みなさんこんにちは、リハノワ.comのかわむーです!
本日は、広島県広島市にある「高陽整形外科クリニック」で働く理学療法士の矢野里奈さんを取材してきたので、皆さんにご紹介したいと思います!
普段、理学療法士として働く中で感じることや大切にされている熱い思いなど、その魅力にとことん迫っていきたいと思います!
理学療法士・矢野里奈さん
◆ 矢野 里奈(やの・りな)さん
1989年7月25日 広島県広島市出身
<経歴>
2012年3月
名古屋学院大学 卒業
2012年4月
理学療法士免許取得
高陽整形外科クリニック 勤務
矢野さんは、就職当初から外来のクリニックでご勤務されているのですね。
普段はどのような患者さんのリハビリに携わられているのですか?
一人でも多くの患者さんを診たいのと、自分が怪我をしてお世話になったこともあり、スポーツ分野の外来クリニックに就職しました。
就職してはじめの4年間は、主に整形外科疾患を中心とした外来での運動器リハビリを担当していました。運動器リハビリでは高齢の患者様を多く受け持つ機会がありました。
その後、2015年からは介護保険を使用しリハビリを受けられる通所リハビリを担当するようになりました。通所リハビリは、ケアマネージャーさんを通じて受け付けをしています。自宅環境や日々の生活についても伺いながら、必要な運動や福祉用具を提案させてもらっています。
リハビリに救われて
矢野さんが理学療法士になろうと思った “きっかけ” は、なんだったのですか?
リハビリに興味を持つようになったのは、一緒に住んでいた祖母がきっかけでした。
私が中学校に上がるころ、祖母は在宅酸素を24時間使わないといけなくなりました。もともと肺の持病があり、息が苦しくなり呼吸が上手くできなくなりました。当時学生だったので、どうしてこんなに悪化したのか原因はよく分かりませんでした。
介護保険を利用し、訪問看護のサービスを導入し、家に看護師さんが来てくれるようになりました。看護師さんは血圧を測ってくれたり、点滴をしてくれたりと体調管理をしてくれました。
ある日、祖母は看護師さんに「リハビリをしたら良いよ」と勧められます。しかし、本人も私を含めた家族は誰も、リハビリでどんなことをするのか分からず、祖母は結局「よく分からんし、やりたくない」とリハビリを拒否をしました。
どんなことをするのか分からないという不安や、動くと息が苦しくなるのではないかという不安など、おばあさまもきっと色々と感じることがあったのでしょうね。
そうだと思います。
私は、リハビリについて色々と調べました。リハビリをすると楽に呼吸ができるなど身体にも良く、絶対にやった方が良いということが分かりましたました。
ずっと家に居て、どこにも行けない祖母にリハビリやデイサービスに行くことを勧めましたが、結局最後まで行くことはありませんでした。
その時、もしも自分が一緒に家で何かできていたら、未来が変わっていたのかなと思い、リハビリの道を意識するようになります。
様々なリハビリ職種の中で、“理学療法士” を選ばれたのは何故ですか?
高校時代に出会った女性の理学療法士さんがきっかけです。
私は高校時代ソフトボールをしていたのですが、膝の怪我のため高校2年生の夏休みに手術をしました。その時のリハビリの先生が、とても素敵な方だったんです。
夏休みをまるまる病院で過ごすことになり辛い思いもたくさんしたんですが、私を担当してくれた女性の理学療法士さんが、私のくだらない話から体の使い方の話まで色々としてくれたんです。
私にとってはリハビリの時間が救いであり、癒しでした。唯一、前向きになれる時間というか…話を聞いてもらえるだけでも気持ちが楽になりました。
そうだったのですね。
矢野さんの通われていた高校は、県内でも有数のソフトボールの強豪校のようですね。長期間競技から離れるということは、かなり不安だったのではないですか?
まさにその通りで。本当は、手術もやめた方が良いんじゃないかなと思っていました。戻れる場所がなくなるんじゃないかって。
ですが、勇気を出して手術をして、そしてリハビリを受けたことで新しい目標ができました。
“理学療法士になりたい” と。
自分はずっと座りっぱなしのデスクワークとか向かないし、男性ばかりの中でたった1人の女性でもイキイキと元気よく働く姿を見てすごくかっこいいなと思いました。
また、患者さんに対する接し方を私のような学生からおじいちゃん、おばあちゃんと個々で変えていたのも、スペシャリストだと感じました。
担当の方からは、「勉強もしなければならないし体力も使う仕事で大変だけど、やりがいもその分あって楽しくできるよ」と言われ、将来は絶対に理学療法士になろう、と決意しました。
環境調整の大切さ
お仕事をされる中で、矢野さんが “大変だな” と感じた経験はありますか?
