報発信をスタートしました。


かわむー
かわむー

病院での課題感と、ヨシローさんご自身の家づくりがキッカケとなったのですね。

発信に対する反響が大きくなることで、家づくりに関する情報が「世の中に需要がある」と、少しずつ確信に変わっていったのではないでしょうか。


ヨシローさん
ヨシローさん

おっしゃるとおりです。YouTubeをはじめて1年が経過した頃から、独立への思いが少しずつ強くなりました。

2020年12月、私は意を決して、妻にこの思いを打ち明けます。すると妻は「良いじゃない!お金のことなら心配しなくていいから、ぜひ挑戦してほしい!」と背中を押してくれたのです。

幼い子どももいて、不安がないことはなかったと思います。ただ純粋に「夫の挑戦を見届けたい」という彼女の強い思いが伝わってきて、「絶対成功してやるぞ!」とエネルギーが満ち溢れてきたのを覚えています。

2021年2年に病院を退職し、翌3月に開業。耐震のプロフェッショナルにご協力頂きながら、2021年3月から独自の基準作りを開始しました。

そして、1ヶ月後の4月に「安全持続性能」を世に発表したのです。


いつも「青い炎」のように静かに闘志を燃やす、HAPROT代表で作業療法士のヨシローさん

安全持続性能とは

株式会社HAPROTが提唱する「安全持続性能」は、住宅を設計する際に重要視されている「省エネ性能」「耐震性能」に次ぐ、第3の性能だと考えています。

安全持続性能は、住宅内での転倒・転落などの事故を予防する「安全性」と、身体・ライフスタイル・家族構成が変化しても住み続けられる「持続性」の2つのカテゴリーから成ります。

評価を行う際は、安全性5項目・持続性8項目を、それぞれ3段階(☆☆☆:最高、☆☆:推奨、☆:最低)で評価し、判断します。

※安全持続性能の基準は、HAPROTさんより無料配布されています。お問合せ先は、記事下部に掲載しています。

◆ 「HAPROT」の名前の由来

H=Home(家)
A=Affection(愛情)
PR=Precious(大切な)、Protect(守る)
OT=Occupational Therapist(作業療法士)

作業療法士の知識、経験をつかって、住宅内を安全にし、大切な家族を守る」という意味が込められています。

顧問先の声|旭ホームズさん

かわむー
かわむー

ヨシローさんが顧問を務める工務店「旭ホームズ(広島県広島市)」の代表・末岡さんに、HAPROTの安全持続性能を取り入れたきかっけや期待することについてお話を伺いました。


旭ホームズ代表・末岡さん
旭ホームズ代表・末岡さん

私が初めてヨシローさんと出会ったのは、2021年の夏でした。基準が完成して間もない頃だったと思います。

ヨシローさんからお声掛けをいただき、活動の経緯や安全持続性能について詳しくお話を伺いました。彼の情熱と高い志に胸を打たれたのと同時に、「これは、なんてすごいんだ…!」と基準への可能性を感じ、取り入れることを決めました。

実は、私は幼少期の頃、自宅で5年間ほど難病の兄(当時、中学生)を介護した経験がありました。発症当初はボタンが閉めづらいなどの指先の症状でしたが、徐々に身体が動かなくなり、最終的には寝たきりで意思疎通もできない状態になりました。その時に、病気や障害をおっても最期まで自分の家で暮らせる家づくりや、家族の介護負担が少ない環境づくりは大切だと感じました。

その後、先代である父の事業を引き継ぎ、建築士として働くようになりましたが、難病で亡くなった兄の存在を忘れたことはありません。そのような経験からも、ヨシローさんから提案された「安全持続性能」は、今後の住宅業界になくてはならないものだと思ったのです。

私たち工務店は、家を建てるプロフェッショナルです。しかし、病気や障害のことは正直弱い部分があるので、その道のプロである作業療法士さんに家づくりのお手伝いをしてもらえるのは、とてもありがたいです。

これから先、家で介護をする人はさらに増えてくるとかと思います。介護を受ける側の人にも、介護をする側の人にも、快適に過ごしていただける住宅環境を提供する必要があります。

実際に、安全持続性能に興味を示すお施主さんも増えてきています。

この基準が住宅業界の当たり前となるように、どんどんと広がっていくことを心から願っています。


末岡社長とヨシローさんの対談は、動画でも配信されています(YouTubeチャンネル『ヨシローの家』より)

代表・ヨシローさん

私の原点

かわむー
かわむー

HAPROT代表のヨシローさんに、これまでの歩みについてお話を伺いたいと思います。

***

現在、住宅業界に飛び込み、前例のない新しい道を切り拓き続けているヨシローさんですが、昔からバイタリティに溢れ、活動的だったのでしょうか。原体験などがあれば教えて下さい。


