みなさんこんにちは、リハノワ.comのかわむーです!
現在リハノワ.comは、種子島の旧饅頭屋をバリアフリーリノベーションし宿屋を作るという『カモメプロジェクト』に関わらせていただいています。
2020年4月に公開した、医療サポートが必要な娘さんのお母さん・イツカさんと、イツカさんのバリアフリー住宅を手掛けた一級建築士・内野康平さんとの出会いがきっかけとなり、現在、種子島を拠点にプロジェクトが進められています。
リハノワ.comでは、カモメプロジェクトに関わる様々な人をピックアップし、プロジェクトにかける熱い想いや進める中で感じること、また宿屋カモメや島の魅力について等とことん迫っていきたいと思います!
本日は、前回の一級建築士・内野康平さんに続き、大工の棟梁・中村悟さん、妻のめぐみさんに『境界なき宿屋 カモメ』に対する思いや、仕事に対する熱い思いなど色々と聞いていきたいと思います!
・リハノワ.comシリーズ連載『境界なき宿屋 カモメ』は、こちらから。
・カモメプロジェクトのクラウドファンディングページはこちらから。
・カモメが完成するまでの過程をYouTubeにて発信中!
車椅子YouTuberちんさんのチャンネル『suisui – Project』にて。
・カモメ公式HP(準備中)・Instagramはこちら。
ぜひ合わせてチェック・ご覧ください。
猛政工務店・中村悟さん
中村さんは普段は広島で大工仕事をされているとのことですが、今回カモメに関わられることとなった “きっかけ” を教えてください。
カモメプロジェクトの建築士 うっちー(内野康平さん)とは、広島ではいつも一緒に仕事をしているんですが、唯一、一緒にしていないのが種子島にあるあずまやだったんです。
だから、いつか種子島でも一緒に仕事をしたいなと思っていました。
今回カモメの話をもらって、すごく嬉しく思っています。
内野さんの studio KANRAO が手がける住宅の大工工事のほとんどは、中村さんが担われていたのですね!
中村さんの「猛政(たけまさ)工務店」としての活動は、いつからされているのですか?
ここ1年くらいです。
これまでは一人で親方として受注した仕事をこなしてきました。しかし、studio KANRAO では、妻にも協力してもらいつつ自分の色も出す形で仕事をさせてもらっています。この変化の中で “二人で仕事するスタイルに本腰を入れてやりたいな” という思いが強くなり「猛政工務店」と名乗るようになりました。
ちなみに、この「猛政」というのは、父と祖父の名前から一文字ずつもらいました。
大工の道に導いてくれた尊敬する人たちの名前を背負っていることで、その方達に “恥じない仕事をしなければ” と自分の気を引き締めています。これが仕事の質の向上にもなり、お客さんの満足度にも繋がると思っています。
あとは、親と祖父の名前を入れることで、”お前も頑張ってやってくれてるんだな” と親に喜んでもらいたいという思いもあります。親に仕事を見てもらって、喜んでもらえたら、こんなに幸せなことはないですよね。
もっともっとやっている人はたくさんいて、そういう人に腕でかなうとかは思わないけど、僕はそういう気持ちで仕事に向き合っています。
素晴らしいですね。最高の親孝行です、、、!
中村さんはオーダーで造作家具やアイアン家具の製作販売も行われています。詳しくは「fine factory」のInstagramをチェックいただき、依頼・質問等があればそちらからメッセージをお願いいたします!
大工としての “歩み” と “可能性への挑戦”
幼い頃から、大工であったお父さまやお爺さまの姿を見て育ったとのことですが、いつ頃から “大工になりたい” と思うようになったのですか?
物心ついた頃には、思っていましたね。
でも、高校生の頃にはその想いも一度は薄れて「田舎から都会に出たい」「違う生活をしてみたい」と思う時期もありました。その時、親は絶対に大工になれと押し付けてくることはなかったけど、もし、やりたいことがないんなら1年間建築の専門学校に行ってみて、それから考えてもいいんじゃないか、と提案してくれました。
その学校がちょうど都会の方にあったことから、僕は1年間学校にいくことにしました。
そして1年間学び、やはり大工の仕事は面白そうだなと感じました。
父の「いろんな仕事があるけど、家っていうのは一生に一度建てるか建てないかのもの。家づくりを通してその人の暮らしに関われる仕事っていうのは、すごく楽しいと思うよ」という一言が決定打となり、大工の道に進むことを決意しました。
当時19歳でした。
19歳で大工の世界に入り、それからずっとこの道一本ですか?
そうですね。19歳から大工一筋でやってきて、今年で28年になります。
これまで、大工の仕事はもちろんのこと、その他の家づくりに関する様々な仕事を、色んな環境や現場で経験してきました。その経験は、今の自分の “自信” にも繋がっており、それが一つの “強み” だと思っています。
色々と経験してきた自分だからこそ、今ここで、カモメに対して出来ることは多いんじゃないかな、と思います。
今47歳であとどれくらい仕事ができるか分からないけど、残りの大工人生はこういった世界に足を踏み入れて、その面白さを最後まで追求していきたいですね。
自分自身どこまで変われるのか、可能性に挑戦していきたいです。
「不器用な男じゃけぇ」と言いながら背中で仕事を語る中村さん。丁寧で正確な技術は、素人から見たらもちろんのこと、プロから見ても本当に素晴らしいと伺っています。
カモメも、信頼できる大工さんに造っていただけて嬉しいです。
今後のさらなるご活躍を楽しみにしています!
