デジタルアート×リハビリで挑戦する新たな世界|株式会社デジリハ

みなさんこんにちは、リハノワのかわむーです!

本日は、東京都世田谷区に拠点のある「株式会社デジリハ」さんを紹介します。

デジリハとは、Digital Interactive Rehabilitation Systemのことで、ユーザーの好きなモノ・コトを反映したデジタルアートとセンサーによって起きるインタラクションを活用した新しいリハビリツールです。

もともとは、医療福祉×エンターテイメントで社会課題を解決するクリエイティブカンパニーであるNPO法人Ubdobe(ウブドベ)から派生した一事業で、2021年7月に法人化、現在は更なる飛躍を目指し活動をされています。

実際にデジリハを体験させていただいたり、代表の岡勇樹さんや発起人の加藤さくらさんのお話をお聞かせいただいたりしたので、写真も交えながらその魅力についてお伝えしていきます。


(使い方や料金に関する内容は記事終盤にまとめてあります)

代表・岡さんの起業ストーリー

代表取締役である岡勇樹さんに、デジリハの理念や生まれたきっかけについて伺っていきたいと思います!

■ 岡 勇樹氏 プロフィール
株式会社デジリハ代表取締役 / NPO法人Ubdobe代表理事

1981年東京生まれ。3歳から8年間アメリカ合衆国・サンフランシスコで生活し、帰国後DJ・ドラム・ディジュリドゥなどの音楽活動を始める。21歳で母を癌で亡くし、後に祖父が認知症を患ったことをきっかけに音楽療法を学びながら高齢者介護や障がい児支援の仕事に従事。29歳でNPO法人Ubdobeを設立し代表理事に就任。医療福祉系クラブイベントの企画、デジタルアート型リハビリテーションの開発、各種行政からのイベント制作やコンテンツデザインなどの受託事業を展開。40歳でデジタルアート型リハビリツールの開発に特化した「デジリハ」を株式会社化する。


かわむー
かわむー

岡さんが、デジリハを作ろうと思われたきっかけを教えてください。


岡さん
岡さん

僕は10年前から「福祉×エンターテイメント」に力を入れているNPO法人Ubdobeを運営しています。そこで活動する中で、デジタルアートを使った子ども向けの空間(キッズゾーン)を制作するという仕事がありました。

福岡で開催されたフェスでしたが、なんと2500組くらいの親子が来場。デジタルアートの空間で、子ども達は壁をタッチしたり足踏みをしたりという単調な動きをずっと繰り返して遊んでいました。僕はその光景にとても驚きます。長い子だと、1時間くらいずっと遊んでいたのです。

子ども達が夢中になる姿を見て、僕は「これを医療や福祉に活かせないか」と思いました。体の動きを促すリハビリと、ゲーミフィケーションによるモチベーション作り「リハビリ×デジタルアート」で、新たなシステム作りをしていきたいと考えます。


かわむー
かわむー

フェスでの子どもたちの姿から着想を得たのですね。その後、どのようにしてアイデアを形にされていったのでしょうか? また、デジリハを通して描いている世界を教えてください。


岡さん
岡さん

Ubdobeのスタッフで、筋ジストロフィーの娘さんを持つお母さん・加藤さくらさんに話をしたところ、「是非、やろう!」ということになり、本格的にプロジェクトが発進。

その後、日本財団の2017年度ソーシャルイノベーターに選出され、保育士・小児科医・作業療法士・理学療法士・看護師・デザイナー・プログラマー・大学教員・当事者の母親など、多領域のスペシャリストを集めチームを結成。Ubdobeの一事業として行っていましたが、デジリハの拡大に向けさらに力を入れるために2021年株式会社を設立しました。

