【宿泊施設】誰もが温泉旅行を楽しめる「榊原温泉 湯の瀬」|三重県津市

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです。

今回は、三重県津市にある「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」さんをご紹介します。

こちらは、歴史ある榊原温泉のお湯を楽しみながら、高齢の方や障害のある方、介助が必要な方など、さまざまな方が旅を楽しめるよう工夫されたユニバーサルなお宿です。

今回は実際に宿泊し、温泉や食事、館内の設備などを体験してきました。施設のみなさんに伺ったおもてなしへの想いも交えながら、写真とともにその魅力をご紹介します。

福祉旅館「榊原温泉 湯の瀬」

(施設様より写真提供)

三重県津市にある「榊原温泉」は、市の中心部から少し離れた、山々に囲まれた自然豊かな場所にあります。古くから良質な温泉が湧き、伊勢神宮へ参拝する前に温泉で心身を清める「湯ごり」の地として親しまれてきました。

清少納言の『枕草子』に登場する「七栗(ななくり)の湯」は、榊原温泉を指すともいわれ、とろりとした肌触りのお湯は「美人の湯」とも呼ばれています。

そんな榊原温泉にあるのが、今回ご紹介するユニバーサルなお宿「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」です。

施設内には、温浴施設をはじめ、宿泊施設やレストラン、バーベキュー場、キャンプサイトなどを併設。温泉や食事、自然のなかでのアウトドアなど、それぞれのスタイルで滞在を楽しむことができます。

現在の施設は、2022年にリニューアルされました。高齢の方や障害のある方など、旅をするうえでサポートを必要とする方も利用しやすいよう、館内のバリアフリー化や設備の整備が行われています。介護用ベッドを備えた客室や入浴用リフトのある貸切風呂など、さまざまな方が温泉旅行を楽しめる環境が整えられていることも、湯の瀬の大きな特徴です。

榊原温泉 湯の瀬 エントランス
とろりとしたお湯が特徴の大浴場(施設様より写真提供)
大自然に囲まれたキャンプ場

湯の瀬へのアクセス

◆公共交通機関の場合
近鉄大阪線「榊原温泉口駅」からタクシーで約15分。タクシーは予約制のため、利用する場合は事前に確認・予約をしておくと安心です。

◆車の場合
伊勢自動車道「久居IC」から約20分。敷地内には約100台分の無料駐車場があり、そのうち約20台分が身障者用駐車スペースとして確保されています。大型バスでの来館にも対応していますが、利用する場合は事前に施設へご相談ください。

<所在地>
〒514-1251 三重県津市榊原町6103番地
電話:059-252-1313

身障者用の駐車スペース

バリアフリー情報

客室

客室は全16室。ツインルーム、和室、和洋室、VIPルームの4タイプがあり、人数や過ごし方に合わせて選ぶことができます。

なかでもVIPルームは、定員6名の広々とした客室。畳の小上がりスペースやテラスもあり、テラスからは桜の木を眺めることができます。

客室の大きな特徴は、介護用ベッドが用意されていることです。2名用の和室を除く客室には、2モーター式の介護用ベッドを1台設置。背上げなどの調整ができ、起き上がりや立ち上がりをサポートしてくれます。また、ベッドの向きや配置についても事前に相談することができます。

各客室には洗面台とトイレを完備。トイレには手すりがあり、車いすでも利用できるスペースが確保されています。客室内に浴室はないため、入浴には館内の大浴場または貸切風呂を利用します。

客室タイプ
・ツインルーム:8室
・和洋室:2室
・和室(2名):3室
・和室(6名):2室
・VIPルーム:1室

VIPルームの入口
VIPルームの客室内。手前に電動ベッドが設置。テラスからは、榊原ののどかな景色を望むことができます。
VIPルームの奥には、ゆったりとくつろげる畳の小上がりスペースも設けられています。
車いすでも利用できるスペースが確保されたパウダールーム
トイレには、跳ね上げ式の手すりが設置されています。
テラスの出入り口には約10cmの段差があるため、車いすなどで移動する際は注意が必要です。
鳥の声や心地よい風を感じながら、四季折々の自然を楽しめるテラス。春には、ここでお花見をされる方もいらっしゃるそうです。
和室(6名)の客室内
和室(2名)の客室内
すべての客室にユニバーサルトイレを設置。ドアは軽い力で開閉できるよう工夫されていました。

トイレ

館内の各フロアや客室、屋外には、車いすで利用できるトイレが設置されています。

※オストメイト対応設備については、取材時点では設置されていないとのことでした。必要な方は、事前に施設へご確認いただくと安心です。

エントランス付近には、車いすで利用できる共用トイレが設置されています。
トイレ内は清潔感があり、ベビーベッドも設置されています。
BBQ場にも、車いすで利用できるトイレがありました。(写真左)
BBQ場に設置されたトイレの内観

