みなさんこんにちは、リハノワ.comのかわむーです!
本日は、広島大学病院 特殊歯科総合治療部 山田さん協力のもと、下顎歯肉癌を患いながらも、術後、詩吟の再開を目標にリハビリに取り組まれた広島県在住の70代女性「サチコさん」を取材してきたので、みなさんにご紹介したいと思います!
サチコさんとリハビリ
「ガラガラガラッ」
今日も、外来診察の前に満遍の笑みをに見せにきてくれたのは、1年前に下顎歯肉癌を患いリハビリに励まれたサチコさん。
とにかく明るく、周りにいる人にもパワーを与えられような笑顔の素敵な女性です。
リハビリ卒業生となった今でも、診察の時にはリハビリのお部屋に顔を見せにきてくれます。
サチコさんが下顎歯肉癌を患ったのは一年前の秋のこと。
夏頃より歯の「チクチク」っとする違和感を覚え、秋に病気が判明。その後すぐに入院となり、化学療法や手術、放射線療法を行いながら入院リハビリを約2ヶ月間実施(リハビリは術後より開始)。その後、自宅へ退院し、外来でのリハビリに3ヶ月間励まれました。
目標は「詩吟を再開」すること!
サチコさんの当時のリハビリの目標は、とにかく元気になって趣味の「詩吟を再開する」ことだったそうです。
当時は、病気の宣告を受け、入院そして治療・手術があっという間に進んでいき、落ち込むことや不安も沢山あったそうです。しかし、35年ほど続けられている趣味の「詩吟」を再開するという目標は、かなりのモチベーションとなり、日々のリハビリにも意欲的に取り組めたそうです。
「私はね、詩吟をすることで、生きられたと思ってる。
趣味は持つものですね。なんでもいいから、趣味は持つことが大事よ。」
そう優しくお話されていました。
入院中も、屋上庭園で詩吟の練習をされていたサチコさん。
病気と闘う気力を、長年続けてこられた趣味の詩吟が与えてくれたのですね。
なんと退院して1年の間に、すでに2回も舞台に立たれたそうです!
私もぜひいつか、サチコさんの詩吟を聴いてみたいです(^ ^)
今日を “生きる”
当時、詩吟の再開を目標にされていたサチコさんですが、今は何か目標にしていることはありますか?
もうね、もともと5ヶ月の命って言われてたからね、今は “一日一日を生きていくこと” それが私の目標です。
朝目が覚めるたびに、「あぁ〜、今日も生きてる、元気だな。」と思うようになったの。
あと、病気をしてからは仏様へのお参りにも精が出るようになって、「今日もお守り下さい〜」と言って、毎朝欠かさずお参りしてるのよ。
もともと手術後の影響で肩をあげるリハビリにも取り組まれていたサチコさん。神棚にろうそくをつける動作は、とても良い肩の運動にもなっているようです!
また、
「一人娘さんのために、少しでも長く生きる! 」という強い気持ちもお話されていました。今まで病気をしたことのなかったサチコさんが、病気から様々なことを乗り越え、今こうして、一日一日の “生” に感謝し過ごされていることにとても心うたれました。
闘病生活の苦悩
長い入院生活の中で、たくさんの方に支えられながら過ごされたサチコさんですが、辛いこともあったのではないですか?
口の中にできた口内炎は辛かったですね。放射線を25回したんですけど、その副作用ですね。
かなり大きくて、口腔内、下から上まで真っ白になってしまっていました。熱いものも飲めないし、食べられないし、苦いし、、、それはもう、本当に辛かったですね。
そんなに大きな口内炎ができていたんですね、、。
ちなみに、「苦い」ということをおっしゃられていましたが、口内炎が辛かっただけではなく、味覚にも影響があったということですか?
そうですね、味覚と嗅覚がなくなるから辛かったです。
何を食べても薬を食べてるみたいに苦いんです。高いアイスを買って食べてみても味がしないし、匂いもしない、、だから食べたくない、食事がすすまない、そんな状態でした。
そのため、入院中に体重は10kg〜12kgは落ちましたね。
ちなみに、どんなものを食べられていたんですか?