僕たちは、デジリハを通して「生まれてから死ぬまで、自分の生き方を選択し続けられる世界の実現を目指しています。


岡勇樹さんと加藤さくらさん

当事者の母親・加藤さくらさん

企画当初から関わられている当事者の母親・加藤さくらさんにも、デジリハが生まれた当初のお話や、デジリハにかける想いについて伺います。

かわむー
かわむー

加藤さんがなぜ、デジリハのメンバーとして関わられるようになったのか、事業開始当初のお話についてお聞かせください。


加藤さん
加藤さん

私には、福山型筋ジストロフィーという難病を抱えた小学生の娘がいます。生後9ヶ月で診断を受け、以降リハビリの日々を送っています。装具を履いてリハビリをするのですが、すぐに飽きてしまったり、動かした時に痛みが出たり、そもそもやりたくもないことをやったりするので、よく泣いていました。

そんな姿を見る中で、生まれてからずっと、そして今後もずっとやっていかないといけないリハビリが「もっと楽しい時間になったらいいのにな」「選択肢が増えるといいのにな」と思っていました。

娘が2歳くらいの時に代表である岡と出会い、福祉を面白がる視点って改めて大事だなと感じます。その後、2017年にNPO法人Ubdobeに参画。デジリハの事業をメインに担当し、立ち上げ期はプロジェクトマネージャーとして、現在は販売促進担当として関わっています。


かわむー
かわむー

事業を進めていく中で大変だったことや、やりがいとなっていることを教えてください。


加藤さん
加藤さん

当初は、とにかく記憶がないくらい大変でした(笑)チームは常にトライアンドエラー、高速でPDCAを回しながら走り続けています。

現場への展開の仕方などに悩むことも多いですが、デジリハを使った子ども達が楽しんで遊んでくれる瞬間や、現場のセラピストや親御さんが笑っている姿を見た瞬間にたまらなく喜びを感じるので、それが原動力になっています。

娘もデジリハを使ってリハビリをしていますが、自然と手を使うようになりました。最近では絵を描くようになるなど、本人の中で体を使う楽しみが少しずつ分かってきてるのだなと感じます。

デジリハに興味を持ってくれる人や可能性を信じて面白がってくださる方に協力いただきながら、少しでもリハビリテーションの選択肢が届けられるように頑張ります。


かわむー
かわむー

デジタル×リハビリテーションには、可能性が多く秘められているなと感じました。加藤さんが、これまで、そしてこれからのリハビリテーションに対して思うことを教えてください。


加藤さん
加藤さん

当事者の親として、私はこれまで娘と家でリハビリをしてきました。日常の暮らしの中にリハビリの時間を作って実施するためには、その環境づくりがとても大変です。いきなりリハビリをするよと言って触っても嫌がるだけなので、娘が不快にならないような「流れ」を作ることを意識しなければなりません。

リハビリの先生からは、手が固まらないように拘縮予防としてストレッチをやるように指導を受けていますが、どうしても娘が痛がるときは、泣き叫ばれながら30分くらいすることになります。それが、私にとってはストレスとなっていきました。

色々と工夫をしていましたが、家事しながらその瞬間を探るのは結構大変で、家で十分なリハビリをすることは難しかったです。どんな形だったらリハビリってうまくいくのかと、ずっと悩み続けていました。

そんな中、デジリハを使ったリハビリでは遊びの中に目的を作ることができます。例えば、デジタルアートの青虫をつかむアプリを使用すれば自然と手でグーパーしたり、水鉄砲でイタズラをするアプリでは自然と腕や手を動かしたりするようになりました。

通常のリハビリだと、座る、寝返りする、立つ、歩くなどの動作が目的として進んでいく場合が多いのですが、デジリハのゲームの世界に落とし込んだ時にものすごくリハビリがスムーズに進み衝撃を受けました。

障がいのある子ども達も、限れられた人生の時間をもっと豊かにする権利があります。子どもは遊ぶため、学ために生きています。子どもたちの全ての時間を、もっと楽しいことで埋めてあげたいと私は思っています。


実際にデジリハを体験!

かわむー
かわむー

実際にデジリハを体験させていただきました!

