みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
今回は、石川県小松市にある「MIRAI(ミライ)」さんを取材しました。
MIRAIは、理学療法士の小茂田諒さんが代表を務める重症心身障がい児および医療的ケア児専門の児童発達支援・放課後等デイサービスです。0歳〜18歳までの利用者が「よくなる」ことを目指し、質の高い「ハビリテーション」を提供しています。
本記事では、MIRAIの個別プログラムや強み・特徴、代表で理学療法士の小茂田諒さんの声を紹介します。
MIRAIとハビリテーション
2019年石川県小松市にオープンしたMIRAIは、重症心身障がい児や医療的ケア児を対象とした児童発達支援および放課後等デイサービスです。専念された質の高い「ハビリテーション(※)」を提供することで、利用者の「生活レベル」「活動レベル」「人生レベル」に貢献することを目的としています。
代表を務めるのは、理学療法士の小茂田さんです。子どもたちの「預かり場所」ではなく「よくなる場所」の実現にこだわり抜いた事業所運営を心がけています。
※ 先天性障害や幼少時からの障害を対象として持っている機能を生かしてさらに発達させる治療のこと意味します。
「よくなる場所」へのこだわり
MIRAIに在籍する9名のスタッフは、全員が医療従事者です(理学療法士3名、看護師6名)。「よくなる場所」を目指して、ベテラン看護師によるリスク管理がおこなわれた環境で、リハビリ専門職による個別プログラムを実施します。
個別プログラムは、ひとり30分〜1時間程度実施します。利用時間のなかのベストタイミングに合わせて介入できるのが強みです。
個別支援計画書を作成し、子どもたち一人ひとりの身体機能や目標にあわせた介入をおこないます。毎日コツコツと積み上げていくことで、大きな変化へとつなげています。
子どもの外来リハビリでは、泣いて実施することが難しくなるケースや体調を崩してお休みせざるを得ないケースもしばしばあります。
放課後等デイサービスや児童発達支援だと、多いと週に6日通う子どももいます。通常では、月に数回しか受けられないセラピストによるリハビリですが、MIRAIだとそれ以上の頻度で受けることが可能です。これは、とても貴重なことだと思います。
「コツコツと毎日積み重ねることができれば、きっと子どもたちに良い変化が起こせると信じています」という代表・小茂田さんの熱い思いが非常に素敵だと感じました。
徹底したリスク管理
MIRAIには、人工呼吸器を着けている子どもや医師が把握していない発作を起こす可能性のある子どもも通うので、リスク管理にはかなり力をいれています。
施設内に医師はいないので、万が一の時に備えて看護師と理学療法士がすぐに動けるように1ヶ月に1回、緊急事態を想定した訓練をおこなっています。
看護スタッフには経験を積んだベテラン看護師を配属し、施設利用開始時には保護者と緊急時の対応についてしっかりと話し合います。また、事業所の近くには消防署や救急病院があります。
保護者の声から生まれたサービス
MIRAIでは、施設を運営するなかで聞かれた「子どもが成長するにつれて自宅でお風呂に入れるのが難しくなっている」という親御さんのニーズに応えるため、2021年に新たに入浴設備を整えました。入浴日は月・木・土。1回300円で入ることができます。
温浴により身体の緊張がゆるんだ状態で個別プログラムを実施することもあります。
個別プログラム内容
MIRAIの個別プログラムは、理学療法士などのリハビリ専門職が担当します。実際のプログラムは、メディセル筋膜療法、機能練習、感覚運動などを組み合わせながら1日30分から1時間実施します。
◆ メディセル筋膜療法
身体が常に緊張状態にあると拘縮になりやすいので、MIRAIでは、筋肉を柔らかくする・整えることのできる「メディセル筋膜療法」を取り入れています。特殊な機械により皮膚を吸引することで「筋肉が柔らかくなる」、血液循環が変わり「身体が温かくなる」などの効果が期待されます。また、免疫機能の向上にも繋がります。
◆ 機能練習
子どもの発達段階に合わせて、座る・立つ・歩くなど動きの練習や呼吸筋を鍛えることで必要な体力をつけていきます。
◆ 感覚運動
ボールや風船、おもちゃなどを使ったさまざまな遊びを通して、手足や体幹の運動や姿勢教育、目を動かすことによって脳へ刺激をいれます。
メディセル筋膜療法では、筋肉が柔らかくなることで布団になじみ、「良い睡眠」につながることも目的としています。緊張を落としたり拘縮を改善したりするのはセラピスト間でも差が生じやすくなるため、誰がやっても同じような効果が出せるように機械を導入したとお話されていました。
個別プログラムの効果判定は、写真や動画も使いながら行うそうです。子どもたちの身体の状態はその日の体調などによって変化しやすいので、支援計画は2〜3年後の目標までしっかりと立て、成長発達を促しています。
代表・小茂田さんの声