お味噌汁と茶碗蒸し、アイスばっかり食べてました。
ちなみに冷たいとかの感覚はわかります。私の場合、食べることによるムセもなかったです。
ただ、味がしないのと、匂いが分からない。
最初、先生(医師)から「お鼻の管から栄養を入れましょう」と言われていたのですが、どうしてもそれが嫌で最後まで「口から食べます」って言って粘っていたんです。
だけど、いよいよ食べられなくなって、体重は落ちるし元気はなくなるから、ついに管を入れることになったんです。
実際入れてみたら、ごっくん・ごっくんって2回くらいしたら簡単に管が入って、全然しんどいことなかったったんです。「早くすればよかった〜」って本当後悔しました。だから、同じ病気で入院していたお部屋の人たちには、無理をせんで大丈夫よ、入れたらいいよ〜って、アドバイスしました。
サチコさんの「口から食べたい」という思いは、私もとてもわかります。
しかし、実際に言語聴覚士・山田さんの話によると、「粘膜炎は放射線治療による一過性のものなので、代償的な栄養摂取手段を選択することで、まずは栄養状態を落とさないようにすることが大切」とのことです。
リハビリをするにも体力が大事、体力をつけるには栄養は欠かせないものですから、しっかりと栄養を取れる手段を選択することが大切になるのですね。
入院中の支えになったのは
どうにでもなれ、という思いで入院したサチコさんでしたが、
入院中のお部屋の人たちがとっても前向きないい人たちで、毎日ものすごく元気でいられたそうです。
普通、大人数の部屋はカーテンを引いてしまうことが多いのですが、その部屋はカーテンも開けたままで皆でお話しするようなとても明るい部屋だったようです。
「1人で塞ぎこまず、顔をあげ、みなさんとお話をさせてもらうことでとても元気が出ました。みなさんにはとても感謝しています。」
と、当時の同室者の方へとても感謝されていました。
入院中でも、こうしてコミュニティができてお互いに励まし、支え合っていけるのは良いことですね。
同じような病気の方だったようで、悩みの相談をしたり、リハビリの時間に教えてもらったことを皆んなで共有して練習してみたり、とても有意義な時間を過ごされたようです。
サチコさん直伝!リハビリ講座
サチコさんが入院中または外来、自宅などの自主練習で、一体どのようなリハビリに取り組まれているのか、実際に教えてもらいました。 ここではその一部を紹介したいと思います!
① 口の体操
鏡を見ながら、各項目を10回ずつ行います。
言語聴覚士・山田さんお手製の練習メニューだそうです!
② マッサージ
こわばりやすい頬の筋肉を、優しくマッサージ。
③ とにかく歩く
体力が落ちないように&体力をつけつため、手術の翌日から理学療法士の先生が来られ、管がたくさん体に付いているうちから歩くリハビリを行なったそうです。
その後1人で歩けるようになってからも、とにかく体力をつけるために歩くことを頑張られたそうです! (20分〜30分程度のウォーキングを行うと良いでしょう)
④ 発生練習 <サチコさん流:詩吟>
鏡を見ながら丁寧に、どうやったら言葉がはっきり出るか、ひたすら練習!
入院中から、屋上庭園にいっては詩吟の練習をよくされていたそうです。
(詩吟をされていない方は、本読みや歌を歌うのも良さそうですね)
実践される場合は、
担当の先生やセラピストとも相談してから行ってください!
当時の自分へメッセージ
“とにかく元気になって、もう一回生きて家に帰りたい” と思っていた当時の私へ。
辛いことはたくさんあるけど、どんなことにも頑張って、耐えて。必ずよくなるからね。
大丈夫。焦らんのよ。
入院中も、周囲の人を励まし元気を与えてあげる存在だったサチコさん。
最後は、ご自身にも優しく、安心するような言葉をかけられていました。
同じような病気でリハビリをされている方へ
とにかくどんどん医学は発達しているから、ダメじゃダメじゃと諦めんと、とにかく信じてやってみてください。元気になれるから、諦めないで。
あとは、趣味があったら、趣味を生かして。目標や生きがいがあると、辛いことも頑張れますよ。
体力がなかったらダメだから、とにかく体力はつけておいて。
最後に、1人で塞ぎこず、いろんな人とコミュニケーションをとってみてください。お部屋の人もそう、病棟で会う人もそう。話すことで楽になることってありますからね。
優しい目の奥に、とても力強いメッセージが込められていました。
余命5ヶ月と宣告され、病気や治療、手術、リハビリ、副作用など、多くのものを乗り越えてきたサチコさんの言葉だからこそ、とても心に響きました。
サチコさんの前向きな姿に感動したかわむーでした。
サチコさん、本日は本当にありがとうございました!
以上、本日は、広島県在住の下顎歯肉癌の術後リハビリに取り組まれていた「サチコさん」を紹介させていただきました。
一人でも多くの方のリハビリの励みや元気に繋がると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後ともリハノワ.comをよろしくお願いいたします!
かわむーでした。
※この取材は、本人またはご家族の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
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