みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
本日は、東京都に拠点のある「株式会社ケアウィル」さんをご紹介します。
ケアウィル(代表:笈沼清紀さん)は、服の不自由を解決するというビジョンのもと、良質な服づくりに取り組まれている「ケア衣料」の専門ブランドです。
商品の1つであるアームスリングケープがグッドデザイン2021を受賞されたタイミングで理学療法士の木村佳晶さん(合同会社アグリハート 代表)にご紹介いただき、今回の取材が実現しました。
本記事では、ケアウィルの創業ストーリーや製品の魅力、また、実際に試着した感想等も合わせてお伝えしていきたいと思います。
ケアウィルとは
ケアウィルは、「服の不自由を解決する」というビジョンのもと、介護やリハビリの現場で働く人々や医療従事者、デザイナーやメーカーといった服づくりの専門家など、各分野のプロたちが職種や業界の垣根を越え、一丸となって良質な服づくりを目指していく「ケア衣料」の専門ブランドです。
服づくりを通じて、人々が現在の社会にあるさまざまな限界や境界線を感じることなく、自由に過ごせる環境を整えていくことを目指しています。
ブランド名「ケアウィル」はcare+will。
相手を気遣うことや介護・看護を意味する “care” とともに「自ら着たい、選びたい、着て人と会いたい」という着用者の意思 ”will” を第一に尊重した服づくりを行っています。
また、着用する当事者、デザイナーやパタンナー、パートナーである介護・リハビリ・医療法人とその従事者という異業種のプロフェッショナルが参画し「服の不自由」という共通の課題解決に取り組んでいます。
製品の紹介
実際に、現在販売中の3つの製品をご紹介いただきました。
◆ アームストラップシャツ(販売中)
アームストラップ(腕や手を固定するために用いるバンド)とシャツが一体化したケア衣料。対象は、主に急性期・回復期(前期)にある片麻痺、肩脱臼、重度の肩痛、腕・肘・手首・鎖骨の骨折を患う方々です。腕を固定しながら安心して外出をしたり、リハビリに取り組むことができます。肘と手首の高さを変え、ホールド感をご自身で調整できます。
◆ アームスリングケープ(販売中)
三角巾(アームスリング)とケープが一体化したケア衣料。対象は、四十肩・五十肩、腕・肘・手首・鎖骨の骨折や、主に回復期(後期)・生活期にある片麻痺、肩脱臼、重度の肩痛を患う方々です。内袋に腕をゆだねながら安心して日常生活を送ることができます。秋冬、夏の冷房下で肩周りを保温します。内包部を使わずともケープとして着用でき、傷病の回復、改善後も人生に長く寄り添う服となっています。
当製品は、2021年のグッドデザイン賞にノミネートされました。患者23名に対しプロトタイプを幾度となくお渡しし、声を聞き、改良を繰り返す中で開発。その過程においては、傷病、年齢、介護度、障がい程度を限定せずに「服を着る」「着ている」「脱ぐ」で生じる共通の服の不自由を導出し、それを最大公約的に解決する機能を見出し、デザインを実現しました。
◆ 洗濯ネットバッグ(予約販売中)
当製品は、2022年のグッドデザイン賞にノミネートされました。洗濯用ネットと脱衣かごが一体化したバッグ型の洗濯支援ツールです。
脳卒中による片麻痺、リウマチ、肩の傷病等で、指・手・肩関節の可動に制限がある方々が、脱衣かごへ服を入れる、洗濯用ネットへ服を移す、ネットを洗濯機に入れる、洗濯後に服を取り出す、干し場まで運ぶといった洗濯に伴う一連の作業を一つのバッグで円滑に実現することができます。
バッグの丸みに沿うつまみやすいファスナーは無理なく開閉が可能です。痛く、疲れる、面倒な洗濯をラクにします。
様々な対象、用途に合わせた商品が展開されているようです。機能のみならずデザイン性もとても良いのが魅力的ですね!