カモメにかける想い
棟梁・悟さんが『境界なきカモメ』にかける “想い” や “意気込み” を聞かせて下さい。
実は、僕はこのプロジェクトメンバーに山田いつかさんがいることに、とても深い思い入れがあります。
山田さんには医療サポートを必要とする娘さんがいらっしゃいますが、3年前に山田さんの住宅を手掛けた時から、彼女をとても尊敬していました。
障がいを持った方のご家族は時間もなくて大変そうなイメージでしたが、山田さんみたいにオシャレを楽しみながらも、それでも一生懸命家族を支えているスタイルが素晴らしいと思ったんです。
(山田さんの福祉とデザイン・オシャレに込める想いをまとめた記事はこちらから)
山田さんとの出会いで、何か変わったことはありますか?
山田さんみたいに、例え自身やその家族の体に不自由があったとしても、“選択肢を増やす” ことで可能性を広げ、出来ることをもっともっと広げていきたいと思うようになりました。
障がいがあるから我慢しなければならないっていうのは、違うと思うんです。
今回このカモメを作ることで、離島への旅行を諦めている方にもぜひ来ていただき、より人生が豊に楽しくなるお手伝いをさせていただければと思っています。
そして今回このカモメは、同じ熱い想いを持った人達が繋がって、みんなが同じ思いでやっているのが本当にいいなって思っています。
そんなプロジェクトに自分が関われるっていうのはものすごく嬉しいし、メンバーであることを誇りに思っています。
プロジェクトメンバーは、“山田さん一家を旅行に連れていきたい!” という思いを持って集結しました。山田さんが、ここにいるみんなを繋げてくれてたのですね。
その他、現場でのお仕事の方で何か “意気込み” があれば教えてください!
今回、ここまで古い歴史のある民家をリノベーションするのは初めてのことです。
解体していると昔の仕事もわかるので、やりながらとても勉強になって面白いです。元の仕事を壊さないように、そして、自分がやる仕事も他のみんなが次にやりやすいように気を使っています。
普通の住宅だと、自分の仕事である大工工事を終えたらすぐに次の人に引き継ぐため、基本的に会うことも見ることもなくなってしまいます。でも、今回は宿屋だから見に来ることができます。
最終的に完成した時に、作り手みんなが、そしてお客さんみんなが、一緒になって笑顔で喜べたらいいですね!最初から最後までみんなで作り上げていくのが、本来の住宅のあるべき形じゃないかなと思っています!
今、自分ができる精一杯のことを、このカモメに注ぎ込みます!
中村さん、力強いコメントをありがとうございます!
よろしくお願いいたします!
種子島で感じる 愛
広島から種子島に行かれて1ヶ月が経ちますが、島での生活はいかがですか?
種子島の人が、本当に皆さんいい方ばかりで驚いています。
現場で作業をしていたら、カモメの前を通る人もみんな優しく声をかけてくれるし、親切に差し入れまで持ってきて下さったりする方もいます。かつての饅頭屋が、そしてこれからできる宿屋カモメが、皆さんに愛されていることを肌で感じます。
仕事自体は、毎朝5時に起きて7時・8時から現場作業を開始します。週6日(日曜日休み)のペースで進めています。
現場での昼食は、妻が作ってくれたお弁当を食べたり、うっちーが現場飯を時折作ってくれるのでそれを食べたりしています。うっちーは、これまでグリーンカレーやハンバーグを作ってくれたんですがすごく美味しかったです、彼は料理上手ですね。
今回、広島から妻のめぐみさんと一緒に種子島に来られていますが、やはり、めぐみさんがそばにいてくれることで悟さんも安心して仕事に集中できているのではないでしょうか?
本当その通りです。
種子島で仕事を頑張れているのは、妻が一緒にきてくれているのが本当に大きいと思っています。自分一人だったら妥協してしまうことも、二人だったら乗り越えてこられることがたくさんあります。
いつもそばにいてもらえることで、“家族に変なところは見せれない” と自分自身も気が引き締まり、成長できているのが分かります。
妻のめぐみには、本当にいつも感謝しています。
同時に、この環境を許してくれているうっちーにも感謝しています。
studio KANRO 内野さんへ
いつも一緒に仕事をしている一級建築士の内野さんは、中村さんからみてどんな方ですか?
