みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
今回は、広島県広島市にある「訪問看護ステーション あすか」で理学療法士として働く、小柳翔太郎さんを取材しました。
小柳さんが抱く、小児のリハビリテーションに対する熱い想いや、理学療法士として働く中で大切にしていることについて紹介します。
理学療法士・小柳翔太郎さん
小柳さんが理学療法士として関わられている方や、専門分野を教えてください。
現在、私は「訪問リハビリ」という形で、早産児や脳性麻痺などの子どたちに関わらせてもらっています。
小児のリハビリを担当するようになったのは、理学療法士1年目の頃です。
広島大学を卒業後、私は京都の急性期病院に就職しました。私の恩師でもある当時のリハビリ科の科長さんが、小児のリハビリに対して非常に熱い想いをもっていました。
「理学療法士になったら、この方の元で勉強したい」と学生時代に強く思い、就職先として希望したのです。就職後は、成人の入院リハビリを担当しながら、子どもの入院・外来リハビリも担当させてもらいました。
「小児リハの世界で自分がトップになる!」と意気込んでいた私に対して、恩師は「自分がトップになるという自己的なものでなく、将来の子ども達のために新しい治療法を考えてやる!といった利他的なものになってほしい」と言ってくださいました。
今でもこの言葉を胸に、日々仕事に励んでいます。
学生の頃から「小児のリハビリに携わりたい」という熱い思いがあり、京都の病院に就職されたのですね。1年目の頃から尊敬する師匠の背中を見ながら小児のリハビリに携わることだできたのは、非常に良い経験だったのではないでしょうか。
「自己的ではなく利他的であれ」という師匠のお言葉、非常に素敵ですね。
子どもに元気を与えたい
小柳さんが、「理学療法士になりたい」「子どものリハビリに携わりたい」と思ったきっかけは何だったのですか?
私は幼少期、小児喘息のため病院通いの日々を送っていました。
小児科の先生とふれあうなかで、次第に医療の世界に興味をもつようになります。「僕もいつか、子どもを元気にすることができる大人になりたい」と憧れを抱きました。
学生時代にはサッカーを通してスポーツドクターと関わることもあり、子どもと関わる仕事って素敵だと、より思うようになります。一時は、保育士もいいかと思う時期もありました。
子どもの頃に診てもらっていた先生がきっかけで、小児に関わる仕事をしたい、と思うようになったのですね。
さまざまな選択肢があった中で、なぜ、理学療法士になろうと思われたのですか?
姉から「理学療法士っていう仕事があるよ!」と教えてもったのがきっかけです。
姉は、テレビドラマ『オレンジデイズ』を見て、理学療法士という仕事を知ったようです。いま思えば、オレンジデイズは作業療法士さんが主役だったかと思いますが(笑)、私はそれから理学療法士という仕事についていろいろと調べるようになりました。
子どもと関われて成長を支援できる「小児の理学療法」というものがあることを知り、とても魅力を感じました。この時は、病児保育的なイメージを持っていたと思います。
しかし、学生時代に広島県にある療育センターで実習をさせてもらったり、いろいろな方の話を聞いたりする中で、次第にそのイメージは変わっていきました。
知識と経験から
ほとんど小児に関わってこなかった私からすると、小児領域はなんだか特殊で難しそうなイメージがあります。小柳さんがこれまで働いてきた中で、苦労したことや大変だった経験はありますか?
私の場合、「子どもの発達」というところで最初はかなり苦労しました。学生時代の授業では「反射」のことをメインに習ったので、発達に関する知識は乏しい状態だったのです。
理学療法の治療といえば、なにかしらのテクニック(神業的なもの)を使うのが主流だと思っていましたが、そうではなくて「子どもの発達」を学ばないといけないということを、京都の病院時代の恩師が教えてくれました。
小児に限ったことではありませんが、「いつまでも学び続けないといけない」というのは、私たち医療従事者の大変なところかと思います。一方で、それが面白みであるとも感じています。
私も学生時代の小児の授業では、反射について一生懸命勉強していた記憶があります。
小児の領域では、言語でのスムーズな疎通が図りづらいこともあるかと思いますが、コミュニケーションに関して工夫していることなどあれば教えてください。
コミュニケーションを取るのが難しいと思われるかもしれませんが、それ自体はある程度慣れもあるのかな、と感じています。
言語でのやり取りが難しい子どもとのコミュニケーションのコツは、「子どもの発信するサインをしっかりと受け止めて、子どもの目線で考え、そのサインに応える」という、双方向のやり取りを大切にすることだと思っています。また、そのようなやり取りを、長い付き合いの中で積み重ねていくものだとも思います。
赤ちゃんとのコミュニケーションは、赤ちゃんから好かれるように「リズムを合わせる」などいろいろなコツもあります。
最近では、「赤ちゃん学会」という工学や物理を専門とする人から、保育士、医療従事者、心理学を専門とする人など、幅広い人が集まる学会で、赤ちゃんに関するさまざまな研究や議論がなされています。
コミュニケーションは、まずはしっかりと関わり、経験することが大事になるのですね。
赤ちゃんに関して研究・議論されている「赤ちゃん学会」というものがあるとは知りませんでした。多領域の方が関わられていて面白そうですね。
成長という喜び
小柳さんがお仕事をする中で、やりがいを感じる瞬間があれば教えてください。
子どもの成長を感じられた時はとっても嬉しいし、やりがいを感じます。
お母さんと一緒に決めた目標をクリアできた時は、この上ない喜びを感じます。
わずかな変化も見落とすことなく、子どもの成長を共有しています。
きっとお母さんにとっても、我が子の成長を一緒になって喜んでくれる、とてもかけがえのない存在なのでしょうね。小柳さんの子どもを思う熱い気持ちが、お母さんにもきっと伝わっていると思います。
私が描く未来と決意
最後に、小柳さんがセラピストとして大切にしていることや、小児のリハビリテーションの今後について考えていることがあれば教えてください。
私が子どもと関わるうえで大切にしているのは、「主役は常に子ども」ということです。
私が何かをする(治す)のではなくて、子どもが何かをする時に、自分はその環境要因の一つでありたいと常に思っています。その視点は教育や保育に近いかもしれません。
医療は日々進歩していますが、実は、小児のリハビリに関しては、ここ数十年ほとんど変わっていないと感じています。
先ほどお話したようなことを大事にしながら、私は、小児のリハビリ界に “パラダイムシフト” を起こしたい!と思っています。
私はまだ何も成し遂げられてはいませんが、何かを成し遂げるため、その努力は続けてこうと思います。
“ 子どもたちが主役の人生を、より楽しく生きていけるように ”
私はそれを影から支え、これからも小児のリハビリの世界で闘志を燃やし続けます。
小柳さん、力強いメッセージありがとうございました!非常に熱い想いに心を打たれました。
冒頭でお話されていた「自己的ではなく利他的であれ」という師匠の言葉が、現在の小柳さんのモットーになっているのですね。
「あくまでも自分は環境因子の一つであり、主役は子どもである」という言葉からは、私自身とても大切なことに気づかされました。
小柳さんが小児のリハビリ界にパラダイムシフトを起こすことを、心から楽しみにしています。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
<関連記事/SNS>
・訪問看護ステーションあすか
・小柳さんが担当する利用者さんの声:前編
・小柳さんが担当する利用者さんの声:後編
・小柳さんのTwitter
ぜひ合わせてご覧ください。
以上、本日は広島県の広島市にある「訪問看護ステーション あすか」で理学療法士として働く、小柳翔太郎さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、小柳さんの素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
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