みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!
本日は、東京都町田市にあるリハラボ訪問看護リハビリステーション町田で働く作業療法士の永島匡さんをご紹介します。
永島さんはもともと歌手として活動された後、作業療法士免許を取得。数年前から移動支援に力を入れられ、現在は多方面でご活躍されています。永島さんの音楽活動を活かした作業療法士としての歩みや移動支援にかける熱い想い、また、今後チャレンジしたいこと等、その魅力にとことん迫っていきたいと思います。
(2021年7月より河村はリハラボ訪問看護リハビリステーション町田と提携しています)
作業療法士・永島匡さん
◆ 永島匡(ながしま・たすく)さん
神奈川県出身
1985年1月8日生まれ
<経歴>
2003年
大学の心理学科に入学
2005年
歌手活動開始 CDデビュー
2010年
歌手活動を休止し作業療法士養成校へ入学
2013年
作業療法士免許取得
神奈川のリハビリテーション病院 勤務
2017年
訪問看護ステーション 勤務
2019年
リハラボ訪問看護リハビリステーション 勤務
移動支援ポータルサイト『iconavi』運営開始
無料地域巡回バス『くらちゃん号』広報(町田市)
<所属学会>
・日本作業療法士協会
・運転と作業療法研究会 世話人
・東京都作業療法士会 自動車運転と移動支援対策委員会 委員
・日本臨床作業療法学会
音楽界から作業療法士の道へ
永島さんは、作業療法士になる前は歌手として音楽活動をされていたそうですね。
歌手活動をしていた当時のことや、作業療法士の道へ転身されたきっかけを教えてください。
私は、高校卒業後は大学の心理学科に進学しました。学生時代は音楽活動に力を入れ、20歳の頃から路上やライブハウスを中心に本格的に歌手活動を開始。その後、大学を中退しインディーズでデビューします。
歌手としてデビューしてからはCDを2枚出しました。しかし、音楽だけでは食べていけない難しさや曲を作る大変さを改めて知り、24歳で音楽活動を引退します。
もともと大学で心理学を学んでいたこともあり、人の心に繋がる仕事をしたいという思いがあった私は、PSW(精神保健福祉士)の母の勧めもあり、精神科の患者さんに関わることもできる作業療法士の道へ進むことを決意しました。
歌手デビューしCDを2枚もだされているとは、、、!ぜひ、永島さんの歌を聞いてみたいなと思いました。
永島さんが“人の心” に興味を持つようになったのはいつ頃からなのですか。
私はもともと一人っ子で、親も共働きだったため幼い頃はいわゆる鍵っ子でした。
人とのコミュニケーションに苦手意識があり、苦手だったからこそ人というものに興味を持つようになったのだと思います。
昔は音楽を通して多くの人を相手に活動をしてきましたが、今は、目の前の人を心理面からサポートをしたり、喜んだり生き生きとする姿を支援したりするのに生きがいを感じています。
僕だけのオーダーメイドの支援
作業療法士の養成校へ進学後、歌手活動をしていたことが活きた場面などはありましたか?
学生時代は結構真面目に勉強しました。音楽活動の経験が活きる場面は、精神科の実習中にあります。
担当患者さんの自立を支援をするために色々と探っている中で、昔、その方がギターをしていたことが分かったんです。楽器を演奏するというのが良いきっかけになるのではないかと思い、私は楽器を持ってその方と作業療法を進めていきました。
その結果、それが一つのきっかけとなり、みるみるうちに良い方向へと進み出したんです。学生ながらに、一生懸命の支援ができたのではないかと嬉しく感じました。
一方で、そのアプローチは私にしかできないことだったのではないかという葛藤も生まれます。私がギターが弾けたことで出た、たまたまの結果なのではないかと。しかし、作業療法には本当にたくさんの手段があります。同じように、私が向き合う患者さんも百人百様です。
その人の生活や暮らしに寄り添ったオーダーメイドな介入ができることで、その人らしさを支援できるのだと、次第に思えるようになりました。歌手をやっていた時は自分が表に出ることばかり考えていましたが、作業療法に出会い、人を支援することの喜びや楽しさがかけがえのないものだと気がつきました。
決して独りよがりにならないように、向き合っている方のその人らしさというのを一番に想い、自分ができることを最大限活かし支援されている姿が素敵だなと思いました。
人対人の関わりが肌で感じられるオーダーメイドの支援、魅力的ですね。
就職してからも、元歌手という自分の特技を引き出しの一つとして活動してきました。
以前、もともとジャズギタリストだった片麻痺の方を担当しました。歩く練習や生活の練習もしながら、できる範囲で音楽もやってみましょうと提案し、数名でグループを結成しクリスマスコンサートを開催します。
その経験から、その方はどんどんとやる気が上がっていき、次なる目標を「JAZZバーに行くこと」」と掲げました。JAZZバーに行くための練習を一緒に行い、今では、その方は一人でバーに通っているそうです。その話を楽しそうにしてくださった時は、とても嬉しかったです。
その他、もともと音楽をやっていた利用者さん何名かとバンドを結成して、演奏会を開催しました。活動を通して、一緒に組んでる方々が生き生きとしていく姿を見ると、改めて音楽の可能性を感じます。
自分が音楽をやっていた時とは違う楽しさを、今はものすごく感じています。作業療法の強みは、あらゆる作業を一つの手段としてセラピーに活かせることだなと思いました。
移動に関する選択肢を届けたい
現在は、移動支援の活動にも力を入れられているとのことですが、一体どんな活動をされているのですか?
