神戸の商店街を拠点に「まちささえ」に挑戦!|理学療法士・廣田恭佑さん

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

本日は、株式会社PLAST(プラスト)の代表で理学療法士の廣田恭佑さんをご紹介します。

廣田さんは、2014年に株式会社プラストを設立され、現在は兵庫県神戸市長田区の商店街を拠点に地域をまるごと支える「まちささえ」の事業を幅広く展開されています

実際にプラストにお邪魔させていただき、様々な施設の見学や廣田さんの起業ストーリー、また今後に思い描くことについてお伺いしたので、写真も交えながらその魅力をお伝えしていきたいと思います!

理学療法士・廣田恭佑さん

廣田恭佑(ひろた・きょうすけ)さん
PLAST代表取締役 / 大正筋商店街理事

<資格>
理学療法士

<プロフィール>
1987年兵庫県神戸市出身。理学療法士として回復期リハビリテーション病院に勤務後、株式会社PLASTを新長田に設立。リハビリ特化型デイサービス、保育園、訪問看護ステーション、福祉用具、チョコレート店、カフェ、おやこふらっとひろばデザイン事務所など社会に必要な“マチ支え”をテーマに9拠点を運営している。その他、神戸学院女子駅伝競走部、大正筋商店街の理事としても活動中。

人を支える喜び

かわむー
かわむー

廣田さんが理学療法士(PT)を目指されたきっかけを教えて下さい。また、学生時代はどのように過ごしていらっしゃいましたか。


廣田さん
廣田さん

僕が理学療法士を目指そうと思ったきっかけは2つあります。1つ目は、看護師である母親や祖父が身体が悪かったことから理学療法士という存在が昔かた身近にありました。

2つ目は、一緒に空手を習っていた友人がプロを目指すことになったことにあります。「スポーツトレーナーになって、彼を支える存在になりたい!」と思った僕は、高校生の時に理学療法士の道に進むことを決意しました。

大学時代は、毎日2時間かけて通学していました。とにかく遊びまくっていましたね。僕が理学療法士を目指すきっかけとなった空手のプロを目指していた友人が、僕が大学1年生の時にプロを目指すことをやめてしまいました。その頃から、次第に大学での勉強に身が入らなくなります。

そのため、僕は新しいサークルを立ち上げたり飲み会を企画して騒いだりと、とにかくやんちゃな日々を過ごしていました。梅田のBARで働いた経験もあります。


かわむー
かわむー

当時から、みんなのリーダー的存在だったのですね。

大学1年生で勉強に身が入らなくなったとのことでしたが、理学療法士になろうと再奮起されたきっかけは何かあったのですか?


廣田さん
廣田さん

BARでバイトしていた時に、お客さんから「理学療法士って、人の役に立つすごくいい仕事じゃん!」と声をかけていただいたことから、改めて理学療法士という仕事の尊さが実感でき、ちゃんと卒業しよう、と思えるようになりました。

それから、実習や回復期病院への就職をへて患者さんと関わるようになり、「もっと勉強したい!」「勉強しなくちゃ!」とどんどんと意欲が湧いてきます。

当時の僕は、目の前の方が笑顔になることが何よりの喜びでした。


プラストの挑戦

かわむー
かわむー

医療現場で患者さん一人一人に懸命に向き合われていた廣田さんが、起業という道を選んだきっかけについて教えて下さい。


廣田さん
廣田さん

病院に就職して1〜3年目は、とにかくたくさんの技術や知識を得るために外部の勉強会にいっていました。100万円近くは勉強につぎ込んでいたのではないかと思います。

また当時、いわゆる「お散歩リハ」と言われることがとても嫌だった僕は、患者さんの退院後の暮らしを見据え、「今、本当にリハビリで練習が必要なこと」を提案し実行していました。

例えば、1日のリハビリ上限時間である3時間をフルに僕の理学療法の時間として頂き、電車に乗って外出するといった活動の練習を行いました。また、インソールについて詳しく学んでいたので、患者さんに良いと思えばそれを提案させてもらうこともありました。

