志摩市民病院リハビリテーション室|三重県志摩市

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

本日は、三重県志摩市にある「志摩市民病院 リハビリテーション室」をご紹介します。

志摩市民病院は、志摩市南部の回復期や緩和医療、在宅医療において重要な役割を担う中核病院です。2016年に就任した現院長の江角悠太先生(当時34歳)が大赤字で縮小を余儀なくされていた病院をV字回復させたことで一躍有名となり、その取り組みはNHK『逆転人生』をはじめ多くのメディアで取り上げられています。

今回の取材は、2021年秋に院長の江角先生とオンラインでお仕事をご一緒させていただいた事がきっかけとなり実現しました。江角院長とともに地域医療を支えるリハビリスタッフや病院に入院する患者さんの生の声を聞くべく、実際に志摩市民病院に伺いインタビューを実施しました。

感染管理には十分配慮した上で見学やインタビューをさせていただいたので、写真も交えながらその魅力をお伝えしていきたいと思います。

志摩市民病院リハビリ室

◆ 志摩市民病院リハビリテーション室
スタッフ:

PT 6名、OT 4名、助手 1名

リハビリの部門:
・病棟リハビリ(一般病床17床、療養病床60床)
・訪問リハビリ
・外来リハビリ
・通所リハビリ

施設基準:
・運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
・脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅱ)
・廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)
・呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ)

◆新・志摩市民病院のストーリー
2015年12月診療所への規模縮小が検討された病院に見切りをつけ、医師3名と看護師数十名が一斉退職。この地域の終末期医療はどうなってしまうのだろうか、と感じた当時7年目の若手医師・江角悠太氏が立ち上がる。住民を含めたタウンミーティングにて病院の必要性を再確認し、常勤医師1名・非常勤医師3名をなんとか確保。2016年4月江角医師が院長に就任し、『絶対に断らない』をモットーに掲げ再スタートを切る。「病院まつり」という地域住民を巻き込んだお祭りを開催し、1500人を超える方が参加するなど大盛況をおさめた。以後、病院まつりは毎年開催している。かつて「なくてもいい病院」といわれた病院は、次第に地域に受け入れられていく。2016年院内に研修委員会が立ち上がり、慢性的な人手不足を解消するために研修生や体験学習生を積極的に受け入れる仕組みを整備した。医療学生や中高生まで幅広く、年間数百名を受け入れている。外来・入院患者が増えたことによる純粋な収益増により2020年には赤字はほぼ解消。現在も志摩の地域住民のために、日々絶対に断らない医療を実践している。


かわむー
かわむー

志摩市民病院では、リハビリスタッフの人数は10名と少ないながらも、病棟や訪問、外来や通所などさまざまな形でリハビリテーションが提供されています。普段はチームごとに各部門のリハビリを行いますが、日によって臨機応変に変更することもあるそうです。一人一人の能力はもちろん、マネジメントも素晴らしいと感じました。

訪問リハビリ部門では、なんと片道40〜50分程度かかるお宅や離島にも伺っているそうです。志摩市では、高齢化が進み(高齢化率40.2%)離島もあることから医療アクセスに困難がある住民が多い一方で、訪問リハビリを提供している事業所は4箇所とかなり少ないのだそうです。

予防も含めたリハビリテーションの必要性および可能性を感じました。


スタッフ紹介

志摩市民病院リハビリテーション室の皆さん
かわむー
かわむー

今回の取材にあたり、施設案内や見学・取材の調整など丁寧に対応してくださった清水敦さんに、リハビリスタッフを代表してお話を伺ってみたいと思います。

清水さんは、14年前から志摩市民病院で理学療法士として勤務されているとのことで、病院の変革なども含め様々なご経験をされています。


志摩の地域・人をこよなく愛す、理学療法士の清水さん(神奈川県横浜市出身)


かわむー
かわむー

志摩市民病院リハビリテーション室の歩み特徴、スタッフの皆さんが大切にしていることを教えて下さい。


清水さん
清水さん

私が志摩市民病院で働き始めた当初、セラピスト4名で病棟(90床)患者さんのリハビリをおこなっていました。

しかし、2015年に診療所への規模縮小が検討されたタイミングで医師や看護師が一斉退職。セラピストで退職する人はいませんでしたが、職員がいないと患者さんも受け入れられないため、一気に仕事がなくなりました。

そのタイミングで、訪問リハビリが新たにスタートとなります。


かわむー
かわむー

江角先生が院長になられてからは、「絶対断らない」をスローガンに病院再編に取り組まれたとお聞きしました。当時、リハビリテーション室としてはどのような動きをされたのですか?