ヨシローさん
ヨシローさん

幼少期の頃は、とにかくわんぱくな子どもでした。公園に行くといつも裸足で駆け回っていたそうです。

今、改めて振り返ってみると、病院のいち作業療法士だった私が、住宅業界という全く別の業界に飛び込んで活動を続けられている原動力は、高校時代にあるかもしれません。

高校に進学後、私は軟式野球部を新たに立ち上げるために、数名の仲間とともに多くのアクションを起こしました。仲間や部員集め、顧問の確保、立ち上げにかかる費用の算出、道具の調達、練習場所となるブランドの確保など。それら全てを、自分たちで考えながら進めていったのです。

グランドを探すなかでは、近くの小学校の校長先生にアポイントメントをとって、直接お願いのご挨拶にも伺ったこともありました。なぜ軟式野球をやりたいのか、理由や現状の課題、想定しうるリスクに対する対処法も熱意をもってお伝えすることで、「高校1年生ですごいね!応援するよ」と協力していただけることになりました。


かわむー
かわむー

実現に向けて必要なプロセスを洗い出し、役割を分担し、着実にステップを上がっていく。16歳とは思えない、本当に素晴らしい行動力と実行力に感動しました…!


ヨシローさん
ヨシローさん

今振り返っても、よくやってたなあと思います。当時は、とにかく楽しくて夢中になっていましたね。

しかし、その後、悲劇が起こりました。たまたまアポ無しで見に行ったグランドが、管理に非常に厳しい場所だったのです。先方から「こんな生徒がいる」と高校にお叱りの連絡がいき、問題行動だということで職員会議にかけられました。

「停学」という2文字もあがり、私たちは夢を諦めざるを得ない状況になったのです。

「自分たちが作ったチームを成長させて、大会で優勝しよう!」「今は大変だけど、何年後かに作って良かったって思えるチームにしよう!」と情熱を持って半年以上取り組んでいたので、その夢が途絶えた瞬間、「自分は何もできない、価値のない人間だ」と、かなり落ち込みました。

周囲の大人も巻き込みながら丁寧に進められていると思っていたので、大人に対する不信感も抱くようになりました。長年、思い出すことさえ辛い経験として胸にしまっていましたが、あの経験は間違いなく、大事な大事な私の原点です。

今、自分が新たな業界でチャレンジできているのは、高校1年生の当時の悔しい経験があるからだと思います。

自分が一番楽しかったと胸を張っていえる高校1年生のあの輝きをを越えられるよう、これからも精進していきたいと思います。

作業療法士としての自覚と責任

かわむー
かわむー

情熱をかける何かがある時は、毎日がとても楽しいですよね。今のヨシローさんも、きっとその時と同じように輝いているのではないかと思います。

高校卒業後、作業療法士の道に進まれたのは何かきっかけがあったのですか?


ヨシローさん
ヨシローさん

私が初めてリハビリの仕事に興味を知ったのは、小学生の時でした。

足を骨折して病院にかかったときに、松葉杖の指導をしてくれた人に憧れて、将来はリハビリの仕事をしたいと考えるようになりました。

理学療法士と作業療法士の違いは、進路選択時には正直あまり理解できておらず、入学後も「作業療法とは何か」を理解するのに苦労しました。


かわむー
かわむー

作業療法は本当に奥が深い学問ですよね。「作業療法を理解している」といえる状態になるまでは、かなり年数がかかりそうな印象です。

ヨシローさんが、作業療法の面白さに気づき、やりがいを感じたのはどういった時でしたか? エピソードもあれば合わせて教えて下さい。


ヨシローさん
ヨシローさん

私が、作業療法の面白さに気づき「極めていこう!」と思えた経験は2回ありました。

1回目は、学生時代の病院実習の時です。当時、担当してもらっていたバイザーの先生から「作業を通して、患者さんを良くしてください」と言われました。

その時の私は、関節可動域練習や筋力練習などしか思い浮かばず、「作業とは何か?」という課題にぶつかりました。

そして、「この人は家に帰って何をしたいのか」という視点が必要なことに気づき、以後、担当患者さんとしっかりと対話をして、その方が本当にやりたいことを引き出すよう努力しました。

目標を達成するためのリハビリプログラムを立案し、練習を進めるなかで、うまくいかないこともありました。しかし、「患者さんのためにやったんでしょう?」と、バイザーの先生からは心強い言葉をたくさんいただきました。

決して優秀な学生とはいえなかった私ですが、実習最終日に「あなたはすごくいい作業療法士になれると思うよ。頑張ってね。」とバイザーの先生から言っていただき、涙がでるくらい嬉しかったのを覚えています。

作業療法って面白い!どんどん極めていきたい!と思った最初のエピソードでした。



ヨシローさん
ヨシローさん

2回目は、回復期病棟で勤務をしていた作業療法士1年目の時です。

その日は、ある患者さんと退院前の調理練習を行っていました。調理練習が終了し、休憩してもらっていた際に、患者さんが転倒してしまったのです。

お世話好きなその方は、私の片付けを手伝おうとして立ち上がり、その瞬間に足の力が抜けたのでした。痛みが強く骨折が疑われ、再度、急性期病院へ転院となりました。

その知らせを聞いたとき、私は悲しすぎて崩れ落ちました。その方の性格は分かっていたはずなのに、転倒を防ぐことができなかった。作業療法士をやめた方が良いのではないかと本気で思い詰めるほど、私は自分で自分を責め続けました。

