みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
今回は、石川県小松市で重症心身障がい児や医療的ケア児、発達障がい児専門の通所支援事業所を運営する理学療法士の小茂田諒さんにお話を伺いました。
本記事では、小茂田さんが事業所を立ち上げたきっかけや運営にあたり大切にする思い、さらには今後チャレンジしたいことについて紹介します。
理学療法士・小茂田諒さん
◆ 小茂田 諒(こもだ・りょう)さん
リハビリライフサポート株式会社 代表取締役|理学療法士
大阪府出身。病院で9年間脳神経外科や神経難病のリハビリに従事した後、リハビリライフサポート株式会社を設立、代表取締役に就任。現在は、重症心身障がい児や医療的ケア児を対象とした放課後等デイサービス・児童発達支援「MIRAI」、発達障がい児を対象とした運動療育方放課後等デイサービス「3ピース」を運営する。
現在、小児リハビリ領域で活躍されている小茂田さんですが、理学療法士を目指したキッカケは何だったのでしょうか?
理学療法士という仕事を初めて知ったのは、高校2年生の時でした。サッカーで足首の靭帯を痛めて、理学療法士の方にテーピングの指導をしてもらいました。
その後、進路について考えるなかで「デスクワークではなく身体を動かす仕事をしたい」と思った時に思い浮かんだのが理学療法士でした。
看護師として働いていた母や祖母の背中をみて育った影響もあるかもしれません。高校卒業後は、理学療法士の養成校に進学。免許取得後は、大阪の病院で9年間働きました。
病院ではICUや脳血管外科の入院リハビリ、神経難病の外来リハビリなどを担当し、目の前の患者さんを良くするために一生懸命向き合いました。
小児領域への挑戦
大人のリハビリ現場で働かれていた小茂田さんが、小児領域で事業を起こそうと思われたきっかけは何だったのですか?
理学療法士3年目の時に、従兄弟の子どもが、生後間もなく脳室周囲白質軟化症(PVL)と診断されました。
どうやって触ったら良いのか、どうやって抱っこしたら良いのか、どうやって寝かしつけたら良いのか、従兄弟はとても悩んでいました。
24時間泣き叫ぶこともあったようで、「マンションから一緒に飛び降りて、いっそのこと楽になりたいと思ったくらい」と話すほど、かなり追い詰められていました。
そのような状況から、障がいをもつ子どもが「睡眠をとる」ことは本当に大切なことだと感じるようになります。
ちょうどその頃、放課後等デイサービスの制度が整備されました。
しかし、利用の方法を知らなかったり、そもそもサービス自体を知らなかったりと、「子どもを預ける」選択肢のない親御さんが多くいるのが現状でした。
また、従兄弟の悩みを聞くようになり小児領域の勉強を始めた私ですが、「もっと多くのセラピストが小児領域に携われる環境が必要だ」と思うようにもなりました。
そのような経験から、「睡眠」や「ハビリテーション」に特化した、さらには、どんなセラピストでも小児リハビリに携われる機会を提供できる事業所を作ろうと思い、2019年の夏に「MIRAI」をオープンしました。
MIRAIでは、重症心身障害児および医療的ケア児を対象に、児童発達支援と放課後等デイサービスを提供しています。
※ ハビリテーション:先天性障害や幼少時からの障害を対象として持っている機能を生かしてさらに発達させる治療のこと
※ 児童発達支援:「障害児通所支援」の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けることができる福祉サービス
※ 放課後等デイサービス:障害のある就学児童(小学生、中学生、高校生)が放課後や長期休暇に利用できる福祉サービス
苦悩の先にあるもの
新たな領域での挑戦、本当に素晴らしいですね。
事業所を運営するなかで、大変だったことや嬉しかったこと、やりがいを感じる瞬間などがあれば教えて下さい。
経営の観点からいうと、人を雇用することの大変さを改めて実感しました。
もともと病院での勤務経験しかなかったので、経営に関してはまったくの初心者。事業開始当初は「経営者としてかっこよくありたい」「現場の声に全て応えていこう」と少し背伸びしてしまうこともありました。
しかしある時、それでは誰もついてこないことが分かったのです。「自然体で、自分らしくいよう」と考え方を変え、理念を軸に会話するスタイルにしたことで、次第に人がついてくるようになりました。
最初の1年は悩みが尽きない状況でしたが、なんとか乗り切ることができました。支えて下さった皆さんには、本当に感謝の思いでいっぱいです。
子どもたちと関わるうえでは、その子にとって何が最善の選択かを常に考えながら接しています。
子どもの成長を感じられた時や、私たちのサポートにより親御さんの悩みが少しでも解消できた時にやりがいを感じます。
子どもたちの明るい未来を創る
2019年の開所以来、丸3年が経過しますが、事業所を運営するなかで小茂田さんが大切にしてきたことを教えてください。
私たちは「子どもたちの明るい未来を創る」をモットーに、誠実さ、謙虚さ、尊重の気持ちを持って活動しています。
子どもを支援する私たちスタッフがこれを理解して動けることはかなり重要だと考えており、定期的にスタッフにも話すようにしています。
子どもたちと信頼関係を築くうえで大切な、「人としてのあり方」から大切にしているのですね。とっても素敵です…!
今後の展望
最後に、今後、小茂田さんが挑戦したいことを教えて下さい。
いま、3ピースやMIRAIに通う子どもたちの保護者と話すなかで、「18歳以降の我が子の行き場がない」という悩みをよく耳にします。
そのため、今後は彼らが中高生以降になったときに「過ごせる場所」や、その先の「働く」環境を作っていきたいと考えています。障がいのある子どもにとって「欠かせない存在」と言ってもらえるように行動し続けたいです。
「働く」環境作りとして行う就労支援は、農業を手段にする予定です。小松市は田んぼも多く、後継者問題が深刻化してきているので、それらとのマッチングを考えています。
地域の様々な企業や行政とも連携しながら、小松市の福祉をより良くしていきたいです。
夢を語ることは簡単ですので、一つずつ確実にステップを登っていけるよう、取り組んでいきます。
素敵な目標を教えていただきありがとうございます!重症心身障がい児や医療的ケア児、発達障がい児の未来を見据え前向きに行動し続ける小茂田さんのご活躍が、今後も楽しみでなりません。
「18歳以降の居場所問題」をはじめとした小児領域における様々な問題は、私も取材を続けるなかで多くの方から伺ってきました。
解決が難しいとされる課題の一つひとつに真摯に向き合い、福祉をより良くしたい!という強い信念のもと業界を牽引していく小茂田さんの姿に、とてもパワーをいただきました。
リハノワは、これからも小茂田さんのご活動を心から応援しております。
本日は、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
<MIRAIさん関連記事>
・MIRAI紹介記事
ぜひ合わせて御覧ください。
以上、本日は石川県小松市にある重症心身障がい児専門施設「MIRAI」の代表を務める理学療法士の小茂田諒さんを紹介しました。
一人でも多くの方に、小茂田さんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
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