みなさんこんにちは、リハノワ.comのかわむーです!
本日は、広島県広島市にある「西広島リハビリテーション病院」で理学療法士として働く藤高祐太さんを取材してきたので、皆さんにご紹介したいと思います!
普段お仕事をされる中で感じることや、理学療法士として大切にされている熱い想い、現在取り組まれている活動についてなど、その魅力にとことん迫っていきたいと思います!
理学療法士・藤高祐太さん
藤高さんが普段、理学療法士として関わられている方や専門分野を教えてください!
藤高さん:
僕は普段、病院の「回復期病棟」というところで、主に脳梗塞などの脳血管障害の患者さんや下肢・脊椎の骨折した患者さんのリハビリを担当しています。資格としては脳卒中認定理学療法士というものを取得しています。
また、大学院を修了した経験をもとに、歩行支援ロボットや介護予防の研究をしています。
その他、当院が “広島県地域リハビリテーション広域支援センター” に指定されていることもあり、地域の公民館や集会所に行って健康講座や運動指導も行っています。
理学療法士は、試験を受けて「認定理学療法士」という資格を得る制度があるのですが、藤高さんは脳卒中分野の認定理学療法士を取得されているのですね!
さらに介護分野に関しては、介護支援専門員、介護予防推進リーダー、地域ケア会議推進リーダーを取得され、広島県地域リハビリテーション専門職人材育成研修も修了されているそうです!
“地域リハビリ” に個人の専門性の “スキルアップ” 、さらには “研究” にも力を入れられているとのことで、意欲的に様々な活動をされていて本当に素晴らしいですね。
まさに、理学療法士の鏡です、、、!
“伝え方”と“デザイン”
私が藤高さんを初めて知ったのは、広島県の理学療法士が集まる研修会に講師として来てくださったことがきっかけでした。
その時の講演のテーマは、「理学療法士に必要なスライドデザイン」というものでした。今までにない “デザイン” や “伝え方” “図解” に関する内容で、非常に面白くて度肝を抜かれたのを覚えています!
藤高さん:
個人的な趣味として、PowerPointを使用したデザインや 伝え方、図解による思考の整理などを勉強しています。ここ数年で講師として呼んでいただく機会も増え、院外での活動も増えてきました。主には理学療法士向けに、講義をさせてもらっています。
“どうすれば、いかに相手に伝わりやすくなるか” を考えて資料作成することは、とても大切なことだと思っています。
確実に趣味の範囲を超えて、もはや本格的に仕事になるレベルだと思います。
理学療法士として専門性を極める藤高さんが、なぜデザインに興味を持たれるようになったのか、そのきっかけを教えてください。
藤高さん:
臨床7年目の時に、大きな学会で発表をする機会がありました。そこで、同じセッションの発表者のレベルがとても高いことに驚きました。
その方たちは、研究デザイン(緒言や目的など)がしっかりしているのはもちろん、難しいはずの内容を知識の少ない自分でも分かるように、とても綺麗にスライドにまとめていました。自分としては、大学院修士課程(臨床5~6年目)での勉強や研究の集大成を発表するつもりで自信をもって挑んでいたのですが、あまりの自分のレベルの低さに愕然としました。
その頃から、スライドデザインや人への伝え方などの勉強を始めるようになりました。
案外、デザインにはルールがあり、書籍やネットサイトでも多く紹介されていました。デザインや伝え方はとても奥が深く、気がつけばどっぷりとハマっていました。
臨床7年目の学会での苦い経験が、藤高さんのデザインや伝え方に対する情熱に火をつけたのですね。
藤高さんの講演は非常に分かりやすく、私はそれをきっかけにスライドデザインに興味を持つようになりました。何においてもそうかもしれませんが、“伝え方” って本当に大切ですよね。
大事な発表前には、ぜひ、藤高さんのスライドデザインのコンサルティングを受けたいくらいです(笑)
きっかけは学生時代に
理学療法士として、本業に趣味に教育に、とても意欲的に活動されている藤高さんですが、そもそも理学療法士になろうと思った “きっかけ” はなんだったのですか?
藤高さん:
僕が中学3年生の時に祖母が脳梗塞となり、現在の職場である西広島リハビリテーション病院に入院しました。“理学療法士” という職業はその時に知りました。
高校生の時に、母親に大学の進路相談で “理学療法士になりたい” という事を伝えると、嬉しそうに勧めてくれたのを覚えています。おそらく母親にとって、祖母のリハビリの印象が良かったのかもしれませんね。
当初はスポーツ分野に興味があったのですが、地元が医療過疎地だったということもあり “地域リハビリ”にも興味が湧くようになります。
高校時代にお母様の後押しがあり、理学療法士を目指されることになったのですね!
大事な息子様がこうして素敵な理学療法士となり、多くの患者さんを救い、そしてたくさんの舞台で活躍する立派な姿をみて、お母様もきっと喜ばれている事でしょうね。
パワーの裏側
ここからは、藤高さんが普段お仕事をされる中で感じる様々なことについてお聞きしていきたいと思います!