通所リハでは高齢の患者さんが多く、また、一人暮らしの方もいらっしゃるので、普段の暮らしや家の環境はとても気になります。
病院への通院方法や、家の前に大きな段差があるとか話を聞いているうちに、「家での生活は大丈夫なのかな?」「一人でどうやって暮らしているのかな?」「痛みがなくなったら元のように生活できるのかな?」など、色々と心配になることは増えました。
リハビリで体は良くなったとしても、生活環境が変わっていないとまたすぐ元に戻ってしまうのではないかとか、本当に心配事はたくさんあります。
そんな時は、どう対処されるのですか?
外来の運動器リハビリだと、関わる時間が少なくじっくりと生活について聴取することが難しいのですが、通所リハビリではケアマネさんから事前に利用者様の情報をもらえるので、それを元にじっくりと話していきます。
また、通所リハビリでは「訪問指導」というものがあります。利用者様のご自宅に行き、実際に生活環境を見れたり、同居する家族様に直接話を伺うことができるので、リハビリのプランを立てるのにとても役立っている大切な機会です。
実際にお家に行って調査できるのはすごく良いですね!
目の前の患者さんに一生懸命向き合われている姿がとても素敵です。
笑顔のある提案を
矢野さんが、“嬉しいな” とか “やりがい” を感じる瞬間はどんな時ですか?
患者さんに杖などの福祉用具を勧めた時に、「使ってみて、とても合っているよ」と言われた時とか、それがきっかけで「外に出る機会が増えた」とか「生活が便利になった」とかコメントをもらった時は嬉しいですね。
そのほか、一緒に住んでる家族から「(本人が)リハビりに行くのを楽しみにしていて、リハビリの日は朝早くから起きて準備をして、迎えが来る頃には玄関に座って待っているんですよ」と教えてもらったり、習った体操を家で披露してくれると聞いたりした時はとても嬉しいですね。
それは嬉しいエピソードですね。
これまで、どんな福祉用具をお勧めされてきたのでですか?
要支援2の利用者様より相談があり、特殊な杖をお勧めしました。
その方は畑に行くことが日課だったのですが、畑までにすごく大きな坂道があリました。その坂道を越えないと畑に行けないのですが、坂道でT字杖をつくと、杖先で上手く坂道の斜面を捉えることができずに滑ってしまいます。そのため、杖をつくことが逆に不安になってしまい、何も持たずに腰や膝の痛みを堪えながら時間をかけて畑まで行っていたそうなんです。
なので、「滑らない杖」ということで可動式4点杖をお勧めしました。杖先が広い4点の面になっており、360度回転したり傾いたりすることで斜面をしっかり捉えることができます。
試したところ大変気に入ってくださり、実際にそれを導入することになりました。畑に安全に行けるようになり、ひとまず安心しています。
忘れてはいけない視点
最後に、矢野さんが理学療法士として大事にしている “モットー” を教えてください。
心がけていることは “前向きな言葉を使うこと” と “諦めないこと” ですね。
高齢の利用者様や介護をしている家族の方は、「歩けなくなった…」や「以前より着替えるのに時間がかかる…」等、どうしても出来なくなった事ばかりに目を向けて否定的な言葉を使うことも多くあります。しかし、そうではなく、出来ている事に目を向け、そこをさらにパワーアップしていく事が必要だと私は思います。
「歩けないから歩かない」と諦めず、「どうやったら歩けるか」を考えたら良いと思うんです。
だから、決して諦めずにその方らしく、より良い生活が遅れるように一緒に考え、その方にあったプランや福祉用具など提案していきたいです。
できることが増えると、より一層リハビリにも力が入ると思っています。
心優しい矢野さんだからこそ出来ることがたくさんあるのだなとお話を伺いながら感じました。
とても温かくも力強い言葉をありがとうございます。矢野さんの今後のさらなるご活躍を、心より楽しみにしています!
矢野さん、本日はありがとうございました。
<矢野さん関連記事>
・高陽整形外科クリニック
・一緒にスタッフとして働かれている理学療法士「増田拓さん」
以上、本日は広島県広島市にある「高陽整形外科クリニック」で働く理学療法士の矢野 里奈さんを紹介させていただきました。
一人でも多くの方に、矢野さんの素敵な想いがお届けできれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワ.comをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
※この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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