さらにケアウィルさんでは、「産学連携協定」を締結している東京モード学園の学生さんと共にアームスリングケープのリデザインにも取り組まれているようです。(産学連携コンテストの最優秀賞作品を製品化:詳細はこちらを御覧ください)
創業ストーリー
ケアウィルを創業したきっかけや原点、ケアウィルにかける熱い想いについて、代表の笈沼清紀(おいぬま・きよのり)さんにお話を伺ってみたいと思います。
◆ 笈沼清紀(おいぬま・きよのり)さん
1981年生まれ。株式会社ケアウィル代表取締役。学習院大学経済学部経済学科卒、Hult International Business School MBA(経営学修士)。新卒で日本総研にてITコンサルティング、SMBC日興証券にてM&Aアドバイザリーに従事し、楽天に入社。ケンコーコムへ出向、執行役員として事業マネジメントに従事。その後は、ジンズ執行役員として経営企画、事業開発を管掌、KDDI革新担当部長としてEコマース戦略立案・実行に従事。マネジメントの傍ら、父とともに認知症による13カ月間の入院、5年の介護、20年の闘病の日々を過ごす。そこで提供された商品・サービスに違和感を抱き、父の死後、デザインと機能を兼ね備えたケア衣料の開発を服飾講師である母と開始。2019年9月(株)ケアウィル設立。
笈沼さんは元々、金融・ビジネス業界の第一線でご活躍されていたのですね! 医療介護業界へ転身された理由が気になりました。
ケアウィルを創業されたきかっけやこれまでの歩みについて教えて下さい。
服飾教室を運営している母とケアウィルを創業したのは、父の介護がきっかけです。
父は介護施設へ入所後、認知症を発症し精神病院へ入院しました。そこで着用しなければならなかったのが「レンタルの入院着」です。
最低限の機能性は保ちつつも、薄っぺらで肌触りも良くない服を着ている父や他の患者の方々を見て、まるで囚人服を着ているような悲しい気分になりました。それが、起業することとなった原体験です。
無機質な病衣に尊厳を奪われていくような、そんな違和感を感じられたのですね。
その通りです。ある日、面会から帰る途中の車中で、表情に張りがなくなった父の顔を思い浮かべたときに急に心がざわつき、本人や周りにいる人の心が少しでも前向きになる服はないのだろうか、と思ったのです。
実家に戻った私は母にこのことを相談し、オーダーメイドでのサービスを始めてみることにしました。しかし、手間がかかりすぎて単価も跳ね上がってしまう。そこで、これ自体の事業化に着手することにしたのです。
確実な機能性と着心地の良さを基本に、幅広い人に対応するフレキシブルなデザインの提供、品質と価格の安定を目指した量産化、そして将来的にはレンタルも含めたサービスの整備までを考えていくのが、現在のケアウィルとしての目標です。
障害や介護で悩みを抱える人だけでなく、いつもしかしたら自分自身が必要となるかもしれないケア衣料。その未来の可能性を追求し続けていきたいと考えています。
素敵なメンバー
ケアウィルには、以下のような多領域にわたる素敵なメンバーが在籍されています。
・エバンジェリストユーザー
(服の不自由に悩む傷病を抱えた方々)
・作業療法士/理学療法士
・看護師
・デザイナー
・パタンナー
・個人縫製者
・ディレクター
(リサーチ/コミュニケーション)
当事者ユーザーを含め、多領域の方々とものづくりを進められているのが非常に魅力的です。
リハビリ当事者やセラピストの方々の中にも、服の不自由に対する課題感や、服づくりに興味をもたれている方はいらっしゃるのではないでしょうか。ケア衣料が広がっていくことを、リハノワも応援しています!
(現在、8つの参画パートナーを募集中とのことです。詳細はHPをご覧ください。)
実際にケアウィルを体験!
実際に、ケアウィルさんの商品を試着させていただきました。その感想をお伝えしていきたいと思います!
◆ アームストラップシャツ
こちらは、2本のベルトでしっかりと肩が「固定」できるようになっていました。想像以上に安定するなという印象です。シャツの前はマジックテープになっているため、簡単にしめることができます。ベルトのとめ方はこちらの動画を参考にしました。ぜひ試着される際はご活用下さい。
◆ アームスリングケープ
こちらは、腕を通した後にスポッと頭からかぶるようにして着ます。生地は丈夫で、腕をしっかりと包み込んでくれました。ベルトはないためアームストラップシャツほどの固定力はありませんが、腕の遊びがありながらもしっかりと支えてくれるため不安は感じません。グレーとネイビーの使いやすい2色での展開となっていました。
ちなみに、製品をお借りしていた期間、自宅でのオンライン会議にて着用させていただきました。パジャマの上着がうまいこと隠されて、とても助かりました(笑)スポッとかぶるだけで一瞬でオシャレにしていただき感謝です。また、お借りしていた時は2月でしたが、非常に保温性も高く温かかったです。
以上、試着レポートでした…!
会社概要
■ 株式会社ケアウィル
代表取締役 笈沼清紀さん
■ 創業
2019年9月30日
(2021年4月に「株式会社みんなで人生会議」から商号変更)
■ ビジョン
「服の不自由を解決する」
■メンバー
合計39名(2022年2月現在)
■ 所在地
〒170-0003
東京都豊島区駒込4丁目2番24号
■ お問い合わせ
こちらのフォームから
■ 商品の購入
ブランドサイト
アマゾン
マクアケ ※洗濯ネットバッグ
■ SNS・関連情報
・公式HP
・note
・公式Twitter
・代表Twitter
・YouTube
・ケア衣料®ブランド”carewill®︎”クラウドファンディング第一弾
(クラウドファンディング第一弾は2020年末に目標達成・終了)
ケアウィルさんは現在、ケア衣料の普及に向けて商品のさらなる改良に取り組まれたり、医療従事者や介護事業所とともに「服づくり」を通じた高齢者の自立支援、また、リハビリ関係者とのパートナーリングなども積極的に行われています。
現在大躍進中のケアウィルさんから、今後も目が離せません!
SNS等でも発信されており、個人的には代表・笈沼さんのTwitterやケアウィル公式さんのTwitterにはいつもパワーと癒やしをいただいています。ケアウィルさんは仲間同士の愛や繋がりも非常に魅力的です。
今回話しをお聞きしながら、ケアウィルさんの「ユーザーの言葉にならない感情に寄り添う」そして「作り手の想いが込められた服づくりを行う」姿勢にとても魅力を感じました。これからも、笈沼さんはじめケアウィルに関わる全ての方のご活躍を応援しております!
本日は、ありがとうございました。
リハノワでは、代表・笈沼さんのインタビューもさせていただきました。
創業ストーリーの詳細や、製品開発の裏側、今後に思い描くことなど盛りだくさんな内容でまとめておりますので、ぜひこちらの記事も合わせて御覧ください。
写真提供:ひろし(カメラマン/理学療法士)
以上、本日は東京都に拠点のある「株式会社ケアウィル」さんをご紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、ケアウィルさんの魅力と素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、企業の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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