移動支援とは、目的を達成するための移動手段を確保することの支援です。買い物などの同行やリハビリ旅行なども移動支援に含まれますが、私が力を入れているのはモビリティの支援です。
現在、移動支援に関する活動として2つ力を入れています。
1つは、移動支援ポータルサイト『iconavi』です。2年前に作業療法士3人で立ち上げました。iconaviでは、障害があっても足腰が弱っていても「行きたいところへ行く」を応援するため、移動がもたらす快適さや楽しさをお伝えできるよう、移動資源に関する情報や介護旅行、インタビュー記事を配信しています。
立ち上げのきっかけは、私自身が移動資源の選択肢を知らないと課題に感じた事にあります。自身の選択肢も増やしつつ、それがそのまま移動に困っている方に届いたらいいなと思いサイトを運営しています。
運転できなくなった時の代替手段がわからない時に、ぜひ見てもらえたらなと思います。
もう1つは、町田市鞍掛台地区に走る無料巡回バス『くらちゃん号』の広報です。くらちゃん号は、住民が主体となり進められているプロジェクトで、坂道が多い鞍掛台地区で買い物が不便な方への支援を目的に生まれました。
住民主体のとても素敵な活動なので、全国のいろんな方に知ってもらいたいなという思いから、広報のお手伝いをしています。
永島さんが、そもそも移動支援に興味を持たれたきっかけは何なのですか?
もともと働いていた回復期病院で、運転に困っている方を担当したことがきっかけです。病院には詳しい人が誰もいなかったので、移動支援・運転再開について勉強を始めました。
その時、ちょうど病院にドライビングシュミレーターが導入されることになりました。院内の運転支援チームが立ち上がり、当時3年目でしたがリーダーとしてチームをまとめる事になります。マニュアルやプロトコルを作成し、運転で困っている人を支援する体制を整えました。
しかし、その環境を整えていく中で、車が運転できなくなった時の他の手段を知らない事に課題に感じるようになります。その人の暮らしの中にある外出手段に目を向けないといけないなと感じ、iconaviやくらちゃん号の活動を始めました。
『行きたいところに行く』ということは、人が豊かな暮らしを送る上では絶対に欠かせない事だと思います。外出や移動手段に悩んでいる全ての人に向けて、支援ができたらいいなと思っています。手段の選択肢が広がることで、移動・外出に困っている人を救いたいです。
今後に思い描くこと
様々なことに積極的にチャレンジされている永島さんですが、何かを始めるときに大切にしていることがあれば教えてください。
話をもらった時ややりたいことが頭に浮かんだ時、まずは自分がやりたいかどうかというのを一番大切にしています。自分のやりたいことじゃないと継続できないからです。
その上で、そこに関わる人のためになることかというのも考え、総合的に判断しています。
自身の好奇心や組織のためになることなのか、という視点は大事ですよね。
最後に、今後挑戦してみたい事があれば教えてください。
私は、モビリティを通して自助・互助を支援していきたいと思っています。
今後は、MaaS(Mobility as a Service)やICTを使って生活が繋がっていく仕組みを作りたいですね。アプリを使って、家から行先の全てがサポートされる環境です。
私は、移動に関する仕組みづくりやまちづくりなど、インフラを整備することに関して興味があります。電車やバスなどの一次・二次交通から、さらにもう一段階踏み込んだ三次交通の支援(いわゆるちょっとした移動)を、整備していきたいです。
移動支援に対する非常に熱い思いが伝わってきました。
移動ができないということから引きこもりや孤立が生じ、社会的・身体的・精神的な虚弱が進んでいくことは明らかなので、ぜひそのインフラが整っていくことを私自身、心から応援したいと思います。
これからも、iconaviやくらちゃん号をはじめとした移動支援の活動など、永島さんのさらなるご活躍を楽しみにしています!
永島さん、本日はありがとうございました。
以上、東京都町田市にあるリハラボ訪問看護ステーション町田で働く作業療法士の永島匡さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、永島さんの魅力と素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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