◆ 小茂田 諒(こもだ・りょう)さん
リハビリライフサポート株式会社 代表取締役|理学療法士
大阪府出身。病院で9年間脳神経外科や神経難病のリハビリに従事した後、リハビリライフサポート株式会社を設立、代表取締役に就任。現在は、重症心身障がい児や医療的ケア児を対象とした放課後等デイサービス・児童発達支援「MIRAI」、発達障がい児を対象とした運動療育方放課後等デイサービス「3ピース」を運営する。2023年3月には、新たに児童発達支援を充実させた「KODOU」をオープン。
「睡眠」や「ハビリ」に特化した専門職のいる重症心身障がい児/医ケア児専門の施設は、全国的に見てもとても希少だと思います。
小茂田さんが、MIRAIを立ち上げようと思われたキッカケは何だったのでしょうか。
従兄弟の子どもが生後まもなく脳室周囲白質軟化症(PVL)と診断され、育てていくなかでの苦悩を間近で見てきたのがきっかけです。どうやって触ったら良いのか、どうやって抱っこしたら良いのか、どうやって寝かしつけたら良いのか、従兄弟はとても悩んでいました。
特に「睡眠」に関する悩みは深刻でした。24時間泣き叫ぶことも少なくなく、精神的にかなり追い詰められている状況でした。
当時、私は理学療法士3年目。病院で働いていましたが小児リハビリの経験はなく、うまくアドバイスできないことに悶々としました。また、リハビリ業界全体をみても、小児分野はまだまだ未発達な領域であることに課題を感じるようになります。
そのような経験から、「睡眠」や「ハビリ」に特化した、さらには、どんなセラピストでも小児リハビリに携われる機会を提供できる事業所を作ろうと、2019年の夏にMIRAIをオープンしました。
セラピストの小児リハビリに対する苦手意識は少なからずあると思います。その背景には、小茂田さんのおっしゃるとおり、小児リハビリに関わる機会や場が少ないのは事実だと思います。
MIRAIさんでは、新卒のセラピストも仕事をしています。セラピスト育成のための教育支援や機械の導入など、手厚いサポートが整備されていました。
セラピストが活躍できる場を増やし、救われる子どもや親御さんが一人でも増えることを願う姿勢がとても魅力的です。
最後に、MIRAIさんとして今後チャレンジしていくことがあれば教えて下さい。
今後は、子どもたちの18歳以降の居場所づくりを進めていきたいと考えています。
成長するにつれて家で見ることが難しくなるケースは多く、特に、18歳以降になるとその問題は深刻化します。そういった場合、多くの方が生活介護や入院生活となるのが現状です。
MIRAIでは、今後、重症心身障がい児や医療的ケア児も働けるような場所を作っていきたいと考えています。
なかなか一筋縄にはいかないかもしれませんが、実現できるように行動していきたいと思います。
私自身、これまで小児リハビリ領域の取材を進めるなかで、重症心身障がい児や医療的ケア児の親御さんが抱える悩みはとても深刻だと感じてきました。
課題も多く難しいこの領域で、ご自身の専門性や経験を活かしながら「業界を良くしていこう!」と前向きに歩み続けるMIRAIさんの姿に、とても感銘を受けました。
これからもリハノワは、MIRAIさん・小茂田さんのご活躍を心から応援しております。
本日は、ありがとうございました。
施設概要
■施設名
MIRAI(ミライ)
■ 運営
リハビリライフサポート株式会社
代表取締役・小茂田 諒
■ 開設
2019年8月1日
■ 事業内容
児童発達支援、放課後等デイサービス
■ 開所時間
月~土
・9:45~15:00(児童発達支援):対象0〜6歳
・下校時~16:50(放課後等デイサービス):対象 6歳〜18歳
※土曜日・祝日・学校行事による振替休日・学期休み中は9:45~15:00
■ 対象・定員
対象:重症心身障がい児、医療的ケア児
定員:MIRAI 5名、KODOU 5名■ 送迎範囲
小松市内(加賀市、能美市は要相談)
■ スタッフ:9名
・PT3名
・看護師6名■関連情報
・MIRAIホームページ
ちなみに、MIRAIさんでは発達障がい児を対象とした運動療育型の放課後等デイサービスも2021年3月から運営しています。
隣接する建物で、視覚反射運動やボール遊び、感覚運動などの運動を主体としたプログラムを提供していました。
こちらの施設もまた、とっても素敵でした!
<MIRAIさん関連記事>
・代表・小茂田さんの声
ぜひ合わせて御覧ください。
以上、本日は、石川県小松市にある「MIRAI」さんを紹介しました。
一人でも多くの方に、MIRAIさんの素敵な想いと魅力がお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、施設から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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