お風呂

お風呂は、1階の大浴場と、3階にある2種類の貸切風呂を利用できます。

大浴場には内湯と露天風呂があり、日帰り入浴も可能です。取材に訪れた日も、地域の方々が温泉を楽しむ姿が見られました。

3階の貸切風呂は宿泊者限定で、「畳タイプ」と「ジャグジータイプ」の2種類があります。

畳タイプの浴室には、浴槽のまわりや壁など、随所に手すりが設置されています。一方、ジャグジータイプには入浴用リフトが備えられており、自力での浴槽への出入りが難しい方も、リフトを利用して入浴することができます。

どちらの貸切風呂にも、シャワーチェアや滑り止めマットなどの福祉用具が用意されており、身体の状態や介助方法に合わせて利用することができます。さらに、入浴時に介助が必要な方は、近隣の訪問介護事業所と連携した「入浴介助サービス」を利用することもできます。利用を希望する場合は、宿泊予約時に施設へご相談ください。

※貸切風呂および入浴介助サービスは別途料金がかかります。料金や利用条件などの詳細は、予約時に施設へご確認ください。

大浴場の案内灯
大浴場。奥には露天風呂もあります。(施設様より写真提供)
ジャグジータイプの貸切風呂。手前(写真左)にトイレがあります。
入浴用リフトを実際に使用したデモンストレーションの様子
手すりがあるため安心して出入り可能。水中ライトは色が変化し、幻想的な雰囲気を楽しめます。
畳タイプの貸切風呂
畳タイプの洗い場
畳タイプの脱衣所。ユニバーサルトイレも設置されていました。

食事

食事は、1階のレストランや畳の広間(小上がり)でいただくことができます。レストランは椅子席が中心で、車いすのまま利用することも可能です。

料理を手がけるのは、レストランをまとめている平松シェフを中心としたスタッフのみなさん。ラム肉を使った料理をはじめ、地元で採れた野菜なども取り入れたメニューが提供されています。

また、嚥下機能に合わせた食事「嚥下食(えんげしょく)」にも対応。ソフト食やミキサー食、ペースト食など、希望する食事形態について事前に相談することができます。

食物アレルギーについても相談可能です。食事に個別の対応が必要な場合は、宿泊予約時に施設へご相談ください。

実際にいただいた嚥下食。近隣の七栗記念病院と連携し、開発されているそうです。
嚥下食メニューの解説(施設様より画像提供)
アイルランド産のラム肉を使った一品。旨みがしっかりと感じられ、ご飯との相性も抜群でした。
レストラン入り口
レストラン内観
畳の広間(小上がり席) 施設様より写真提供

館内の移動

館内は段差の少ないバリアフリーなつくりで、車いすでも移動しやすい環境が整っています。各階へはエレベーターで移動でき、リクライニング車いすでも利用できる奥行きがあります。

フロントでは、希望に応じてスタッフの方に館内を案内してもらうことができます。また、車いすの貸し出しも行っています。

しっかりと奥行きのあるエレベーター
フロント前
フロントでは、やさしいスタッフの方が丁寧に対応くださいます。
レンタル可能な車いす
案内所も併設され、榊原温泉周辺や三重県内の観光情報を入手することができました。

施設の方の声

かわむー
かわむー

ここまで、館内のさまざまな設備や工夫をご紹介してきました。ここからは、こうした施設づくりの背景や大切にしていることについて、支配人の小林誠さんとフロントクラークの山原美晴さんにお話を伺います。


支配人の小林誠さん(右)と山原美晴さん(左)


かわむー
かわむー

館内を案内いただき、いろいろなところにバリアフリーの工夫があることが印象的でした。

そもそも、現在のような施設にリニューアルされた背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?


小林さん
小林さん

もともと「湯の瀬」は、30年ほど前から津市の日帰り温泉施設として、地域のみなさんに親しまれてきた場所です。

施設の老朽化をきっかけに津市がリニューアルを検討し、日帰り温泉に新たな機能を加えるため、民間事業者から提案を募りました。そこで手を挙げたのが、私たち株式会社マザーズです。

マザーズは、名古屋を中心に介護・福祉事業を展開してきた会社です。高齢化が進むなか、介助や介護が必要になることで、「旅行に行きたくても行けない」という方もいらっしゃいます。そこで、そうした方にも温泉や旅行を楽しんでもらえる場所にしようと、宿泊棟を新設し、バリアフリーの環境を整えていきました。

