パーキンソン病と向き合い、支え続ける。西大和リハビリテーション病院の挑戦|奈良県北葛城郡上牧町

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

今回は、奈良県北葛城郡上牧町にある西大和リハビリテーション病院を訪問し、パーキンソン病のリハビリテーションについてお話を伺いました。

この記事では、西大和リハビリテーション病院で行われているパーキンソン病のリハビリテーションの実際や、その背景にあるスタッフの想いをご紹介します。

西大和リハビリテーション病院

奈良県北葛城郡上牧町にある西大和リハビリテーション病院は、回復期から療養までを担う、199床を有する医療機関です。

リハビリテーション科には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・リハビリテーション科医など、多職種が在籍しています。入院での集中的なリハビリテーションに加え、通所や訪問といった在宅支援まで、一人ひとりの生活に寄り添う切れ目のない体制が整えられています。

また、院内にはさまざまな物理療法機器やリハビリ機器が整備されており、臨床と研究の両面からリハビリテーションの質向上に取り組まれています。現場では、それらの機器を活用しながら、患者さん一人ひとりに合わせたアプローチが丁寧に行われていました。

リハビリテーション室。西と東の2つのスペースに分かれ、各病棟ごとに使い分けられています。
歩行中の筋活動が観察できる電気刺激装置(L300Go®)
随意運動を引き出す電気刺激装置(IVIS Pro)。脳卒中の方の麻痺側上肢の促通などに使われています。
自動車運転のリハビリに使用される、ドライビングシミュレーター(@ATTENTION )。運転操作中の頭部の動きと視線の計測が可能。自動車教習所と連携しながら、運転再開の支援をされているそうです。

パーキンソン病の特化プログラム

かわむー
かわむー

西大和リハビリテーション病院では、パーキンソン病をはじめとする神経難病のリハビリテーションに力を入れられています。

ここからは、パーキンソン病の患者さんに対して行われているリハビリテーションについて、一つひとつご紹介していきます。


短期集中入院リハビリ

進行期のパーキンソン病(Hoehn & Yahr重症度分類 でⅢ〜Ⅴ度)の方を対象に、短期集中入院リハビリテーションが行われています。

入院期間はおよそ2〜4週間。週5〜7日(目安)、1日1〜2時間程度のリハビリテーションが、体調に合わせて無理のない範囲で進められていきます。

プログラムでは、ストレッチや筋力トレーニングに加え、パーキンソン病特有の「すくみ足」など動きにくさを評価し、それぞれの状態に応じた対処法を練習していきます。また、日常生活の中での動きを良くすることで転倒を防ぐ練習や、自宅でできる自主練習の紹介、さらには歩行補助具や自助具の選定、住環境の評価と改修相談といった生活面への支援も行われます。

※ 症状や生活状況に応じて、入院リハビリテーションと外来リハビリテーションのいずれが適しているかは個別に相談のうえ決定されます。

※ Hoehn & Yahr重症度分類とは
パーキンソン病の運動症状の進行度を示す指標です。
Ⅰ度:ふるえや筋肉のこわばりなどの症状が身体の片側に出る
Ⅱ度:ふるえや筋肉のこわばりなどの症状が身体の両側に出るが、バランスは保たれている(姿勢反射障害なし)
Ⅲ度:バランスが保てない(姿勢反射障害がある)
IV度:起立や歩行はなんとかできるが、日常生活に介助が必要
Ⅴ度:ベッドまたは車いす生活


パーキンソン病外来

Hoehn & Yahr分類でⅠ〜Ⅲ度の方を対象に、外来リハビリテーションが行われています。ご自宅で生活されており、見守りや軽いサポートのもとで歩行が可能な方が参加されています。

プログラムは3〜4ヵ月間・全13回で構成され、週1回のペースで実施されています。少人数制のなかで、身体機能評価に基づいた個別リハビリテーションと、集団での体操が組み合わされています。

また、パーキンソン病を専門とした約10名のセラピストがチームを組み、ローテーションしながら関わる体制がとられています。さまざまな視点で関わることで、参加者一人ひとりに対して、より丁寧な支援が行われています。

この外来の特徴の一つが、参加者同士の交流の場としての役割です。待ち時間や体操の時間には自然と会話が生まれ、お互いの変化を共有し合うことで、運動を続けるモチベーションにもつながっているようでした。

さらに、教室での取り組みにとどまらず、自宅で継続できる運動の指導や振り返りも行われています。定期的な評価を通して、自分自身の身体の変化に気づく機会が設けられていることも印象的でした。

集団体操の様子
参加者一人ひとりにセラピストが伴走
一人ひとりの身体状況や目標に合わせた個別リハビリテーション
免荷装置とトレッドミルを用いた歩行練習
自宅でできるトレーニングがまとめられた冊子

◆ パーキンソン外来概要

実施日:毎週木曜日 10:00〜11:30(※2025年12月より土曜日から変更)
期間:3〜4ヵ月間(計13回)
参加定員:1期間の教室の定員は最大6名
体制:1人につきセラピスト1〜2名体制
内容:身体機能評価(MDS-UPDRSパート2・3、PDQ-39、膝伸展筋力[HHD]、Mini-BESTest、本人・家族へのアンケート など)、ストレッチ、筋力トレーニング、歩行練習、バランス練習 など