今までやってきた大工仕事は、自分がとってきた仕事というものよりも、タイミング的にあう現場に入ることが多かったので、思い入れがあるというよりは、ただ目の前のことを頑張ろう、という繰り返しでした。
しかし、うっちーの studio KANROと出会ってからは、その感覚がガラッと変わりました。うっちーはどんな現場でも一軒に対する思いが本当に熱くて。最初の打ち合わせから時には解体の段階から一緒にやったりもしています。だから僕も、一軒に対する思いが、何倍も何100倍も大きくなるんです。
そして、お客さんとも親しくなればなるほど、いいものを作ってあげて家族に快適に幸せに暮らしてほしいという思いが大きくなります。そんな環境を作ってくれて、なんでも言い合えるのは、うっちーだからじゃないかなと思っています。本当、熱い男ですよ。
建築士 内野さんへ、何かメッセージはありますか?
うっちーと出会ったことで、僕は本当の自分が出せるようになりました。
自分を曝け出すことはなかなかできない業界の中、ここでは自分の意見も出せるし、逆にうっちーも出してくれるから、ものすごくいい環境で働くことができています。
僕はこう見えて、お客さんともしっかりと話をしながらやりたいんです。これは、ずっとずっと前から思っていたことです。それをうっちーは認めてくれて、一緒に作り上げていきましょうと声をかけてくれるんです。みんなを巻き込んで進んでいくので、毎回とてもいいものができます。
やりたくても場所がないとできないので、こうやってチャンスを与えてくれるうっちーには本当に感謝しています。僕からもうっちーにお返しできるよう、全力で関わっていきます!
最後は、中村さんと内野さんの絆、そしてカモメにかける熱い想いに胸が熱くなりました。
聞けば聞くほど、カモメのことがどんどん愛おしく、楽しみになってきますね。
めぐみさんからメッセージ
ここからは、悟さんの奥様で、大工のめぐみさんにも色々と伺ってみたいと思います!
めぐみさんが『境界なきカモメ』にかける “想い” や “意気込み” を聞かせて下さい。
今回カモメのお仕事の話を内野さんからいただいた際、主人から「種子島の現場をやりたいけど、どう思う?」と聞かれました。私は主人がやりたいと思うことを全力で応援しようといつも思っているので、「出来る限りサポートするので種子島行きたいね」と背中を押しました。
この時、内野さんもすごく喜んでくれて “一緒にいいものを作りましょう!中村さん夫婦がきてくれたらこんな安心感はありません!” と言って下さったのがものすごく嬉しかったのを覚えています。
実際に種子島に行くと、私が思ってる何倍も何十倍も、カモメに関わる職人さんや技術職のみなさん、内野さんのお母さん(カモメおばん食堂の料理長)、そして島の皆さんがカモメのことを大切に・楽しみに思っていていることが分かりとても気合いが入りました。
車椅子YouTuberのちんさんをはじめ、色々な方との繋がりや出会いにも本当に感謝しています。
車椅子YouTuberのちんさんといえば、めぐみさんも現地での動画撮影部隊として、ちんさんの動作制作に協力されているのですよね?
そうなんです!
こんな経験は初めてで毎回とても緊張しているのですが、私が現場でとった動画をちんさんが編集してくださりYouTubeに週1回アップして下さっています。ぜひこちらの動画も皆さんに見ていただき、カモメが完成するまでの様子を知っていただけたら嬉しいです。(→YouTubeチャンネルはこちら)
いつかカモメに来てくれるちんさんに素敵な時間を過ごしていただけるように、車椅子ユーザーの方のことももっと色々と考えるようになりました。今回のちんさんとの出会いが、自分自身の成長にも繋がっているなとものすごく実感しています。
カモメに泊まった方が “わあ〜ここの空間すごくいいね!” と喜ぶ顔を思い浮かべながら、1つ1つ丁寧に、心を込めて毎日作業を頑張ります!
2020年9月21日(敬老の日)オープン予定の『境界なき宿屋 カモメ』
“未来のお客様” に向けて、めぐみさんより一言・メッセージをお願いします!
ちんさんのYouTubeやかわむーの連載記事で、カモメができるまでの色々な工程やカモメに関わってきた皆様方の想いを知ってもらった上で泊まりに来てもらえたら、もっと違う目線や思いで泊まっていただけるのではないかなと思います。
素直に、“カモメに泊まってよかった” “ 種子島に来てよかった” “また泊まりたいな” と思ってもらえることが何より嬉しいですし、その言葉を聞くと報われます。
そう思っていただけるように、私たちも一生懸命頑張りますので今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。
めぐみさん、素敵なメッセージをありがとうございました!
これから夏も本番となり、現場はますます猛暑となることが予想されますが、どうか体に気をつけて作業を進めてください。
中村悟さん、めぐみさん、本日はありがとうございました!
次回のシリーズ連載『境界なき宿屋 カモメ』は、種子島の職人さんを特集し、その熱い想いに迫ります!
また、8月上旬よりカモメプロジェクトのクラウドファンディングがついにスタートしました!
ぜひそちらも合わせてチェックください。(返礼品にも力を入れています…!)
以上、本日はカモメプロジェクトの大工 中村悟さん・めぐみさんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、中村ご夫妻の素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワ.comをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
※この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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