そんなことをしていると、就職して5年目が過ぎる頃には、患者さんからの信頼も得られるようになっていました。病院では通常、患者さんが担当療法士を選ぶことはできないのですが、患者さんから指名が入るようになったり、「退院した後もフォローしてほしい!」と言われたりすることが増えたのです。

回復期病院で働く中で、元気に歩いて退院する患者さんがまた病院に戻ってきてしまう状況を非常に課題だと感じていたので、退院後に地域でアフターフォローする仕組みとして、まずは「リハビリ特化型のデイザービス」を立ち上げることを決意しました。

病院から地域に飛び出すことで、病気や障害を負う前段階の人にアプローチできると考えました。

27歳の時のことでした。



かわむー
かわむー

2014年に起業され、現在は神戸市長田区の大正筋商店街をメインの拠点として事業展開をされている廣田さんですが、長田区を選んだ理由は何だったのでしょうか?


廣田さん
廣田さん

以前勤務していた病院が長田区にあったんです。まずは、当時診ていた患者さんを直接みれるような場所を作りたかったので、勤務していた病院の近くに場所を構えることにしました。

入院時と同じようなリハビリを地元で受けてもらえる施設が、当時の長田区にはなかったのです。

物件を何件か見て回って提示してもらった場所の一つが、現在拠点としている大正筋商店街にありました。


<プラストの歩み>
2014年
リハビリ特化型デイサービス「プラスト新長田」

2015年
「プラスト訪問看護ステーション」

2016年
接骨院「ぷらすトほねつぎ」

2017年
総合事業特化型デイ「リハビリモンスター 神戸」

2018年
重症心身障害児を対象とした児童発達支援・放課後等デイサービス「ヒミツキチ」

2019年
企業主導型保育園「ジャングルラボ」

2020年
福祉用具専門店 フィジオデザイン
cafe & bar / 工房 「FHYSIO DESIGN BASE」
子育て支援事業「おやこふらっとひろばながら」
就労継続支援B型事業所「久遠チョコレート」
総合事業特化型デイ「リハビリモンスター 芦屋」

2022年
総合事業特化型デイ「リハビリモンスター 苦楽園」


総合事業特化型デイ「リハビリモンスター」
現在は神戸、芦屋、苦楽園に店舗を構える

「まちささえ」の軌跡

かわむー
かわむー

プラストを立ち上げ、実際に地域の中で「まちささえ」を進められる中で、変化したことや印象に残っていることがあれば教えて下さい。


廣田さん
廣田さん

理学療法士として病院で働いていた時は、いわゆる「ミクロな世界」をみていましたが、プラストの代表として地域で事業展開する中では「マクロな世界」を見ていかなければいけなくなりました。僕にとってそれは、非常に大きな変化です。

もともと色んなことに興味を持つタイプで「0から1」の構築が得意だったので、それがばっちりとハマったのだと思います。

事業展開する中では、行動経済学や仕掛け学を学びながら「この場所だったら、こんな所があったら通いたくなるよね!」というのを丁寧に考えていきました。

1日24時間のうち、セラピストが関われるのはたったの1時間程度。デイサービスだともっと少なくなります。僕は、リハビリで関われる以外の23時間にどうやったらアプローチできるかということを必死に考えました。

その結果、デザインやアートとコラボする必要性を強く感じるようになります。



かわむー
かわむー

リハノワでも、ヘルスケア業界のデザインやアートに力を入れる方を取材してきましたが、私も全く同じことを感じています。廣田さんはどんなところで、そのような他業界の方との繋がりを作っていかれたのですか?


廣田さん
廣田さん

長田区にある「r3」という、建築士さんとその奥様が運営されているカフェ兼コミュニティスペースです。

そこでは、ママ達の働く場を提供したり、アーティストやデザイナーがつながったりする非常にクリエイティブな場が提供されています。

僕はここに通うことで色んな業界の人と関わるようになり、価値感や世界がどんどんと広がっていきました。


かわむー
かわむー

素敵な場ですね! 近くにあることが羨ましいです。

地域で動く際には、住民や商店街の方々など本当にたくさんの方と協働していくことになるかと思いますが、プラストを事業展開される中で大変だったことや、やりがいを感じる瞬間はどんな時にありましたか?