それから数ヶ月後、その方が再度戻ってくるという知らせを受けました。私は内心ドキドキしながらも、「担当をさせてください」と上司にお願いしました。

患者さんと再会し、リハビリの日々が始まります。急性期病院へ転院後、その方も私のことをずっと気にしていたことを家族の方から聞きました。

リハビリは順調に進み、最終的には自力で杖をついて歩けるようになり、自宅に帰ることが決まりました。退院の日、「本当にありがとうございました」と本人やご家族からいただいた感謝の言葉を、私は一生忘れません。

リハビリ職は、人を良くも悪くもしてしまう仕事だということを改めて実感しました。作業療法士として、目の前の患者さんを少しでも良い方向へと導き、辛いリハビリ生活を少しでも良かったと思える時間に変えていこうと心に誓った経験でした。


かわむー
かわむー

本当は逃げたいくらい辛い状況だったけれども、真摯に向き合い続けたヨシローさんのその姿勢が、大変素晴らしいと思いました。

患者さんやご家族さんとの関係性の深さも感じます。貴重な経験をお話くださり、ありがとうございました。


今後の展望

かわむー
かわむー

最後に、HAPROT代表・ヨシローさんの今後の展望を教えて下さい。


ヨシローさん
ヨシローさん

「衣・食・住」といわれるのにも関わらず、住環境がどれぐらい健康に影響にするかは知らない方がほとんどです。

特に「間取り」に関しては、後から対策をするのに時間も費用もかかってしまいます。そのため、家づくりの段階から、転倒​・転落のリスクを下げる設計、そして、身体やライフスタイルなどが変化することを前提に設計することが重要だと、私は考えました。

愛情を込めて作った「安全持続性能」を、いずれは世の中の当たり前にしていきたいと考えています。そのため、早い段階でヨシローという名前ははずしたいです。

今はできるだけ早く広めるためにブランディングしていますが、いずれそこにも限界がきます。社会全体に本当の意味で広げていくためには、私が作ったということは関係ありません。

そんな日が1日でも早く訪れるといいなと、真剣に願っています。


この基準には、今後の社会を変える力があると、私は信じています。


住宅内での転倒・転落事故などを予防して、大好きな家に住み続けてほしい

どんな大きな変化も、最初は批判を浴びるものです。バカにされたり厳しい言葉をいただいたりしたこともありました。しかし、どんな逆境があろうと私は負けない。

それが自分の人生の使命だと思い、私はこれからも前に歩みつづけます。


かわむー
かわむー

「社会に必要だと気づいたから、行動している。ただ、それだけ。」ヨシローさんの力強い眼差しから、そんな熱いメッセージを受け取りました。

11年間臨床で抱え続けた圧倒的な課題と、強い信念をもって独立し、前例のない領域にチャレンジしているヨシローさんのご活躍を、リハノワはこれからも応援しつづけます!

ヨシローさんの活動を応援したいという方がいらっしゃいましたら、リハノワのサイトからコメントを送っていただくか、下記にヨシローさんのサイトやSNSを掲載しておりますのでそちらからお問い合わせ下さい。

また「安全持続性能の基準」は、こちらのフォームからお問い合わせすると無料で配布していただけるそうです。

ヨシローさん、本日はありがとうございました。


※ 本取材は、旭ホームズさんのモデルルームを使用し、実施いたしました。ご協力いただいた旭ホームズの皆さま、誠にありがとうございました。


会社概要/お問い合わせ

■ 株式会社HAPROT
代表取締役 満元貴治(活動名:ヨシロー)

 開設
2022年4月

■ 理念
大切な人を守るために
(医療知識をもとに)暮らしの知識で大切な人たちを守る
その知識が将来生まれてくる子どもたちを守る

 業務内容
・顧問
・講師
・SNS運営

■ 問い合わせ
E-mail:yoshironoie@gmail.com

顧問先
安全持続性能の採用例

■ 関連サイト・SNS
公式HP
YouTube「ヨシローの家」
Facebook
Twitter
Instagram
・顧問先:旭ホームズHP


以上、本日はリハノワパートナーである株式会社HAPROTの代表で作業療法士のヨシローさんを紹介させていただきました。

一人でも多くの方に、HAPROTとヨシローさんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。


リハノワパートナーに関する情報はこちらから


この取材は、ご本人から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

リハノワは、株式会社HAPROTその他パートナー企業個人サポーター、読者の皆さまの応援のもと活動しています。皆さまからのご支援・ご声援お待ちしております。

※取材先や取材内容はリハノワ独自の基準で選定しています。リンク先の企業と記事に直接の関わりはありません。

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