あわせて、BBQ場やキャンプサイトも新設し、2022年8月に現在の「湯の瀬」としてリニューアルオープン。当初、宿泊は障害者手帳をお持ちの方や要支援・要介護認定を受けている方などが対象でしたが、2024年4月からは一般の方にもご利用いただけるようになりました。


かわむー
かわむー

もともと地域に親しまれてきた温泉を生かしながら、宿泊やBBQ、キャンプなど、新しい楽しみ方を加えていったのですね。私たちが取材に伺った日も、レストランや広間、大浴場には地元の方がたくさんいらっしゃって、この場所がいまも地域のみなさんに親しまれていることが伝わってきました。

リニューアルオープンしてからは、実際にどのような方が利用されていますか? お客さまとの関わりのなかで、印象に残っているエピソードなどもあれば、ぜひ教えてください。


山原さん
山原さん

県内外から、さまざまな方にお越しいただいています。介護が必要な方のご利用も多く、要支援の方から要介護5の方まで幅広くご宿泊いただいています。

なかには、要介護5になり「もう旅行は難しいかな」と思っていたところ、ご家族が湯の瀬を見つけて来てくださった方もいらっしゃいました。ほかにも、障害者手帳や療育手帳をお持ちの方、デイサービスや就労支援事業所の団体旅行、パーキンソン病の当事者会など、さまざまな方にご利用いただいています。


印象に残っているのは、湯の瀬で嚥下食を提供するきっかけとなったお客さまです。その方は普段、経管栄養を利用されていて、当時はまだ湯の瀬でも嚥下食をご用意していませんでした。

それでも、せっかく旅行に来てくださったので、「私たちにできることはないだろうか」と考え、試行錯誤しながらその方に合わせたお食事をご用意しました。この経験をきっかけに嚥下食への対応が始まり、近隣の七栗記念病院との連携にもつながっていきました。

宿泊後に、「久しぶりに温泉旅行ができた」「家族みんなで同じ食事を楽しめた」といったメッセージをいただくこともあります。そうした言葉をいただけるのは、やっぱりうれしいですね。



かわむー
かわむー

一人のお客さまとの出会いをきっかけに、新しい食事の対応が生まれ、さらに地域との連携にもつながっていったのですね。

お話を伺っていると、あらかじめ用意されたサービスだけではなく、その方に合わせて「どうしたらできるだろう」と考えていらっしゃることが印象的です。普段、お客さまをお迎えするうえで大切にしていることや、湯の瀬さんならではのこだわりがあれば、ぜひお聞かせいただけますか?


小林さん
小林さん

私たちが一番大切にしているのは、シンプルに「お客さまに喜んでもらいたい」という気持ちです。

ご宿泊前には、すべてのお客さまに一度ご連絡し、身体の状態やご希望、不安なことなどを伺っています。基本は電話ですが、聴覚に障害のある方とはメールでやり取りするなど、その方に合わせて対応しています。

スタッフにもいつも伝えているのが、最初から「できません」と決めるのではなく、「どうすればできるだろう」と考えてみようということです。もちろん安全面などから難しいこともありますが、その方が何をしたいのかを伺いながら、できる方法を一緒に考えるようにしています。

これまでにも、車いすのお客さまがBBQ場へ行けるよう、その場で土を盛って通りやすい道をつくったことがありました。先ほどお話しした嚥下食も、お客さまとの出会いから始まったものです。

こうした対応ができるよう、スタッフ自身が学ぶことも大切にしています。正社員は介護職員初任者研修を受講し、介護や嚥下食、ユニバーサルツーリズムなどについて継続的に学んでいます。また、スタッフ全体で定期的にミーティングを行い、お客さまとのエピソードや反省点などを共有し、次の対応に生かしています。



かわむー
かわむー

「できない」と決めるのではなく、「どうすればできるだろう」と考えるみなさんの姿勢が、湯の瀬さんのさまざまな工夫やサービスにつながっているのですね。お話を伺い、設備だけではない、人のあたたかさも湯の瀬さんの大きな魅力なのだと感じました。

最後に、「旅行に行きたいけれど、少し不安がある」という方も含め、これから湯の瀬を訪れるみなさんへ、メッセージをお願いできますか。


山原さん
山原さん

身体のことや介助のことなど、さまざまな理由から「もう旅行に行くのは難しいかな」と思っている方にも、ぜひ一度、湯の瀬に来ていただきたいです。

「こんな状態でも泊まれるかな」「お風呂や食事はどうしよう」など、不安なことがあれば、まずは気軽にご相談ください。お話を伺いながら、私たちに何ができるのか、一緒に考えていきたいと思っています。

年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが温泉に浸かり、大切な人と旅を楽しむことができる。湯の瀬が、そんな場所のひとつになれたらうれしいです。

どうか、「旅行に行きたい」という気持ちを諦めないでください。みなさまが安心して温泉旅行を楽しめるよう、スタッフ一同、心を込めてお手伝いいたします。


山原美晴さん
支配人の小林誠さん


かわむー
かわむー

小林さん、山原さん、素敵なメッセージをありがとうございました!