使用する際は、まず3種類のセンサーから自分に合ったものを選びます。次に、デジリハアプリを選びます。アプリは25種類(2021年10月現在)あり、好きなゲームを自由に選択することができます。

ちなみに私は、お寿司を運ぶゲームや、プラネタリウム、模倣ゲーム、ボールを使ったゲームを体験しました。


手や腕・足の動きを感知するセンサー「Moffバンド」
手指の動きを感知するセンサー「Leap Motion」
デジリハアプリの選択画面
水鉄砲をかけてイタズラをするアプリとMoffバンド
注文されたお寿司を届けるアプリ「HEYHEY寿司」とLeap Motion
センサー上で「ぐー」をして寿司を掴み、
「パー」で寿司を離します

パソコン画面を見ながら模倣運動中!


かわむー
かわむー

気づいたら、取材中ということも忘れるぐらい楽しみ、ゲームに没頭していました(笑)子どもが夢中になるのがとてもよく分かります。


デジリハユーザーの声

かわむー
かわむー

実際にデジリハを使ってみたという、小児の訪問リハビリに携わる理学療法士の小柳さんにインタビューをしました。(小柳さんのリハノワ紹介記事

今回は短期のレンタルにて使用されたそうですね。まず、申し込みからレンタルまでの流れなどはいかがでしたか?


理学療法士<br>(広島在住の小柳さん)
理学療法士
(広島在住の小柳さん)

デジリハ個別説明会に申し込んでからレンタルまで、トントン拍子で話が進みスムーズにレンタルすることができました。

インストールなどの手間をかけずに、すぐにデジリハを開始できる状態でレンタルBOXが届きます。デジリハBASEやセンサーの使い方は、ZOOMを介してリアルタイムで丁寧に教えていただけたので、困ることなく使うことができました。


かわむー
かわむー

デジリハを子ども達に体験してもらい、使いやすさ反応変化などいはかがでしたか?


理学療法士<br>(広島在住の小柳さん)
理学療法士
(広島在住の小柳さん)

子どもたちの反応や変化としては、レンタルBOX(黒のスーツケース)を初めてみた時には、子どもたちは「この人は何を持ってきたのだろうか?」という不思議そうな表情を見せていましたが、それが楽しいものだと分かると主体的にデジリハを使おうとするようになりました。

僕自身の使用感としては、セラピストが目的としている運動課題の難易度設定がしやすい点や、子どもが主体的に運動に取り組んでくれる点にデジリハの可能性を感じました。例えば、片麻痺のお子さん場合、使用するアプリや麻痺側上肢につけたセンサーの感度を調整することで、どこを・どのように・どのくらい動かせばいいのかを子どもが楽しく主体的に学ぶことができます。

現在、バーチャルリアリティートレーニングが脳性麻痺児の歩行能力を改善するという研究が多く発表されています。今後、デジリハを使用することで粗大運動能力を改善するといった研究が多くでてくることで、臨床のセラピストも導入しやすいと感じました。

デジリハが、子どもたちにとって楽しいものであることは間違いないと思います! 科学の場で、デジリハの適応や限界などがどんどんと証明され、多くの子ども達の手に届いて欲しいなと願っています。


かわむー
かわむー

小児のリハビリ界にとって、デジリハの持つ可能性はとても大きいことがよく分かりました。日本全国、ひいては世界各国の人たちにデジリハが届くと良いですね。

ちなみに、現在デジリハでは、今後の更なる発展のために株式投資型クラウドファンディングに挑戦されています。リハビリの世界に新たな選択肢を作るべく活動されているので、ぜひ興味のある方はこちらのページをご覧ください。


デジリハの描く未来にとてもわくわくした時間でした。取材時、丁寧に対応いただいたデジリハスタッフの皆様、本当にありがとうございました!