◆ 参加までの流れ

1. 問い合わせ(お電話またはホームページのお問い合わせフォームより可能)
2. パーキンソン病外来の見学
3. お申し込み手続き

※ 介護保険サービス(デイサービスや訪問サービスなど)をご利用中の方は、外来通院中は医療保険での対応となるため、事前にお手続きが必要です。
※ お問い合わせ後、早い場合は1ヵ月以内に案内可能ですが、タイミング次第では3ヵ月以上お待ちいただくこともあります。


かわむー
かわむー

実際にパーキンソン病外来を見学させていただきましたが、ここまで体系的で丁寧に設計されたプログラムは、なかなかないのではないかと感じました。

「その場で良くなる」ことだけでなく、その先の日常生活のなかで運動を続けていく力を育むことに重きを置かれている点も、素敵だなと感じました。


地域へと広がる取り組み

西大和リハビリテーションでは、短期集中入院リハビリやパーキンソン病外来に加え、地域での当事者会のサポートも行われているそうです。月に1回、約2時間にわたり、体操や交流の場が設けられています。

また、奈良県の難病相談支援センターと連携し、患者さんやピアサポーターの方に向けた情報提供や講話なども行われています。こうした院外での取り組みを通して、医療の枠にとどまらず、生活や地域と連携したリハビリテーションが実践されていました。

セラピストの声

かわむー
かわむー

パーキンソン病外来のリーダーを務める、理学療法士の甲斐さんにメッセージをいただきました。


◆甲斐 太陽(かい・たいよう)さん
1993年生まれ、宮崎県高千穂町出身。京都橘大学卒業後、2016年に医学研究所北野病院へ入職。急性期医療の現場で経験を積む中でパーキンソン病のリハビリテーションに出会う。2019年にLSVT®BIGを取得し、畿央大学大学院修士課程に進学、2022年に修了。2023年2月より西大和リハビリテーション病院に勤務し、パーキンソン病の方を対象とした入院・外来リハビリに加え、地域でリハビリを継続できる仕組みづくりに挑戦している。


甲斐さん
甲斐さん

当院では、神経難病であるパーキンソン病の方のリハビリテーションにも力を入れ、さまざまなかたちで支援を行っています。

2012年にスタートしたパーキンソン病外来は、「退院後もリハビリを続けたい」という患者さんの声をきっかけに始まりました。現在は、院内でのリハビリテーションにとどまらず、地域での活動も含めながら支援のかたちを広げています。

これからは、行政との連携もさらに深めながら、リハビリテーションにアクセスできていない方にも、その機会が届くような仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。



甲斐さん
甲斐さん

パーキンソン病は、長く付き合っていく疾患です。だからこそ、身体機能の維持・改善や転倒予防といった専門的なリハビリテーションの提供に加え、安心して運動に取り組める場づくりや、ご自身の身体の状態を知る機会を大切にしています。

また、インターネットなどで多くの情報に触れられる時代だからこそ、その方法が自分に合っているのか、どのように変化しているのかを振り返ることの大切さも感じています。

迷いや不安を感じたときには、一人で抱え込まず、ぜひ頼っていただければと思います。少しでも気になることがあれば、どうぞ遠慮なくおっしゃってください。


かわむー
かわむー

甲斐さん、素敵なメッセージをありがとうございます。

患者さん一人ひとりに真摯に向き合い続ける、西大和リハビリテーション病院のスタッフのみなさんの姿から、リハビリテーションのもつ力と、その可能性をあらためて感じました。

西大和リハビリテーション病院は、県外からの入院や外来にも対応されているそうです。こうした場があることが、誰かにとっての新たな一歩につながるかもしれません。必要とされている方に、この情報が届いていくことを願っています。

今回の取材にあたり、インタビューにご協力くださった甲斐さん、患者さま、そして温かく迎えてくださったスタッフのみなさまに、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


施設概要・アクセス

■ 医療法人友紘会 西大和リハビリテーション病院
院長 山崎 裕行さん

■ 開院
2004年 4月

 診療科
内科、神経内科、リハビリテーション科

■ 病床
199床(回復期リハビリテーション病棟:149床 / 医療療養型病床:50床)

■ 所在地
〒639-0218 奈良県北葛城郡上牧町ささゆり台3丁目2-2
TEL:0745-71-6688 
FAX:0745-71-1111

■ お問い合わせ
こちらのフォームよりお問合せください

■ アクセス
公共交通機関
・JR大和路線「王寺」駅よりバスで約15分。「上牧町文化センター」または「アピタ西大和」にて下車。
・近鉄大阪線「五位堂」駅よりバスで約10分。「上牧町文化センター」または「アピタ西大和」にて下車。

自動車
西名阪自動車道「香芝IC」より10分(駐車場完備)

■ 関連情報
西大和リハビリテーション病院 HP


かわむー
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<関連記事 / 関連情報>

・【リハノワ】パーキンソン病外来でリハビリに励まれる、当事者Y.Kさんの声


・【リハノワ】パーキンソン病のリハビリに情熱を注ぐ理学療法士、甲斐太陽さん紹介記事

ぜひ合わせてご覧ください。



以上、今回は奈良県北葛城郡上牧町にある西大和リハビリテーション病院さんをご紹介しました。

ひとりでも多くの方に、この素敵な取り組みと魅力がお届けできれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。


この取材は、施設様から同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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※取材先や取材内容はリハノワ独自の基準で選定しています。リンク先の企業様と記事に直接の関わりはありません。

撮影=須崎綾音
取材・文=河村由実子(かわむー)

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