できないで終わらせず、「どうすればできるだろう」と一緒に考えてくださる方がいる。そのことが、誰かの「旅に出てみたい」という気持ちを後押ししてくれるのだと、あらためて感じました。


宿泊料金・利用料金

※ 2026年8月現在

宿泊(素泊まり)
• 福祉利用:1室 8,000円〜
• 一般利用:1室 10,000円〜
※福祉利用の場合は、障害者手帳や介護保険証などの提示が必要です
※料金は客室タイプや曜日などによって異なります

◆ 朝食
• 1,000円〜 

◆ 入浴介助サービス
• スタッフ1名・1時間まで:5,000円(税込) 
※利用を希望する場合は、事前に施設へご相談ください

日帰り温泉
• 一般:平日 550円/土日祝 650円 
• 65歳以上:平日 350円/土日祝 450円 
• 子ども:200円 

※料金や利用条件は変更となる場合があります。最新情報は施設へお問い合わせください

周辺の観光情報

小林さんと山原さんには、湯の瀬とあわせて楽しみたい周辺のおすすめスポットも伺いました。

山原さん
山原さん

湯の瀬の近くには、榊原温泉ゆかりの「射山神社」や、世界の名作彫刻を楽しめる「ルーブル彫刻美術館」などがあります。

少し足を延ばして、伊勢方面まで行くのもおすすめです。「伊勢神宮」を参拝したり、「おかげ横丁」を散策したりと、湯の瀬を拠点に伊勢観光へ出かけるのもいいですね。

そして、三重に来たらぜひ食も楽しんでいただきたいです。伊勢うどんやてこね寿司、松阪牛、伊勢海老、津ぎょうざ、赤福など、おいしいものがたくさんあります。


<小林さん・山原さん おすすめコース>
~1泊2日癒しの温泉旅~

1日目
午前|伊勢神宮を参拝

昼|伊勢周辺で三重のご当地グルメを楽しむ

午後|榊原温泉 湯の瀬へチェックイン

夕方〜夜|榊原温泉のお湯と夕食を楽しむ

◆ 2日目
朝食・温泉

榊原温泉周辺を散策

チェックアウト・出発


伊勢神宮
伊勢神宮
松阪牛(イメージ)


かわむー
かわむー

おすすめコースのご紹介、ありがとうございました! 湯の瀬を拠点に、伊勢方面まで足を延ばすのも楽しそうですね。

伊勢志摩方面へのおでかけを考えている方は、「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」もぜひチェックしてみてください。

伊勢神宮の参拝をサポートする「おもてなしヘルパー」や、車いすなどのレンタル、イベント情報など、旅に役立つ情報が紹介されています。記事下部にリンクを掲載していますので、旅の計画にぜひお役立てください。


施設概要・予約方法

◆ 運営
株式会社マザーズ(津市指定管理者)

◆ 予約・お問い合わせ
宿泊予約はこちら
・電話番号:059-252-1313
・メール:info-yunose@mothers-planet.com

所在地
〒514-1251
三重県津市榊原町6103番地

施設情報
・客室数:全16室
・宿泊定員:44名
・チェックイン:15:00〜
・チェックアウト:10:00

駐車場
無料駐車場あり(約100台/うち身障者用約20台)

◆ 公式サイト・SNS

榊原温泉 湯の瀬 公式サイト
Instagram@yunose_sakakibara

◆ おでかけに役立つ情報
伊勢志摩バリアフリーツアーセンター 公式サイト



以上、今回は三重県津市にある「榊原温泉 湯の瀬 ラムちゃんパーク」さんをご紹介しました。

湯の瀬さんの魅力やみなさんの想いが、ひとりでも多くの方に届き、「旅に出てみよう」と思えるきっかけになればうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。


この取材は、ご本人様・施設様から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

リハノワは、株式会社Magic Shields様をはじめとするパートナー企業のみなさま、個人サポーターのみなさま、読者のみなさまのあたたかな応援に支えられて活動しています。これからも、リハビリの輪が広がっていくよう、みなさまからのご支援とご声援をいただけましたら幸いです。


取材・文= 四方幸代、河村由実子


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