これからも、デジリハの更なる発展を心より応援しております。



会社概要

株式会社デジリハ

■ 代表
岡 勇樹(おか ゆうき)さん

■ 設立日
設立:2021年4月

■ ビジョン
リハビリを楽しく実施し、身体機能向上やコミュニケーションツールの獲得に繋げることで、障害児者とその家族のQOL向上を実現すること


■ メンバー
12名:保育士、当事者の母親、小児科医、作業療法士、理学療法士、看護師、デザイナー、プログラマー、大学教員など他職種でチームを結成

■ 所在地
〒154-0024 
東京都世田谷区三軒茶屋1-36-6-203

■ 問い合わせ
お問い合わせフォーム
・メール:info@digireha.com

デジリハについて

■ デジリハとは
ユーザーの好きなモノ・コトを反映したデジタルアートセンサーによって起きるインタラクションを活用した、普段のリハビリと併用するための新しいリハビリツールです。

全てのデジタルアートにはリハビリ専門職が開発の監修として入り、リハビリに有効な動きに繋がるようにデザインされています。また、開発過程ではリハビリをしている病児や障害児とデジリハLABに通う子どもたちがともに企画やプロトタイプ制作を行うなど、プロジェクト全体を通して心のバリアフリーの実現を目指しています。

デジタルアートを触ろうと手を伸ばしたり、追いかけたりすることで、夢中で遊んでいるうちにいつのまにかリハビリになっているという世界観を創造します。

家庭での実施は「個人向け」、リハビリを提供する病院や施設での実施は「法人向け」が用意されています。


■ 使い方
デジリハを実施するには、パソコンセンサー、デジリハBASEのダウンロードが必要となります。デジリハBASEにはたくさんの「デジリハアプリ」があり、必要なリハビリの動き・ユーザーの好みに合わせて選択することが可能です。

<デジリハBASEの始め方>
①パソコンの用意・スペック確認
②センサーの選定・購入・設定
③デジリハWEBサイトから新規会員登録
④デジリハBASEをインストール
⑤デジリハBASEにログイン
⑥デジリハを使う

デジリハの概要や導入についての案内などは、所要時間30分程度でオンライン個別説明会を受けることが出来ます。(個人の方はこちら、法人の方はこちらをチェック)


■ 料金
<個人用>

ベーシックプラン:1,500円(税込)
4種類(LeapMotion、Moffバンド、Tobii、PC内蔵マイク)のセンサーに対応するAPPが全て使用可能

<法人用>
ライトプラン:0円(利用には個人ユーザーによる登録が必要)
・4種類(LeapMotion、Moffバンド、Tobii、PC内蔵マイク)のセンサーに対応するAPPが各1本ずつ使用可能
・オンラインでのフォローアップサービスが利用可能
・デジリハのWEBサイトに導入先として掲載
・HOKUYO対応アプリの利用オプション(10,000円税込)あり

プレミアムプラン:月額55,000円(税込)/ 年額550,000円(税込)
・すべてのセンサー、アプリが利用可能
・オンラインでのフォローアップサービスが利用可能
・デジリハのWEBサイトに導入先として掲載

※個人説明会を随時行っております。詳細はそちらでご案内いたします。
個人の方 → https://www.digireha.com/info-kojin/
法人の方 → https://www.digireha.com/info-houjin/

■ デジリハに関する研究
・仲村佳奈子「デジリハー子どもの視点とデジタルアートで創る”社会を変える”リハビリツールー」, Journal of Clinical Rehabiritation vol.29 No.13.pp1386-1391
・加藤さくら「遊ぶことがリハビリになる!ー『デジリハ』によって広がる子どもの可能性」,作業療法ジャーナル,54巻9号(2020年)
・古東麻悠,実戦報告「楽しさと創造性を喚起する『デジリハ』の提案」アートミーツケア学会2019年度総会・大会

導入施設紹介


かわむー
かわむー

<デジリハさん関連記事・SNS

・デジリハ_HP
・デジリハ_Instagram

・デジリハ_Facebook

・デジリハ_Twitter
・デジリハ_note


ぜひ合わせてご覧ください。


以上、東京都世田谷区に拠点のある「株式会社デジリハ」さんを紹介させていただきました。


一人でも多くの方に、デジリハさんの魅力と素敵な想いがお届けできれば幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今後ともリハノワをよろしくお願いいたします!


かわむーでした。




この取材は、本人の同意を得て行なっています。本投稿に使用されている写真の転載は固くお断りいたしますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

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