廣田さん
廣田さん

地域に入り込む時に「トラブルなどなかったか?」ということはよく聞かれますが、僕の場合はそういったことは全くなくて、勝手に馴染んでいけました。

大正筋商店街はもともと入れ替わりの激しい商店街だったので、敵対するなどもなく「みんなで盛り上げよう」といった風土が強いのかもしれません。また、僕自身に好き嫌いがなくどんな方でもオープンに関わることができるので、トラブルをうまく回避できているのかもしれません。

僕がやりがいを感じるのは、プラストや地域全体を巻き込んだ大きいアプローチが成功した瞬間です。僕が普段関わっていない人が「この空間があることでよかった」と思ってくれた時は最高に嬉しいですね。

最近では、「商店街も変わってきたね」と言われるようになってきました。福祉課のみならずまちづくり課や商業流通課の方と話す機会が増えてきたことも、嬉しい変化の1つですね。



今後の展望

かわむー
かわむー

廣田さんのお話を伺いながら、「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければみんなで進め」というフレーズが思い出されました。27歳で起業され、現在は100名を超える大きな組織へと成長したプラスト。

面白がりながら、地域やヘルスケア業界にイノベーションを巻き起こし続けるその姿に、非常に感銘を受けました。

廣田さんが今度さらに挑戦していきたいこと、未来に思い描くことがあれば教えて下さい。


廣田さん
廣田さん

僕がこれからやりたいことは、まだまだ沢山あります。

現在進行系のプロジェクトでいうと、アシックス商事の方と内反尖足の子どものオシャレ靴を共同開発中ですし、サンダルを作るプロジェクトも走っています。また、0〜2歳児の遊ばせ方やリテラシーを上げるための親子教室、畑を借りて展開する食育や農業体験、18時以降に開催する商店街のアートミュージアムプロジェクトなど沢山動いています。

さらに今後は、作業療法に特化したデイサービスの運営や、医療・福祉を対象としたデザインの仕事にも力を入れていきたいです。


かわむー
かわむー

本当にたくさんのプロジェクトが走っていて、素晴らしいですね!今後の展開も非常に楽しみです!


廣田さん
廣田さん

僕たちプラストの理念は、「想いを叶えるカラダをつくる」です。

リハビリ専門職が担う機能的な身体作りはもちろん、一人一人のありたい姿に寄り添ったアプローチもプラストでは実践しています。

例えば、コロナ流行前に開催した脳卒中片麻痺の方と作るバル形式の料理イベント「カタテバル」は、在宅では「危険だから、自信がないから」と諦めがちな料理を、作業療法士や調理師と一緒に行うことで家庭での役割りづくりに活かしてもらおうといった趣旨のイベントです。

病院のリハビリでは調理練習をするけれど、実際に家庭に帰ると調理する場面がない方が多いのが現状です。そういった方を対象に、実際に「調理できる」場面を家族や地域の人に見てもらうことで、家庭で取り組むきっかけになって欲しいと年に1回開催しています。イベントは昼過ぎから開始し、コース料理を3回転します。

僕はこれからも、プラストに関わる全ての人が、ワクワクしながら想いを叶えるカラダ作りが実現できるように、地域まるごと「まちささえ」としてサポートしていきたいです。



かわむー
かわむー

2014年に起業し、たった8年間でここまで地域に根づく素晴らしい会社に成長されたのは、廣田さんの強い信念と、多くの仲間の温かい心と情熱があったからだと感じました。


ヘルスケア業界を、面白くクリエイティブに変えていこうと発信し続けるプラストの取り組みが、全国の「まちささえ」に興味のある多くの皆様に届くことを祈っています。

プラストの皆様、取材に丁寧に応じてくださった廣田さん、本日はありがとうございました。プラストのさらなるご発展を、心より応援しております。



かわむー
かわむー

株式会社PLAST(プラスト)の紹介記事はこちら

写真提供:くらしフォトグラファー・しんたろう

ぜひ合わせてご覧ください。



以上、本日は株式会社PLAST(プラスト)の代表で理学療法士の廣田恭佑さんを紹介させていただきました。


一人でも多くの方に、廣田さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。




この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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