清水さん
清水さん

当時、江角先生は全国各地の自治体病院は人材不足や人口減少による利用者の減少で経営難に直面していることから、「志摩市民病院の取り組みを、町づくりにも活かせるような一つのモデルにしたい」と意気込んでいました。

もちろんリハビリ室としてもそれを一緒に実現するため、リハビリ業務の枠を越え、病院再編さらには町全体を盛り上げるために全面協力しました。

まずは、慢性的な人手不足を解消するために「研修委員会」という組織を立ち上げ、学生向けのインターンシップに力を入れました。私はその委員会の世話人としても動いています。

全国各地の医療学生や一般の大学生、また中高生を研修生や体験学習生として受け入れ、実践的な業務を学ぶだけでなく、祭りやサーフィン、伊勢エビ漁体験、地域住民との交流など、地域の魅力を知ってもらう研修を実施しました。

リハビリ学生も毎年受け入れ、「地域で暮らす、地域で生きるとはどういうことなのか」というメッセージも感じてもらえるような研修プログラムを作っています。

志摩市民病院では、多くのステークホルダーを巻き込みながらリハビリテーションを提供することを大切にしています。


かわむー
かわむー

素晴らしい研修プログラムですね! 学生の時にぜひ受けてみたかったです。

清水さんは現在、理学療法士の枠をこえ江角院長や病院のサポート、さらには地域全体を盛り上げるために様々な活動をされているようですが、清水さんが志摩にきたきっかけや、移住を決意した理由などあれば教えて下さい。


清水さん
清水さん

私は、藤田保健衛生大学の大学院生の時に志摩市民病院に配属されました。平日は病院で働き、週末は大学に戻り研究する生活を2年間送ります。

志摩のことは、その当時、地元の海女さんが営業されていた居酒屋「加奈」をきっかけにどんどん好きになりました。病院の職員さんとの繋がりも増えていき、地域や住民のために貢献したいという思いが次第に強くなります。そして、大学院を卒業後に移住しました。

私が病院や地域のために動き続けられるのは、地元でお世話になってきた人や地域そのものが大好きだからです。医療を通して地域に貢献できていると実感できる今、とても幸せです。


かわむー
かわむー

清水さんは、実習生を歓迎するための家を建ててしまうほど、地域や教育に対する愛が素晴らしい方です。私も実際にお宅を見学させていただきましたが、大人数でも泊まれるようになっているデザインハウスで、とっても素敵でした!(なんとグッドデザイン賞も受賞…!)

地域を盛り上げるには、そこを盛り上げる熱意と覚悟をもったハブとなる人が必要だということを改めて感じました。

清水さん、ありがとうございます。


清水さんの自宅
多くの実習生を受け入れられるように設計されている
なんと20名は宿泊可能…!


<住宅のコンセプト>
住宅ながら地域の医療を支える重要な場所です。施主は病院に勤める夫妻で、勤務先では医療系研修生が多く訪れますが、宿泊はホテルなどで、それではなかなか地域に馴染めません。この住宅では20名ほどが宿泊でき、集まることができます。このまちを好きになってもらい、未来の担い手を育て、地域との関係も生む、非住宅な住宅です。

Good Design Award 2021 受賞対象一覧より引用

研修プログラム

かわむー
かわむー

全国各地の医療学生や中高生を研修生として受け入れ、実践的な業務を学ぶだけでなく、祭りやサーフィン、伊勢エビ漁体験、地域住民との交流など、地域の魅力を知ってもらう志摩市民病院の研修プログラム。

実際に、「地域リハビリテーション」を学ぶ研修プログラムを受けられた当時のリハビリ学生(現在は志摩市民病院のセラピスト)にお話を伺ってみたいと思います!

まずは、5年前に研修を受けた作業療法士の鈴木さんにお話を伺います。


鈴木さん
鈴木さん

私は、専門学校3年生の臨床実習で志摩市民病院に来させていただきました。当時の思い出ベスト3を挙げるとしたら、1位は清水さんに教えてもらった地元の海女さんが営業されていた居酒屋「加奈」さんとの出会い、2位が釣りに行ったこと、3位が実習生同士の繋がりです。

作業療法の基礎を学べることはもちろん、実習期間中に地域との接点が多く持てたことで、就職先を考える際、一番に「志摩に帰りたい」と思いました。

実習中のミッションに「地域住民と関わること」というのがあり、積極的にお話したり交流をさせてもらったりしました。就職してからも「潮かけ祭り」をはじめとした地元のお祭りには参加するようにしています。

学生時代とは違い、今は仕事があるのでなかなかゆっくりと地域住民と関わることができていませんが、可能な限り丁寧に関わり続けていきたいと思っています。



かわむー
かわむー

地域のことや住民との関わりにより、作業療法以外のこともたくさん学べた素晴らしい実習だったのですね。

実習と実際に働くのとではまた少し違ってくると思われますが、鈴木さんの中で働きはじめて変化したことはありましたか? また、働く上でやりがいを感じる瞬間があれば教えて下さい。


鈴木さん
鈴木さん

実習生の時とは違い多くの患者さんを担当するので、忙しさの面では全然違います。ただ、医師・看護師・コメディカルみんなで一人の患者さんを良くしようと向き合う過程はとても楽しく、やりがいを感じます。

訪問リハ部門に配属され3年が経ちますが、訪問リハでは長く関わるからこそ見れる変化がたくさんあります。患者さんの行動を生活レベルで変えていくのはとても時間がかかりますが、変化を実感できた時は最高に嬉しいです。