まずは、お仕事をする中で「大変だな」と感じることを教えてください。
藤高さん:
脳血管障害の患者さんの中には “高次脳機能障害” といって病識が欠如している方や、怒りやすくなる易怒性のある方、失語症によってコミュニケーションが取りにくくなっている方がいます。
病識がなく怒りやすくなっている方にリハビリをして怒られた経験も多数あります。
自分が若い頃は「リハビリする必要があるのに怒るなんて、なんて理不尽なんだ」と思うこともありました(苦笑)。しかし、よく考えてみれば、患者さんからすれば運動する必要性がなく、したくもない運動を無理矢理やらさられているので、怒っても当然です。
今では、その方の立場に立って考えること 「なぜ、この方はリハビリをしたくないのだろう」 と、俯瞰的に物事を考えるようにしています。そう考え対応することで、うまくリハビリに応じてもらえることも増えてきたと感じています。
これは、“認知症” の患者さんにも同じように対応するよう心がけています。
高次脳機能障害や認知症によるコミュニケーションの難しさは私もとても痛感しています。
その方の立場に立ち、「なぜ?」を問う事で、物事の見方が変わってくるのですね。私も藤高さんの言葉を心得て、実践に移していきたいと思います。
その他、臨床以外にも多くの活動をされている藤高さんですが、「苦労されたこと」などはありますか?
藤高さん:
そうですね、大学院に入学した臨床5~6年目はとにかく大変でしたね。
大学院に入学した理由は、“理学療法士としてもっと成長しなければいけない” という、ある意味不安からくる強迫観念みたいなものでした。というのも、若手の頃は分からないことだらけで、勉強してもしてもうまくいかない事が多く、大学院に行って成長すればなんとか切り開けるんじゃないか、と思ったんです。
臨床5年目で今まで通り常勤で働きながら、広島県の三原市にある県立広島大学の大学院の修士課程に入学しました。
半日休みをもらって、夜に三原で講義を受けたり、休みの日を使って介護予防の研究をするために三原周辺地域の公民館などで体力測定のデータを取らせてもらったり、とにかく休みがなかったように思います。
しかも、入学当時、長男が1歳、大学院2年で長女が生まれるなどのイベントもあり、仕事、家庭、大学院の三本柱のバランスを取るのがとても大変でした。しかし、その当時の経験があるので、今は多少大変なことがあってもなんとかなる、と感じています。
常勤で働きながら1時間以上も離れた大学へ通い、休みの日にはデータを収集、さらにはお子さんが生まれる等のイベントもあったとは、、! 相当大変だったことが容易に想像できます。
藤高さんの現在のパワフルさの裏側には、このような過去があったのですね!
大切なことに気づいた経験
やりがいを感じる瞬間、経験などがあれば教えてください。
藤高さん:
普段は回復期病棟に入院している患者さんを担当しているので、退院した後の患者さんの生活をあまり見る機会がなく、退院したあと「ちゃんと一人暮らしができているかな?」「家で転倒せずに歩けているかな?」など、気にかかることが沢山あります。
以前、脳梗塞(延髄外側)で手足の失調症状が強く、退院時に杖なしで何とか歩けるレベルの50代男性を担当したことがありました。
もともと趣味でカラオケの先生をしていたことや、昔バンドでギターをしていたこともあり、入院中から音楽療法士とギターの弾き語りを練習していました。本人は退院後に “路上ライブ” をしたいという希望があったため、理学療法ではギターを担いで歩く練習や、作業療法では指先を細かく動かす練習をしたりしていました。
僕がデザインや動画編集が趣味であることを伝えると、患者さんが「自分の演奏姿を撮影して動画編集したい」と言われました。そこで、リハビリ時間外で弾き語りの動画撮影、動画編集、動画共有サービスへの投稿方法などを僕の分かる範囲で教えました。退院後は、年に何回か許可を取った上で路上ライブをしたり、動画共有サービスに動画投稿しているのを拝見しました。
動画編集なんかは直接リハビリとは関係ないですが、退院後は入院中よりも活動的になり、本人のやりたいことを主体的に続けられる支援ができたのではないかと思っています。
歩くためだけにリハビリするのではなく、歩くということは“手段”で、その方が歩いて何をしたいか、その“目的”に向かって主体的に動けることが大切だと思います。
そんなことを改めて教えてくれた方で、理学療法士をしていて嬉しかった経験です。
そんな経験があったのですね、、!
藤高さんの患者さんに対する情熱とそのストーリーにとても感動し、胸が熱くなりました。
“リハビリはあくまでも手段。何をしたいのかという目的を明確化し、それに向かって主体的に動けるようにサポートすることこそが、我々の仕事である。”
とても勉強になりました。
僕が変化をやめない理由
最後に、藤高さんが、セラピストとして “大事にしていること” や “モットー” があれば教えてください。
藤高さん:
僕は普段から “難しいことをいかに簡単に伝えられるか” を心掛けています。
例えば、患者さんに体の動かし方を伝える、他職種の方に専門的なことを伝える、学会発表で聴衆に研究内容を伝える、一般市民の方に健康について伝える、など。
当然ですが、こちらがよく分かっていることは必ずしも相手がそうであるとは限りません。相手の立場にたって考え、理解ができていないのであれば、こちらが伝え方の工夫をするようにしています。
アウトサイド・イン(できない理由を人のせいや環境のせいにする)のではなく、インサイド・アウト(できないのならばを自分自身を変える)という考え方を大事にしています。
これは、「7つの習慣」という有名な本のパクリだけど(笑)、理学療法を行う上だけでなく、対人関係や子育てなど、人生のあらゆるところに活きてくる考え方だと思っています。
“何かを成し遂げたいと思った時、人を変えようとするのではなく、自分自身が変わっていかなければならない” そんな事を藤高さんの話を聞きながら思いました。
自分自身が変化し、伝え方を工夫する。人生をシンプルかつスタイリッシュに、そして情熱的に生きている藤高さんの周りにはいつも人の笑顔があふれています。
これからも、周りに元気を与える存在として輝き続けてもらいたいです!
藤高さん、本日はありがとうございました!
以上、本日は広島県広島市にある「西広島リハビリテーション病院」で理学療法士として働く藤高祐太さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、藤高さんの素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワ.comをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
※この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
コメント
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