先日は、3年間関わっている方がやっと自信がついたといって、自宅の階段昇降と布団の上げ下げができるようになりました。また、若くして脳卒中を患われた利用者さんは、以前からすすめていた就労がようやく開始できて、最近では毎週行くたびに生き生きと仕事のお話をして下さいます。長い時間悩まれていましたが、再び社会に出て人と関わるようになって、その方自身がとても前向きになられました。

こんなことを実感できる日々がとても楽しいです。


作業療法士の鈴木さん



かわむー
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続いては、地元出身の理学療法士・奥野さんにお話を伺ってみたいと思います。


奥野さん
奥野さん

私は現在3年目の理学療法士です。もともと志摩出身で、ここの病院で母が働いていたこともあり2期目の臨床実習で来させていただきました。

それまでの実習では駄目なところを指摘され続け辛い思いをしていましたが、ここでは清水先生はじめいろんな先生が丁寧に接して下さったこともあり理学療法の面白さを実感することができました。

理学療法の基礎はもちろん多職種との関わり方や地域での暮らしについて色々と教えてもらえたので、かなり成長することができました。


かわむー
かわむー

素晴らしいですね。主体性をもった良い実習が送れたことがとても良く伝わりました。


奥野さん
奥野さん

実習期間中にはちょうど「病院まつり」があったので、おまつりの準備から参加しました。地域を病院が盛り上げていく、という貴重な体験ができてとても楽しかったです。

また、多職種の学生や医師との患者プレゼンテーションで、医師の意見を聞けたり他の学生がどう考えているのか聞けたりしたことはとても勉強になりました。当時、江角院長から「評価上のことしか見ていないようだから、その方の内面的なところがもっと見れるように、問診をしっかりしてみたらどうかな?」と言っていただいたのを覚えています。以後、患者さん一人一人の背景や想いをしっかりと汲み取るように心がけています。

現在は、訪問部門に関わっています。リスク管理といった面ではまだまだ緊張しますが、院内とは違って家では目標がより明確に設定できるので楽しいです。また、自宅の環境をみて福祉用具の提案ができることにもやりがいを感じます。

地元民ながらこれまであまり地元のことを知らなかったので、患者さんや利用者さんと関わる中で、改めて志摩の魅力を感じています。


施設案内

かわむー
かわむー

病院内のリハビリに関する場所を案内していただきました。


◆ 運動療法室
1階にある運動療法室で、外来と入院患者さんのリハビリを行います。


◆物理療法室
運動療法室の隣にあります。物理療法が必要な方が使用します。


◆ スタッフ室
カルテを書くためのパソコンの上には、これまでに来た実習生の顔と名前が分かる「自己紹介シート」が壁一面に掲示されています。実習生も含めた「チーム医療」を感じられました。


病棟のリハビリスペース
各病棟にリハビリスペースが設けられ、プラットフォームや平行棒、リハビリに使用する道具が整備されています。

施設概要

国民健康保険 志摩市民病院
院長 江角悠太医師

■ 創立
1969年7月1日

■ 病床数
地域包括ケア病床29床・療養病床31床・一般病床17床

診療科目
総合診療科・内科・外科・整形外科・消化器科・循環器科・リハビリテーション科・皮膚科

■ 基本理念
絶対に断らない。
「地域の皆さまに寄り添う身近な病院になる」

■ 基本方針
1) 常に笑顔で対応します
2) 患者様の立場に立ち、常に温もりのある接遇をします
3) 患者様の人権を尊重し、患者様の視点で医療を行います
4) 患者様が、大切にされていると感じていただけるケアを実践します
5) チーム医療を実践し、明るい病院づくりに努めます
6) 地域の医療機関や多職種と連携し、地域医療の充実に努めます
7) 臨床実習医療機関として、地域医療を担う人材を育成します
8) 公共性と経済性を考慮し、健全な病院経営に努めます

■ 教育理念
・総合的に人をみる(診る・看る・観る)
・チーム医療を学ぶ
・地域を知る
・医療技術を学ぶ
・主体性を学ぶ

■所在地・お問い合わせ
〒517-0603
三重県志摩市大王町波切1941番地1
TEL  0599-72-5555
FAX  0599-72-3949


かわむー
かわむー

今回、実際に志摩に伺い、志摩市民病院が多くの人を魅了する理由が分かりました。ここには、熱意をもって地域に向き合う素敵な人や教育体制があります。かつては「なくてもいい」と言われた病院。それでも、地域医療を支えるために一生懸命前を向き歩み続けてきたスタッフの皆さまからは、本当の愛を感じました。

志摩市民病院の取り組みが、全国の地域に広まることを心から願います。

お忙しい中、丁寧に対応して下さった江角院長、清水さん、インタビューに協力して下さった病院スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。

これからも、皆様のご活躍を心より応援しております!



かわむー
かわむー

志摩市民病院でリハビリに励む患者さんにもインタビューを行いました。

99歳Sさん:大腿骨骨折後のリハビリ
60代Tさん:胃がん術後・抗がん剤後のリハビリ

ぜひ合わせて御覧ください。


以上、本日は三重県志摩市にある「志摩市民病院 リハビリテーション室」を紹介させていただきました。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。




※この取材は、施設の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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